かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

2021年4月 歌会の歌

2021-04-17 22:10:13 | 仲間の歌
一輪の姫椿こぼれ床の上(え)に薄紅色の灯ともるごとき         吹田美津子

身めぐりの狭くなりたる終日を過去の旅行のギリシャに遊ぶ        安藤のどか

居酒屋の次に蕎麦屋に向かうのは十三か月ぶりの道筋           桑原憂太郎

雨降りて庭の雪嵩消えゆきぬ咲くサフランに癒されており         神林 正惠

リングプル付きたるままの空缶が棄てられましたと口開けており      土蔵 寛二

今月は父の命日そしてわが誕生日なり桜咲くころ             上野 節子

待ちわびし園芸店をめぐれども思いをよせる花には会えず         柊 明日香

レシートの裏にしるした歌ひとつ紙屑籠に放る夜更けは          小山 翔子

ほぐれゆく衣まといてふきのとう摘めば指(おゆび)に残る春の香     白岩 常子

橋の上ゴミ拾いするパーカーの人の黄色で青空映える           智理 北杜

鮮やかな眼状紋をクジャクチョウ後翅につけて吾を威嚇す         吉田この実

花を買いマスクを買って昼食はフード・コートの「」はなまるうどん」   西勝 洋一

二十年乗りたるインプレッサを洗車する免許返納近づく友は        杉本稚勢子

旅立ちの佳き日にあらむ蒼穹に今朝4つめの白鳥の群れ          松平多美子

春が来たやさしき春が足元にピンクのスニーカー履きて軽やか       櫻井 若子

今は亡き師の著作集届きたり春雷遠く老残深し              谷口 三郎

手を洗ふ一瞬鏡に映りたるへの字の口元われではあるな          鎌田 章子

初蝶がゆらりゆらりと飛びゆけり行方定めぬ旅人のごと          清水紀久子

妹は救急車にて入院す思いもかけぬ脳梗塞にて              井上 敬子
コメント
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