かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

前号合評 2017年11月号1

2017-11-30 22:16:54 | 仲間の歌
   抄出 柊 明日香            
犬猫を家のうちに飼い老いたりし親は看れぬと平成の子ら     川淵 初江

寄り添へど言葉は全て表さぬ声なき声を聴く耳欲しき       安藤のどか

送り火の焔を見つめる我が肩をかすかにふれてかへりゆく霊    杉本  光

窓の辺に真青なる空見上ぐれば海の底居の魚のごとしも      遠藤 貞子

朝まだき貨物列車の音聞こゆローカル線よ生き生きとして走れ   谷口 三郎
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2017年11月歌会の歌

2017-11-30 22:08:36 | 仲間の歌
1 赤楢のもみづる並木のあひだから十勝嶺とほく薄けむり見ゆ       土蔵 寛二

2 上空に90ノットで走る雲わたしのまなこrecはじまる         加藤多華子

3 茜空流れる雲は火の鳥の翼閉じたる様より移ろう            智理 北杜

4 魅入る先ジャル機映りてマークまで人人の思い沢山つまれ行く     久保田一恵

5 一陣の風にさらわる枯葉なり行方を追いてしばし佇む          神林 正惠

6 夕闇に紛れてうかぶ黄の花道の辺にありてひと日の終り        安藤のどか

7 大雪山のエゾシマリスも今頃は頬袋につめ団栗運ぶや         丹呉ますみ

8 わだかまりを持ちて分かれ来ひとことの「それは無いわ」闇夜駆け巡る 白岩 常子

9 亡き友のおはこ「悲しき雨音」が聞こえるような冬の夕べだ      西勝 洋一

10 秘境駅の抜海を訪うも八度目と話す若人の目もと涼やか        杉本稚勢子

11 警笛の利き目のなきやエゾシカは「特急サロベツ」二度も停めおり    遠藤 貞子

12 明治期のストローブを見むと林道に出づればすでに立冬はある     石山 宗晏

13 血の色に染まりし今年のもみじ葉が池の水面に浮きてただよう     柊 明日香

14 秋の日にさらす一枚の布にきてカメノコテントウ虫ひとついこへる   橘  幹子

15 霜月の午後二時すでに小暗しを揃はぬ編み目ほどきまた編む      鎌田 章子

16 晩秋を彩る落葉を掃き寄せて娘らを思える日暮の庭で         吉田この実

17 吉祥寺のホテルのそばに「羽幌」とう居酒屋見つけ迷わず入る     上野 節子
  
18 冬枯れに赤が眩しいナナカマド風に揺らぎて冬鳥を待つ        山田恵美子

19 機械にて髪を洗わる 目つむれば渚に佇てる自が幻          井上 敬子

20 陽のあたる水脈に続きしひとところ飛沫が銀にひかりて踊る      清水紀久子
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2017年10月 前号合評の歌

2017-11-16 10:56:05 | 仲間の歌
   抄出 杉本稚勢子       
     
マイナンバーもらいて並ぶガーデンの新樹にそっとエールを送る     神林 正惠

旋律の正確さのみ聴き分ける耳を持ちいて過ごせば楽しき        白岩 常子

芍薬に寄りゐる蟻を殺めつつなにもなきがに瓶に花活く         井上 敬子

心をのこす目を見交わして行きずりの犬はリードを引っぱられ去る    丹呉ますみ

血液が入れ替わるほど深呼吸する古里に吹く新緑の風を         上野 節子
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2017年10月歌会の歌

2017-11-16 10:46:12 | 仲間の歌
1 亡夫好み〝群青色に柿〟のコーヒーカップ分厚くゴツキも愛用の私  久保田一恵

2 吊花の葉がはらはらと落ちる朝露け湿るか光りかへしあり      土蔵 寛二

3 晴れやかな気持ちに似合ふ紅葉の自然のままにと風に揺らげり    安藤のどか

4 右足のいたみはきみに告かさざり歩めば砂が鳴るよといいて     高橋三枝子

5 放課後の窓に並びて口ぐちに雨や降りける 雨か降りける      加藤多華子

6 仲秋の十六夜月影もくきやかに照らせど君に光届かず        智理 北杜

7 やわらかな風に香をこぼしおり棚に下がりしナイアガラの房     白岩 常子

8 今しばし庭の紅葉愛でたきに綿虫群れて吾を急かせり        神林 正惠

9 「白檀」の香りやさしき円覚寺の線香を里の母に求めぬ       吉田この実

10 ゆゑわかぬ庭の静けさにおり立てばうつぼ草の辺に雪虫は舞ふ    石山 宗晏
 
11 夕昏るる空の刻々遠景のポールの旗が喪に入りて行く        橘  幹子

12 芋掘りに猫の手となり手伝うを不慣れな猫は肥えし芋を刺し     遠藤 貞子

13 本堂に流れる経はろうろうと観音構に母は居ずとも         杉本稚勢子

14 庭土を掘れば塊炭光りたり石炭小屋の在りし辺りに         丹呉ますみ

15 厳めしき旭橋わたりて行く街に自衛隊あり護国神社あり       清水紀久子

16 寒風に今年最後のバラ二輪花瓶にさして幾日みまもる        井上 敬子

17 早朝に八十路の翁持ちてくる作る野菜愛しみており         山田恵美子

18 焼石に煖をとりたる遠き日にはらから五人の生活のありき      柊 明日香

19 ナナカマドあかあか灯る秋の野を「快速なよろ」ごとごと走る    西勝 洋一

20 体重は減らぬ身長縮むわれ七十路入りて願いかなうか?       櫻井 若子

21 雪の降る前にランチに行こうねと 一〇日もせずにああ雪マーク   上野 節子

22 来るたびに霧の函館この夜景を見ざりし夫が雨をとこぞも      鎌田 章子
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