かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

2023年3月 歌会の歌

2023-03-19 16:59:43 | 仲間の歌
1 人の為などと言つてはいけません約るところは自分のために      安藤のどか

2 雪降れば一人寂しき心中に影が映れり 蒼いオマージュ        福屋みゆき

3 色の無い長い季節がやっと明け緑の差し色根回りに覗く        緑川 恵子

4 敬語にて線引きされた二人でも紅茶の一杯くらいはいかが        中島ひかり

5 受診より帰りきたれば風除室にメモ添えられて猫柳あり        柊 明日香

6 寄せられし雪の壁へと幼らはロッククライミングのごと登りいる    白岩 常子

7 雪代を浮かべ岸辺の笹を飲み春の大河は海へ海へと          北原さつき

8 まぎれもなく我は怪獣刃物もて魚の頭を切り落とす時         及川 文子

9 スコップとつるはし持ちて雪解けを促す雪割り私の十八番       吉田この実

10 ルビーより赤き太陽のぼる見ゆ春にいまだの寒きあしたに       清水紀久子

11 三月によろめきながら春来ると詠いしひとの在りしを思う       松平多美子

12 パチンコ店の金属音のひびく道けふも変はらず平和と思ふ       土蔵 寛二

13 颯爽と二十二歳の君行けり思ひ出たくさん吾に預けて         本間久美子

14 没つる陽に染まる利尻岳(りしり)の美しさわが街なれど異国のごとし 櫻井 若子

15 WBC出場選手ダルビッシュと大谷育てしは栗山監督         上野 節子

16 次こそは美味い酢豚が食いたいと酢豚を店で食う度に思う       桑原憂太郎 

17 薄日さすたこ漁船にペンキ塗り始まる埠頭に一羽のカモメ       杉本稚勢子

18 旧姓の宛名に届く一枚は奇跡のごとし雪消すすむ日          鎌田 章子

19 コロナ禍で旅立ち巣立つ卒業生家族の笑顔に涙がありて        風無 光子

20 移りゆく季節の中に身を置きて雪解の音に心のおどる         神林 正惠
コメント
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