かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

2019年7月歌会の歌

2019-07-24 16:38:36 | 仲間の歌
1 幼子の手を引き歩む若き父保育園へと束の間の時             遠藤 貞子

2 小さき実のままに落ちたるマルメロを今朝見つけたり そっと拾いぬ    柊 明日香

3 身のうちの空気をすべて吐き出して「はっはっは」と笑う小五の女子は   杉本稚勢子

4 六月も今日で終わりと思う時何故か侘しとにわかにおこる         久保田一恵

5 ロボットが24時間働けば働き方改革伏せられる              松平多美子

6 三六街細き小路の空狭くうすれる朱に暮れゆかむとす           土蔵 寛二

7 爆音を響かせハーレー走りゆく自分の弱さ解放するごと          白岩 常子

8 偶然に出合いし郷の人に知る幼なじみのTの早世を            吹田美津子

9 火花とぶ工場にまよふ蝙蝠を男は掌にのせ木陰にうつす          鎌田 章子

10 乙女らが着物姿で集いける水路閣前華やぎけりな             谷口 三郎

11 出勤簿裏側の初めの欄に判を押したら薄すぎて読めず           智理 北杜

12 水枯れの花の手入れに余念なく生あるものの悲しみを観る         安藤のどか

13 満月も半月もまた輝きは吾の心の意のままに見ゆ             風無 光子

14 桃色に舐めくれし母とも別れひとりで遊ぶオデコな横顔          丹呉ますみ

15 ラベンダーの花から花へ移りゆく働き蜂のノルマを思う          西勝 洋一

16 抱っこしておっぱい飲んでた息子らと夜更けのバーで恋の話する      内田 美香

17 紫陽花のあまた咲きゐる庭園を共に歩みし亡き友憶ふ           井上 敬子

18 現し世に取り残されし吾なるに沙羅咲く庭にはらから偲ぶ         神林 正惠

19 戻れるとは思わないけどのびきったソバを美味いと思ったら頃に      桑原憂太郎

20 蜂たちに蜜を吸わせておくとせむラベンダー刈りはいま少し待ち      清水紀久子

21 しずまらぬ暑さの庭にオパールの翅もつあきつひとつゐて飛ぶ       橘  幹子

22 難題も視点を少し変えて見るわれの学びとかしこき歌友(とも)は     櫻井 若子

23 米買いに来て古里の風に吹かれれば安らぎぬわが魂は           上野 節子
コメント
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