かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

2018年8月 かぎろひ詩社夏季歌会

2018-08-26 16:04:57 | 仲間の歌
   2018年夏季歌会詠草

1 青空を突きさすごとく伸びてゆくクレーンは重き鉄材おろす        安藤のどか

2 過疎の地とファームレストラン立ち上げし若者の所作と仕事観に聞き入る  白岩 常子

3 相次いで親しき人が逝きたりぬ紫陽花あをくいろづく日々に        清水紀久子

4 蕎麦をゆで畑に行きてネギを抜くこのなにげなき日々を重ねる       吉田この実

5 海底をしら鳥行くと見ゆるまで捕食の鳥が影写し飛ぶ           橘  幹子

6 新緑の白樺の下に少女あれ たんぽぽ摘みて吾れに届けよ         谷口 三郎

7 豚草を抜きつつ気付く僕たちは嫌いなものを欲しがっている        智理 北杜

8 師の通夜に向かう車窓に利尻富士雲を従えどっしりと在り         杉本稚勢子

9 公園のブランコの傍にぬひぐるみ忘れ置かれて雨に濡れあり        土蔵 寛二

10 吾の時膝の綻び笑い顔友も同じや恥かしくもなく             風無 光子

11 「神様が運ばれて行った」と熱き声神輿の大事と七歳の元気さよ      久保田一恵

12 北の地の空は夏日の午後君はまさかの坂をころがり逝きむ         櫻井 若子

13 手にのぼる蟻をゆっくり放ちやる娘(こ)の年下の彼を諾う         下沢 風子

14 ラジコンのセスナが田んぼを旋回す霧を散らして夢を育てて        鎌田 章子

15 今を読む石山先生の万葉集の古訪ね深く味わう              山田恵美子

16 栗の毬みどりさやけく落ちている熱き路上を歩み過ぎたり         西勝 洋一

17 空に満つ星が降りても揺さぶらることなき夜は甘受し眠る         加藤多華子

18 上顎に張り付きし海苔を剥がさんと舌は懸命に努力しており        柊 明日香

19 街中を母なる川は流れおり暴れ川なるも人は忘れて            丹呉ますみ

20 親睦と惚け予防の「ふまねっと」間違ひ合ひて場の盛り上がる       井上 敬子

21 野球着を物も言わずに脱ぎし子のシャワーの音がせつなく聞こゆ      本間久美子

22 八十路われ受けし苦楽の数々をこなして明るく終焉待ちぬ         神林 正惠

23 亡き父が開封せずに遺したるカフェモルト式ウイスキー旨し        上野 節子

互選を行い、15点を獲得してダントツ1位は21番の本間久美子さんでした。2位が6番の谷口三郎さん、3位が1番の安藤のどかさんでした。
コメント
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