かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

2019.12月 歌会の歌

2019-12-22 12:49:24 | 仲間の歌
現世の令和にありて新天皇即位のパレード晴天にあり          風無光子

お茶席もゐるべき場所にあらざれば足の痺れをひたすら耐へる      安藤のどか

一羽飛び続いて飛びたつ二羽三羽寒の雀が電線ゆらし          清水紀久子

新しきスニーカーを履き都心(まち)に出づる常より若き心地となりぬ  土蔵寛二

あおによし奈良のみやこのおおてらのふるきみほとけみなうつくしき   笹川淑子

ご利益のほど案じつつ神札を回覧板に予約しており           神林正惠

撥ねものの大根二本貰いきて食品ロスに我もひと役           白岩常子

しんしんと音なく降りくる真夜の雪冷たき涙か降り積りゆく       吉田この実

小正月のすぎいし夜半に花入れの松に寄り添う椿落ちたり        山下秀美

中一の方程式も解けざりき鉄槌受けて変はれるならば          鎌田章子

降る雨に雪解の地上繪ゆるゆると流氷となり舗道に遊ぶ         橘幹子

登廊をはるかに離れて墓ひそり俊成定家も忘れられしも         谷口三郎

「こんなにも楽だったんだね」職引きし友の残りの日々よ輝け      杉本稚勢子

何処までも勇んで旅にでかけたる健脚あわれ雪の降る街         西勝洋一

ふにゃふにゃのペットボトルに入ってる天然水の向こうの未来      桑原憂太郎

エンドロール終われば直ぐに席を立つ最新シネマに人の循環       松平多美子

すべり落つ一瞬の間に未来見る破片飛び散る夫のグラスの        加藤多華子

「逃げ恥」と書いて「セイジ」と振り仮名をつけてみたんだ 師走にも雨 智理北杜

旭川の街を歩けばなつかしや浪花千栄子のホーロー看板         丹呉ますみ

「カサッ、コソ」で始まる父のものがたり浅き眠りのなかに思い出づ   柊明日香

ワンルームの部屋にも要らぬ物は増え半分捨てても暮らしてゆける    上野節子

弱き者のため身を捧ぐるアフガンに「中村医師」よ無情に散りぬ     吹田美津子
コメント
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