かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

2019年3月歌会の歌

2019-03-16 16:44:45 | 仲間の歌
1 かけうどん急いで啜る日曜の午後満たされぬ思い抱えて        智理 北杜

2 元号の間合ありしも世は進み新元号と春うららを待つ         久保田一恵

3 はね上げた雪山の上を子どもらはランドセル背に泳ぎゆきたり     吉田この実

4 風の噂は信じ難きものなるに人は好みぬ噂話を            安藤のどか

5 つかの間の眺望なるか朝もやの山脈見ゆるはビル建つ前の       吹田美津子

6 雪どけの道を歩めば雑草が青あおと伸びはじめておりぬ        上野 節子

7 せめて君ひとときここに寛がむマスクを外し素顔を見せよ       松平多美子

8 誕の日に届くはがきの翁草雪降る朝に春を連れくる          山田恵美子

9 建て付けの悪き押し入れの戸を開けて三年ぶりに客布団出す      柊 明日香

10 遠き日の息子が過ぎりぬおさな子の診察室に長泣きの声        杉本稚勢子

11 平成末年三月八日朱鞠内はマイナス二十一度になりぬ        丹呉ますみ

12 四十五年欠かさず飾りしひな人形気怠さに負け今年は出さず      井上 敬子

13 目覚むれば一面白き春の雪温もり残し淡く消えゆく          櫻井 若子

14 部屋内に入り来る陽光燦燦と籠りがちなる身の鼓舞さるる       神林 正惠

15 著作権切れし「言海」のスキャン像変体仮名の小さきを読まん     鎌田 章子

16 だんご屋さんが消えて五年かスズカケの並木通りを通れば思う     西勝 洋一

17 しんしんと雪が降る夜なんかにはあさのあつこの本なんていいな    谷口 三郎

18 待ちわびし雪間に伏せる緑の葉東風吹きそめて日面に出づ       遠藤 貞子

19 うれしさの出発点もベクトルも規格も違う君との涙          加藤多華子

20 遥か土耳古の僻村に見出し青き皿に線描の鳥一羽ゐて鳴く       橘  幹子

21 探査する宇宙の惑星未知の地にはやぶさ着地持ち帰る謎        風無 光子

22 朝(あした)から雪降り渋る道ゆくに当麻も比布も空同じなり      土蔵 寛二

23 未来への希望を子らに託したる平成のはじめ そして三十年      清水紀久子
コメント
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