かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

2021年6月 北海道新聞掲載歌

2021-07-26 16:09:50 | 仲間の歌
太いバラもあっさり折れるさびしさよ骨粗鬆症のわたくしに似て     下沢 風子

しば桜薫る五月の半ばなり空青くして行き所なし            西勝 洋一

旭川神社へ夏越の大祓にコロナは逝けと茅の輪くぐらん         丹呉ますみ

「コックさん」妻は歌いて娘は描く六月六日俄雨降る          智理 北杜

花も木も向かひの家も歪めつつ窓を流るる雨が流るる          清水紀久子

一枚のガラス隔てて触れており施設の母のうすき手のひら        柊 明日香

草むらにセンダイハギの黄色みて「ワラビのじきだ」と声の出る夫    河原由美子

LINEより手紙が欲しいそれよりも声が聞きたいと風に呟く      本間久美子

子どもらと一〇〇個の餃子をつつみたるかの日のいきほひ はつなつの風 鎌田 章子

人目無ければマスク外して新緑のみずみずしさを深く吸い込む      白岩 常子
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2021年7月歌会の歌

2021-07-17 17:59:22 | 仲間の歌
庭隅に木いちごの実の色づきて朝な朝なを楽しみおりぬ        神林 正惠

風の街稚内の地は無風なり草木もスッと天を仰ぎぬ          櫻井 若子

緩やかにひと目ひと目を刺しをれば手許清らなこぎん刺し映ゆ     上山由美子

今少しよき事をして死にたきにいまだに叶わぬ日日はつづけり     安藤のどか

老齢の今から逆に若き日へアランドロンの動画流れ来         杉本稚勢子

車中にて些か微睡みおりたれば心も身をも解しゆくかな        白岩 常子

収穫の時を知らせてシジュウカラ ベリーの梢に暫し囀る       吉田この実

此の年も幟の立たぬ村祭り寂しきままに夏になりたる         本間久美子

自らを先進国とう不遜さよコーンワルの空は曇りたり         谷口 三郎

雨染みと日焼けの著きを張替へて雪見障子は影きはだたす       鎌田 章子

強かに生ふるムギシバ恐らくは絶滅危惧種にならぬ雑草        清水紀久子

断崖の上にて笛を吹く勇気失いし今も笛は手元に           智理 北杜

夕暮れにペダルを漕げば堤防のサギがひと声鳴いて飛び立つ      松平多美子

〈藤井聡太〉ひとりで着付けできるらし着こなせるのも遠くないだろう 上野 節子
 
群れあるく羊の鈴の音もきこゆとおき山旅(たび)の日のアルプスの村 笹川 淑子

ロヒンギャの娘が画像に咽ぶ夜「はじめまして」の歌を聴きたり    土蔵 寛二

咲き盛る梅花空木の花陰を何の骸か蟻が引きゆく           西勝 陽一

吾が愛でし釣舟草もゼンマイもどこへ行ったの?新装の花壇      吹田美津子

道新の日曜版にて『アッツ島玉砕』の絵に衝撃を受く         井上 敬子

かき氷なら100万杯はあるだろう夏雲ひとつ青空に映ゆ       柊 明日香
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