かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

2019年4月 歌会の歌

2019-04-25 11:14:47 | 仲間の歌
1 金曜はアイルランドの思い出を夢に見たいと願いつつ寝る        智理 北杜

2 振り返り立ち止まっては先を行く 夫に追いつけと春風が押す      本間久美子

3 失なわる事の多くあり追憶の狭まる寂しさ三日月に寄せり        久保田一恵

4 風揺らぐブランコの下でカサカサとみみずが枯葉と戯れる二時      山下 秀美

5 あどけなき平成生まれの子どもらの笑顔消したるその人は誰       吉田この実

6 ふたり連れかさねし歳の夫婦やら待合室は暖なくも良き         風無 光子

7 眠られぬ夜の静寂に聴えくる桜吹雪の妖精のこゑ            安藤のどか

8 膝下の古き傷跡撫でながらお転婆たりし小学時代            白岩 常子

9 立ち枯れて捨てられしおりベンジャミンの白骨のごときスーパーの裏に  吹田美津子

10 松の木の上枝に遊ぶ小雀の春を呼ぶらし声のにぎわい         山田恵美子

11 新知事として「令和」への幕開けに相応しき男鈴木直道        上野 節子

12 さわさわと残りのページを捲る手よつかの間古の色を滲ます      河原由美子

13 雪とけて鼠の食痕露はなり白く柳の根本が光る            土蔵 寛二

14 眼下にはまだ雪残るグランドでサッカー練習春陽を受けて       櫻井 若子

15 枯葉剤に蝕まれたる人達の現在(いま)なほ惨きをテレビに見つむ    井上 敬子

16 どこからかまちに目覚めのドラミング見知らぬ人と街路樹見あぐ    松平多美子

17 どろの樹の上枝にかかるひとつ巣が春冷えあおき空に浮きゐる     橘  幹子

18 スピードを落として車は通りゆく骸となりしカラスの脇を       清水紀久子

19 来し方の「昭和」「平成」偲びつつわが残生を「令和」に托す     神林 正惠

20 市議選の近き夕べを疎遠なりし人より懇切な手紙が届く        西勝 洋一

21 眼をとじて両手合わせる我わきを通る涅槃の僧侶の気配        杉本稚勢子

22 ゆうゆうと水族館におよいでる元の姿でホッケの開き         丹呉ますみ

23 難問の一つ目処つき緩ぶ帰途白鳥一羽群れに戻り来          鎌田 章子

24 うなぶかすスノードロップはつつましく春の早きに白く咲きおり    遠藤 貞子

25 座りたるままにくぼみし座布団にいまだ不在の母を思えり       柊 明日香

26 三輪山に雲はなけれど花曇る飛鳥の里は寂しげなりき         谷口 三郎
コメント
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