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「イスラム国」アッシリアの遺跡を破壊

2017年06月22日 | 世界情勢
■イラク・モスルでISがモスクを爆破「国家樹立」宣言の場所
イラク北部のモスルで過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)の掃討作戦が続くなか、イラク軍は21日、ISが市内の歴史的なイスラム教礼拝所「ヌリ・モスク」を爆破したと明らかにした。有名な斜塔があることでも知られるヌリ・モスクは、ISの最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者が2014年にカリフ制国家の樹立を宣言した場所だった。

しかし、ISは系列のアマク通信を通じて、モスクを破壊したのは米軍機の空爆だと主張した。イラクのハイダル・アバディ首相は、モスクの爆破はISによる「正式な敗北宣言」だとしている。イラクに駐留する米軍の司令官、ジョセフ・マーティン少将はISが「モスルとイラクの偉大な宝の一つを破壊した」と語った。「これはモスル、そしてイラクすべての人に対する犯罪であり、この残酷な組織がなぜ一掃されなくてはならないのか示す一例でもある」。ISはこれまでもイラクやシリアで複数の歴史的建造物を破壊している。

国連によると、ISはモスルで10万人以上の住民を「人間の盾」として人質に取っている可能性がある。昨年10月以来、何千人ものイラク治安部隊やクルド人部隊ペシュメルガ、イスラム教スンニ派のアラブ人部族、シーア派民兵が、米主導の有志連合の戦闘機や軍事顧問の支援を受けISと戦っている。イラク政府は今年1月にモスル東部を完全に「解放」したと発表。しかし市西部での戦闘は、狭く曲がりくねった道に阻まれ、より困難な展開になっている。

イラク軍の発表文によると、モスクと「ハドバ」(せむし)と呼ばれる斜塔の両方が爆破された。モスクの建設は西暦1172年に始まったとされる。ISは2014年6月にモスルを掌握。その1カ月後、バグダディ容疑者はモスク内にある説教台からカリフ制国家の樹立を宣言した。カリフ制国家とは、預言者ムハンマドの代理人「カリフ」によるイスラム法(シャリア)に基づく統治を意味する。バグダディ容疑者はそれまで、長年姿を見せていなかった。

ISの主要拠点となっていたモスルで、ISが依然として掌握しているのは旧市街のみ。司令官らは18日に攻撃の「最終段階」を開始すると発表し、イラクの対テロ部隊や陸軍、連邦警察があらゆる方向から攻撃を仕掛けた。イラク軍によると、モスルへの攻撃が始まった昨年10月には6000人近くいた戦闘員も現在は、300人以下に減っているという。今週に入り、イラク軍は飛行機からビラを投下し、住民たちに対し広い場所を避け、あらゆる機会をとらえて避難するよう呼びかけた。赤十字国際委員会(ICRC)は20日、モスル西部から避難してくる民間人に、銃撃や爆撃によるけが人が増加していると警告した。(6/22/2017 BBC News Japan)

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