25年に及ぶ長期の協力関係を結んだ中国とイランには、米国との対立という共通項がある。中国は少数民族ウイグル族の人権問題などで米欧が敷く包囲網への焦りが強い。米国に核合意への復帰を促し、制裁を解除させたいイランと利害が一致した。イランのタスニム通信によると、中国の王毅国務委員兼外相は「イランとの関係は足元の状況に左右されず、恒久的で戦略的なものだ」と述べた。激しく衝突した19日までの米中外交トップ協議の後、王毅氏は中東6カ国の訪問を始めた。習近平指導部は反米を強めるイランとの連携強化を目玉にしたい考えだ。
中国は広域経済圏構想「一帯一路」で周辺国への投資を通じた関係強化を図っている。原油の重要な輸送路となるペルシャ湾に接するイランは中東の要衝だ。中国がホルムズ海峡に近い港湾整備に投資する可能性もささやかれる。ホルムズ海峡は米国とイランの対立の最前線で、中国が足場を築けば対米けん制の効果は大きい。トランプ前米政権が離脱したイラン核合意を巡り、イランは米国の復帰と経済制裁の解除を要求する。バイデン政権はイランが逸脱したウランの濃縮活動を合意規定内に戻すのが先だとして、平行線が続く。イラン核合意の当事国である中国はロシアとともに、米国が先に制裁を解除すべきだとの立場だ。
イランへのインフラ投資などを通じて関係を強化し、米国への対抗軸づくりをもくろむ。制裁や原油安で財政が悪化するイランには中国マネーへの期待がある。調査会社などによると中国はイラン産原油をオマーン産などと偽り、日量100万バレル程度輸入しているとみられる。欧州や日本などの輸出先を失ったイランにとって、中国は貴重な外貨獲得源だ。核合意を主導したロウハニ大統領は8月で任期が満了する。イラン国内では核合意に批判的な強硬派が勢いを増し、退任前に核合意復活への道筋を付けたい考えだ。
ロウハニ師は27日「いくつかの障害が取り除かれれば、制裁解除に向け(濃縮活動を規定内に戻す)ステップを進める用意がある」と述べ、改めて米国に譲歩を促した。米欧の反発は必至だ。バイデン氏は26日のジョンソン英首相との電話協議で、中国の一帯一路に対抗し「民主主義国家で同様のイニシアチブを作り上げ、世界中の民主主義陣営を支援する構想について提案した」と明らかにした。米欧は少数民族ウイグル族の人権侵害で中国に制裁を科した。イランやロシアなどが中国との結びつきを強めれば、制裁の抜け穴が広がる恐れもある。(3/27/2021 日本経済新聞)
中国は広域経済圏構想「一帯一路」で周辺国への投資を通じた関係強化を図っている。原油の重要な輸送路となるペルシャ湾に接するイランは中東の要衝だ。中国がホルムズ海峡に近い港湾整備に投資する可能性もささやかれる。ホルムズ海峡は米国とイランの対立の最前線で、中国が足場を築けば対米けん制の効果は大きい。トランプ前米政権が離脱したイラン核合意を巡り、イランは米国の復帰と経済制裁の解除を要求する。バイデン政権はイランが逸脱したウランの濃縮活動を合意規定内に戻すのが先だとして、平行線が続く。イラン核合意の当事国である中国はロシアとともに、米国が先に制裁を解除すべきだとの立場だ。
イランへのインフラ投資などを通じて関係を強化し、米国への対抗軸づくりをもくろむ。制裁や原油安で財政が悪化するイランには中国マネーへの期待がある。調査会社などによると中国はイラン産原油をオマーン産などと偽り、日量100万バレル程度輸入しているとみられる。欧州や日本などの輸出先を失ったイランにとって、中国は貴重な外貨獲得源だ。核合意を主導したロウハニ大統領は8月で任期が満了する。イラン国内では核合意に批判的な強硬派が勢いを増し、退任前に核合意復活への道筋を付けたい考えだ。
ロウハニ師は27日「いくつかの障害が取り除かれれば、制裁解除に向け(濃縮活動を規定内に戻す)ステップを進める用意がある」と述べ、改めて米国に譲歩を促した。米欧の反発は必至だ。バイデン氏は26日のジョンソン英首相との電話協議で、中国の一帯一路に対抗し「民主主義国家で同様のイニシアチブを作り上げ、世界中の民主主義陣営を支援する構想について提案した」と明らかにした。米欧は少数民族ウイグル族の人権侵害で中国に制裁を科した。イランやロシアなどが中国との結びつきを強めれば、制裁の抜け穴が広がる恐れもある。(3/27/2021 日本経済新聞)