前回からの続きです。
よく調べもせずに不見転(みずてん)で購入したDAコンバーター「HD-7A192」(Phasemation)だったが、今のところ結果オーライだった。まあ、国内のちゃんとしたメーカーのデジタル機器なんてそんなものかもしれない。
けっして鬼の首をとったように喜んではいませんからね~(笑)。
これで我が家のオーディオは音の入り口が完全に2系統になった。
具体的には、
<第一系統>
「CDトラポ+DAC」(dCS) → プリアンプ(ECC83×3本) → パワーアンプ2台(PX25シングル+171シングル) → スピーカー2台(ワーフェデール+デッカ)
<第二系統>
「CDトラポ(CEC)+DAC(HD-7A192)」 → プリアンプ「クリスキットマークⅥ」 → パワーアンプ「WE300Bシングル」 → スピーカー「トライアクショム」or「AXIOM80」(グッドマン)
こうやって書き出してみると、自分で言うのも何だが「百花繚乱」だねえ(笑)。
ただし、自己満足に浸ってばかりいてもしようがないのでオーディオ仲間に来てもらって審判を仰ぐことにした。近くにお住いのYさんがお見えになったのは去る28日(日)の午後のことだった。
はじめに第二系統で聴いていただいた。スピーカーは最初は「トライアクショム」で、30分ほどしてから「AXIOM80」に交換した。
「これまでの音よりも明らかにグレードアップしてます。とても繊細で素性のいい音です。まるで澄み切った秋の青空のような印象を受けました。アップサンプリング(176.4KHz)の効果はたしかにありますね。このDAコンバーターはお買い得だと思いますよ。」
好印象を抱かれたところで「ここでdCSとの比較をしてみましょうか?」と持ち掛けると「それは面白い。ぜひお願いします。」
同一の曲目のもと、アンプとスピーカーは固定して、DAコンバーターだけ代える。いわば同一条件下でのテストである。
DAコンバーターからのコードを繋ぎ変えるだけだから実に簡単。前回のブログの末尾に述べたように「定価500万円 VS 定価60万円」の対決である。
よく考えてみると我が家のオーディオは「音の入り口部分」に一番「資金」を投じていることになる。やれ古典管だ、SPユニットだと騒いでいる割りには(資金は)あまり行き届いていないがバランス的にどうなんだろう(笑)。
いずれにしろポイントはdCSの旧態依然とした「44.1KHz」出力に対してPhasemationの「176.4KHz」がどう立ち向かうのか。アップサンプリングの効果がどのように反映されるのか興味津々である。
製造時期も相当違っており、前者は15年ほど前ぐらい、後者は7年前くらい前の製品だ。
試聴盤は日頃から管楽器に親しまれているYさんに配慮してモーツァルトの「オーボエ協奏曲」にした。
はじめにPhasemationで聴き、そしてdCSの順番だった。アンプは我が家のエース「WE300Bシングル」、スピーカーは繊細な音の表現に長けた「AXIOM80」だったが、実に興味深い結果に二人ともしばし呆然とした(笑)。
結果からいえばdCSの方に軍配が上がったのである。
「dCSの方がオーボエの管の太さがよくわかりました。総じて響きが豊かです。これはアナログの音に近いというのか、むしろ最上質の音ですね。
どんなにアップサンプリングしてみても丁寧に作られた44.1KHzには追い付かないということです。ただしdCSが100点だとするとPhasemationは95点といったところです。肉迫していますよ。お値段から考えたら大善戦です。」と、Yさん。
「こうやって比較するとよく分かりますね。Phasemationは良くも悪くも「線の細さ=響きの少なさ」が際立っています。ちょっとデジタル臭いところがありますかね。出力の方もdCSに比べるとやや小さ目です。アップサンプリング自体はいいのでしょうが、ほかの部分のツクリとなるとdCSの方に一日の長があるようです。」と、自分。
以下、素人考えということを前提にして述べてみよう。
DAコンバーター(Dizital to Annalog Converter)とはご存知のとおり「入ってきたデジタル信号をアナログ信号に変換する」役割を担っているが、出力部分は当然アナログ信号になるのでそのツクリとなると「デジタル回路とアナログ回路」の2系統になっている。
結局dCSはアナログ回路に秀で、Phasemationはデジタル回路に秀でており、総合的な審判となるとdCSのアナログ回路に優位性があったということになる。
いくらデジタル回路がアップサンプリングしたとしても充実したアナログ回路には及ばないという興味深い結果に終わった。
もちろんCDトラポの差も無視できないので、「dCSのCDトラポ → Phasemation」に交差して聴いてみたが、dCSトラポの方が一枚上だったが際立った優位性は見られなかった。
ちなみにデジタル、アナログ両回路が充実しているであろう現行のdCSの最上位機種「ヴィヴァルディ」のCDトラポとDAコンバーターのセット価格は一式で軽く1千万円を超える。
このレベルになるともう夢のような話だ(笑)。
最後に、Yさんが辞去される際に以前預かっていた「Transcendのソリッドステートドライブ」を思い出した。Yさんが所蔵されているCD「1500枚」近くが内蔵されているメモリーである。
ハード部分はたかだか2万円前後に過ぎないがソフト部分ともなるとCDのお値段から換算しておよそ300万円相当の代物だ!
「これって、USB端子が付いているのでパソコン経由でPhasemationのDAコンバーターに接続して聴けるんですよね?」
さあ、それからがてんやわんやの大騒ぎだった(笑)。
まったく「遅きに失する」が、まさかパソコン・オーデイオへの展望が開けてこようとはそのときは夢にも思わなかった。
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