「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

AXIOM80の究極の使い方

2017年10月10日 | オーディオ談義

ネットというのは過去のアクセス履歴を踏まえて個別の対応をしてくれるので大いに助かる。

たとえば、パソコンの画面の一部に自動的に好みのオーディオ機器(オークション)を提示してくれるので、実に賢い限りだが、もちろん、ときには「知らぬが花」の方がいいかもしれない(笑)。

そういう中、SPユニット「AXIOM80」が出品されているのが目に留まった。

「究極の使い方」というタイトルが銘打ってあり、日夜「AXIOM80」のベストの使用法について頭を悩ませている人間にはとうてい見過ごせないタイトルである。

オーディオに限らず、出来るだけ多くの情報に接することがその道の上達の早道であることはたしかだろう。

個人の「AXIOM80」愛好家が長年のノウハウの限りを尽くした興味深い内容にさっそく立ち入ってみよう。

まず、画像から先に見た方が分かりやすい。

     

次に、解説文がこれ。

「私が高校生の頃、AXIOM80を使われていた瀬川冬樹氏がAXIOM80を絶賛されていた記事を読み、親にねだってこのSPを購入しました、もちろん、BOXもヤマハ製の指定箱でした。

SP鳴らしは、車の運転と同じで腕がいることを自覚されました。カローラは誰でも運転できますが、チューニングされたレーシングカーはそれなりの腕がないことにはその性能が発揮できません。

AXIOM80はカローラではなくチューニングされたレーシングカーに近いSPだったと今では思ってます。WEなどのSPもしかりだと思います。無謀にも、この高校生は免許を取ったばかりなのに、レーシンガカーを運転しようとしたのです。

AXIOM80は非常にならしにくいスピーカーと言われおりますが、それは超軽量コーン紙が鳴らすハイスピードな音と絶対的に出ない低音にあると思います。

ヴァイオリンを鳴らしたらこのスピーカーの右に出るものはない!言われる名器ですが、逆にジャズはまずならないといわれます。

数多くのSPBOXを試してみましたが鳴らしきることはできませんでした。そこで例えばアルテックの515のような、これまた軽量のコーン紙による低音ユニットを使い、でもこれも低音が出ないことで有名ですが、B&Wのノーチラスのように低音を補正すればと考え、80は弱いところを捨て、20μFぐらいのコンデンサーで低音を切って使ったところ、すべてのジャンルで素晴らしい音楽が聴けるようになりました。

その時の80は写真のようにマグネット部分でユニットを固定するという方法です。515はネットワークなしの出しっぱなしです。

私が所有する80はかなり古いオリジナルの80ですが,すべてこの写真のようにサブコーンが光っているタイプです。ただ友人がこれまた古い80を7本ぐらい持ってますが,サブコーンが光ってないとか、7本全部が違うタイプですので80はよく見ると本当に種類があるのだということが実感されます。私は光っているタイプこそ間違いなくオリジナルだと思いますが光ってないタイプも存在します。

スピーカーボックスは必要悪といわれますが、事実、ほとんどのスピーカーはバッフルもつけずに裸で鳴らすと、素晴らしい音がします。

しかしそれに気を良くしてちょっとでもバッフルを付けて鳴らすと、あれっというほど普通の音になってしまいます。このようなことは今まで何度もありましたが、それでも裸で鳴らした時、それぞれの良さはさらに発揮されるようです。

その考えからこのようにマグネットでユニットを支えるという方法を考えたつもりでしたが、この方法ははるか90年も前にWE社が使っていたことを知った時、先人の知恵の素晴らしさを知りました。」

以上のとおりだが、際立った個性を持つAXIOM80は幾多の人たちを惑わせつつ様々なドラマを演出してくれるようで、もはや一介のオーディオ機器という立場を越えて、まるで血と肉が通っている生き物のような存在感を見せてくれる。

あまりにも熱がこもった解説文の書きっぷりに、つい魅せられてしまったが「SPボックスは必要悪です」に対して「まったくそうなんですよねえ!」と心から共感を覚えると同時に「裸で鳴らす手法」に対して「そういう手があったのか」と意表をつかれた思いがした。

そういえば、以前、「AXIOM150マークⅡ」(口径30センチ)を修繕に出して戻ってきたときに裸でテストしたところ、あまりの澄み切った音に思わず息を呑んだが、箱に容れて聴くとその透明感が影も形も失くなってしまったことを思い出した。

根が単純男だし、チャレンジ精神だけは富んでいるのですぐに我が家なりに「裸で鳴らすAXIOM80」に挑戦してみた。

平面バッフルから取り外したAXIOM80を2時間ほど細工して、ありあわせの材料に取り付けたのが次のとおり。

       

マグネットの部分で支えているのは同様だが、冒頭の画像のようにガッチリ(マグネット部分で)固定してユニットのフレームを宙に浮かせるともっといいのだろうが、今回は早く試してみたいばかりに応急的な手法を取った。

ちなみに我が家ではチャンデバで周波数500ヘルツあたりでローカット(12db/oct)しているが、これは上記の解説文にある「コンデンサー20μF」が丁度500ヘルツぐらいでのローカット(6db/oct)と符合する。

ずっと昔にAXIOM80を平面バッフルに付けてフルレンジで鳴らしたところ、低音域が混入してすぐに故障した苦い経験があるが、今回は500ヘルツあたりでローカットしているので安心して鳴らせる。

実をいうと、どうせ平面バッフル時とあまり変わらんだろうと「たか」をくくっていたら、音がたしかに変わったのである。

それもいい方に!

AXIOM80が持つ本来の能力、たとえば音場の遠くまで見通せるような透明感とハイスピード感が際立ってきた。

やっぱりこれは凄いユニットだ!

3ペア持っているので1ぺアぐらいはオークションに出品しようかと迷っていたが、とんでもないと思い直した(笑)。

さて、素人なりに裸で使う良さを考えてみた。

 これまでバッフルに80をがっちり締めつけていた4本の取り付けネジが曲者でこれが悪さをしてユニットの自由闊達な振動を阻害していた。

 80から出た音が(取りつけた)バッフルに当たって跳ね返る間接音と直接音とが微妙に混じりあって若干ながら音の濁りが生じていた。

ほかにもあるかもしれないが思いつくのはこの程度。

もちろん、裸で鳴らすマイナス面もあってユニットの後ろ側に出た「逆相の音」がバッフルがないために正面に回り込みやすくなって「正相の音」を邪魔することも当然予想されるが、80の周波数分担域は「500ヘルツ~」だから、低音域と違って比較的波長が短いため回り込みの懸念もそれほどではなかろうという希望的観測も働いている。

かくして、我が家での80の使い方は次の二通り。

 AXIOM80に低音は期待せず、(低音域だけ)別のユニットに持たせる。

 従来どおりフルレンジで鳴らす

何だかんだ言ってみても、簡単にフルレンジを諦めることはしない(笑)。適切なプリアンプとパワーアンプそしてエンクロージャーを得られればそれなりの良さがきっとあるはずとの思いは変わらない。

なお、1の場合だが難題はAXIOM80に組み合わせる低音域のユニットとの相性にあって、どういうユニットを選ぶかが文字どおり死活問題となる。

解説文の中にあるのは口径38センチのアルテックの515だが初期のアルニコ・マグネットタイプならベストだろう。さらにこの場合は500ヘルツ付近でアルテックをハイカットした方がいいと思う。

ただし、このアルテックの初期版はペアで15万円前後(オークション相場)とメチャ高価なのが残念。そのうち機会があればチャレンジしてみたいが、ウェストミンスターの裏蓋を開けてのややこしい作業を思い出すとあまり気が進まない(笑)。

現時点での我が家ではJBLのD130(イン・ウェストミンスター)なので割り引く必要があるがタンノイさんのユニットよりはずっとマシだろう。

真空管アンプ2台を使って、このスタイルで聴き始めてから今日で10日ほど経ったが、まだ際立ったアラが見つからないのはとてもいい兆候に違いない。

近日中に県外からお客さんたちがお見えになるので、再度「AXIOM80 VS テクニクスのドライバー・ホーン」の聴き比べをやってみよう。


 

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