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鉱物の部屋へのいざない

産地が異なるそっくり石

2015-09-15 14:50:23 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「産地が異なるそっくり石」です。

昨日のブログでは「そっくり親子」と題して、同じ産地の「そっくり親子」のような霰石と、人の「そっくり親子」の話題となりましたが、今日は「産地が異なるそっくり石」の話題です。

同じ産地の石ならば似ているのは当然の事で、人の場合も親子ならば似ているのは当然の事です。そっくりなのは面白い事だと思いますが、似ていて当然という気もします。

それに対して、違う産地なのに似ている「産地が異なるそっくり石」や赤の他人なのに似ているそっくりさん同士という存在は「そっくり親子」よりも不思議で興味深い現象の様に感じます。

「そっくり」というキーワードでWeb検索してみると面白いサイトや画像がたくさん出て来ました。特に人の顏や風貌のそっくりさんは見ていて非常に面白いと思いました。その昔の「そっくりショー」というTV番組を思い出してしまいましたが、「そっくり」という現象には大衆受けする何かしらの要素があるのだろうと思います。検索していて、面白く思ったそれらの中にはドッペルゲンガーというミステリアスでオカルト的な現象もあったり、「そっくりアプリ」なるものがあったりして、「そっくり」というキーワードだけで、興味深い事例がいくつもある事を再認識してしまいました。

さて、「産地が異なるそっくり石」です。

今日の写真はYさんからお借りしている流紋岩です。



左は富山県の臼中紋石で右は青森県の津軽・花紋石です。何となく似ているような気がします。





丸い花紋の部分を拡大して撮ってみました。ひとつめが臼中紋石でふたつめが津軽・花紋石です。似ているようで少し違いがあるような気もします。

両者は観賞石の世界では有名な石ですが、「産地が異なるそっくり石」の代表格的存在だとも言えると思います。産地は違えど両者は似ています。両者の共通点と言えば、流紋岩である事と、あえて言えば、日本海側のグリーンタフという地質学的に同質である地帯の岩石である、という事でしょうか。そう考えてみると人間の世界の行政区分では富山県と青森県という「産地が異なるそっくり石」になるのですが、同じ地質学的な環境下で生成したとすると両者が似ている事は当然の事かもしれません。小さな花紋の小さな違いは小さな個体差という程度の事かもしれません。

思うに、例えば、小松の金平鉱山の紫水晶と栃木県の富井鉱山の紫水晶は似ています。能登半島の恋路海岸の霰石と千葉県銚子市長崎鼻の霰石は似ています。それらは「産地が異なるそっくり石」と言えるかもしれませんが、地球規模で考えると同じ日本列島という同じ産地の位置付けになってしまうのかもしれません。

では、世界的規模で「産地が異なるそっくり石」の事を考えてみましょう。思い出すに、水晶で言うと、乙女鉱山産の立派な日本式双晶とペルー産の立派な日本式双晶は似ていました。市之川鉱山産の立派な輝安鉱と中国産の立派な輝安鉱も似ていました。他にも「産地が異なるそっくり石」のケースはいろいろあると思います。それらは同じ鉱物種という「産地が異なるそっくり石」であり、それも当然の事なのかもしれません。

人の場合も日本人同士は似ていますし、広くアジア人も黄色人種としては似ています。そういう意味では同じ鉱物種、人種であれば、似ているのは当たり前の事で、「産地が異なるそっくり石」という存在はそれほど珍しい現象ではない事となります。

石の場合も人の場合も多様な小さな個体差があり、その個体差の中で、少し似ている事で「そっくり」という認識をしてしまう事自体が面白いと思いました。
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