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「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた(99) 長尾家 12

2024年05月14日 08時15分56秒 | 甲越軍記
    上杉謙信誕生

 国家が興らんとするときに必ずや翔瑞あり
ここに為景の内室がある夜に夢を見た、身の丈八尺(2.4m)ばかりの異相の神人、身には甲冑を帯びて、左の手には戈(ほこ)を突き、右手には光明の珠を捧げて枕元に立ち給い、「この珠は、これ明星なり、今汝に授ける」と言えば、珠は光明を放って内室の口の中に飛びいるのを驚いて目が覚めた。

あまりにも不思議な夢なので、占いの為に府内の多門寺に詣でて本尊を拝むと、その面貌、尊き姿、持ち物までもが夢の中の神人のままであった。
「ああ 夢に現れた神人は毘沙門天であったかと、そのお告げに驚き、いと尊くねんごろに拝み、経を上げて帰れば、懐妊の心地して十月満ちて男子が誕生した。

時は後奈良院の御宇、亨禄三年庚寅正月二十一日であった
懐妊のうちに様々な奇異の瑞相多くあり、中にも臨月に至って幻の如き異形の神人、内室の前後を守護する体、傍らの誰一人見えぬが、内室だけには、その姿が見える
其の次には、出産のとき異形の童子が産屋を守護し、幾千の光の筋が産屋の四方を囲むように立つこと半刻ほど
其の三には、産湯を参らすとき、幾重も隔てる深閨の内へ、明星稲妻の如くきらめき渡り、タライの中に飛び入り賜う
為景も「この子こそ常人ではあるまい」と易者を呼んで占うと卦を立てて天澤履(年長者を敬い、その人の助けを得る人徳)の六三(霊的存在=事象)を得た
文に曰く、『虎尾を踏む人を喰らう凶なり、武人大君となるはなはだ吉なり
この子、成人の後に奇異の名将となり四海に英名を轟かせるであろう、甚だ吉なり」と云う。

乳名を虎千代と名付ける、後に上杉輝虎入道謙信というのは、この子である。


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