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 神様がくれた休日 (ホッとしたい時間)


神様がくれた素晴らしい人生(yottin blog)

人生の道のり

2025年04月25日 08時31分21秒 | yottin日記
老いること 増収の当てがないこと 患うこと
心が定まらない原因はここにある
さりとて不幸とも思わない
それでも不自由は不自由だ
愚痴がたまに出るのが良くない
良くないと思いつつも出るのは仕方ない

流れに流されていくのが楽だと言う
それは挑戦をあきらめて生きるということ
それで心は鎮まるが欲望だけは生きている
だから困る
本当になにもかも捨てることができれば
それはそれで楽なのだろうがつまらない

祖父は若いときに貧乏から逃れようとあがいた
あがいたけれど肉体労働はまっぴらで
形にばかりこだわっていた
だからまともな職に就かず生きてきたのが不思議だ
幼時から頭が良くて家が豊かなら学者様になったものをと
親戚も近隣も口をそろえた
だが人生を経て古希を迎えてもあのざまだ
人に言われると腹が立つが自ら認めていたからしかたあるまい

人の一生なんて
その人の資質と行動力で決まる
貧しい家庭から天下を取った人間だっている
そこまで行かなくても企業の社長となって立派な人生を送った人は多い
だから負け犬はしょせん負け犬
誰を恨むこともない
みんな己の歩いてきた道の積み重ね。


青年の樹(昭和36年)三浦浩一 石原 慎太郎 作詞、山本 直純 作曲


美智子の失業 24

2025年04月24日 19時02分51秒 | 美智子の失業
 早めに切り上げて、実さんに挨拶して店を出た
外に出て、すぐに美智子に電話を掛けた、やはり電話はつながるが美智子は出ない、そのうちに切られてしまった
メールを送っておいたが、既読にもならない
これは実さんが言った通りだったのか、美智子は私に詐欺を働いたのか、顔から血の気が引いた
旅行気分が一気に地獄に突き落とされてしまった、悔しいと言うよりも魂が抜け落ちていく気分だ、急激に体から力が抜けていく
へなへなと道端に崩れ落ちてしまった。

 実さんが言った通り、美智子は約束の5日になっても帰ってこなかった
相変わらず電話にも出ない、メールも無視のまま
私はあきらめて、事情は言わずに秋野に「何も聞かずにこれをもらってくれ、女房でも彼女でも連れて行って来いよ、予約日は明日だがな」と予約券を渡した
後日、秋野は「太陽さん、最高でしたよ、すみませんねぇ」と報告に来て言った、奴もうすうす私と美智子の関係に気が付いているようである。

 私は美智子にまんまと騙されていたことに気づいてから、様々な方面から美智子の情報を集めるために動き回った
例のマルキュウの販売部長には仕入れの発注を装って、美智子がマルキュウに勤めていた時の勤務態度などを聞き出した
それによれば「退職金のことで大岩社長が美智子さんを怒鳴りつけたことなどありませんよ」と苦笑していた
思いがけない言葉に私は愕然としたが、続けて
「美智子は退職金をもらえなかったと言っていたが」と聞くと
「それは無いですよ、うちの会社は社長や事務長はどうか知りませんが、会社自体の福利厚生サービスは経理事務所からも褒められるほど充実しています
全員を入社時から退職金共済に加入させて就業年数に沿った退職金を払っていますよ、たとえ一年で辞めてもそれ相応の金額は支払っていますから、美智子さんは勘違いしているのではないですか」
という返事だった。

そしてマルキュウを美智子が辞めさせられたというのは間違いなかったが
理由は坂崎と美智子の関係があまりにも露骨で、誰にはばかることなく会社の中でもいちゃつくため、特に女子社員から社長に苦情がいったらしい
それで社長も気にしてみていたが、女子社員の言う通りだったので、何度か坂崎と美智子を呼びつけて説教をしたが、どこ吹く風だったから、とうとう大岩社長は美智子を辞めさせたのだという
もちろん、退職金は支払っての上である。

また別の関係者から聞いた話では、大岩が松金に投資会社の件で泣きついて、代わりに美智子を紹介したことは事実だったが、松金が美智子を訴えるという話も、50万円を違約金として受け取ったことも全くなかった、すべて美智子と坂崎の作り話、というより坂崎が考えて美智子に言わせたのだろう
「ああ、あの子は一か月だけアルバイトして辞めたよ」と松金が言っていたそうだ、松金が美智子にどうこう言ったとかいうのはすべて美智子の嘘だった。

結局、美智子に渡した50万円、伯母さんの見舞いの21万円はすべて作り話で私が騙されて払ってしまった金であった
植木等の「スーダラ節」の一小節「おれがそんなにもてるわきゃないよ」だった、私はお人よしの鴨だったのだ、スケベ心をいいように利用された
警察に訴え出れば美智子は犯罪者として指名手配されるかもしれない、だが坂崎が関わっていることなど証明できないし、本当に坂崎と美智子が一緒にいる確信もない
たとえ二人が捕まったにしても、私が失うものが大きい、町中の笑いものになるだろう
坂崎に煮え湯を飲まされた人間は他にも何人かいたらしい
根っからのペテン師だが、巧妙で自分は直接関与しないからみな泣き寝入りしたらしい、私もそうするしかない。



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美智子の失業 23

2025年04月23日 19時11分46秒 | 美智子の失業
 「おまえは商売柄、マルキュウは知ってるだろう、あの大岩社長はおれとは同級生だ」
「ええ!、そうなんですか」
「がめついやろうだ、金に汚い、しかし坊ちゃん育ちだからガードが甘い・・・まあそんなことはどうでもいいが
美智子は高校を卒業してすぐにマルキュウに入ったんだが、そこの営業の若造とすぐにできちまってな、まあ若い娘だから当然だがよ
そこに坂崎が割り込んできたんだ」
「坂崎って、事務長の坂崎ですか」私はびっくりした、実さんの口から大岩や坂崎の名前が出るとは予想外だ
「そんなことは知らんよ、大岩の甥だ、大岩の姉の子だ」
「そうですそうです、事務長だ」と言うと
「へー、あの坂崎が事務長とは、どうりでごたごたするわけだ」
「坂崎を知ってます?」
「ふん、知ってるどころか、あいつは若いころ俺の金魚のフンだったんだ
おれについて歩いては酒をせびっていたもんさ
俺も若いときは金もないのに飲み屋街を風を切って歩いていたからな」
実さんなら、それもあり得ると思った、父からも聞いたことがある
「そのうち、マルキュウに拾われたんだろう、たぶん大岩の姉が大岩にねじ込んだんだ、坂崎はどこかの会社に落ち着くような男じゃないからな
大岩と大岩の姉は10歳も違うから、大岩も姉には頭があがらないのさ」
「なるほど」
「坂崎の女好きは病気だ、あのとおり少しグレていて、そのくせ男前だし口はうまいし、いつもヘアスタイルを決めていて、おしゃれだしな
軽い女は、すぐにひっついてしまう」
「ほう、そんな男なんですね」
「そうさ、そうしてものにした女には貢がせる、ほれ!なんって言ったっけ
東京の歌舞伎町とかでかっこいい兄ちゃんが・・・」
「ああ、ホストクラブのホスト」
「そうそう、それだ」
「そういえば、坂崎は雰囲気ありますね」
「だから、奴は遊び金には、不自由しない、それでやめときゃいいが、やはり欲がでるから悪いこともするらしい、俺から早く離れてくれてよかったよ」
「で、美智子と坂崎の話は」と私が催促すると
「美智子が最初に付き合った男は若くて普通のあんちゃんだったが、美智子の性格では物足りなかったんだろう
そこに坂崎が割り込んできた、あの『おんなったらし』だから若い美智子はひとたまりもなく夢中になったらしい、困ったもんさ歳も親子くらい違うのに
坂崎は見た目が若いから年齢差を感じないのかもな
後先考えずに突っ走るのは誰に似たのかなあ、美智子の兄は真面目に大学を卒業して東京で役所に勤めた、もうこっちには帰ってこないだろう
兄貴も真面目だしなあ」と考えている
(後先考えないで突っ走るのは実さんじゃないか、美智子は叔父さんに似たんだよ)と言いたかったが、いえる相手ではない。

 それにしても美智子も桑名だとか伯母さんだとか嘘をついて、何を企んでいるんだろう、私は急に疑問がわいてきて
「実さん、坂崎はマルキュウを辞めてどこかに行ったらしいですよ」と話したら、実さんは(なるほど)と言った顔で
「坂崎はマルキュウを辞めて行方不明だってことですよ」と知らせると
「ああ、そりゃあ坂崎と美智子は確実に一緒にいるな、二人とも同時にいなくなるなんておかしい、まず美智子は帰ってこないよ、見てな」
と決めつけた口調で言ったから驚いた
(まさか)と思ったが、母親が、お金も持たずに娘任せなんてあるはずがない、今頃そんな疑問が湧いて来た
「嘘を言って出て行ったってことは、何かあるな、帰ってくればただのずる休みってことだが」と実さんが言った。

 私は急に不安に襲われた、宮内の今朝の話では坂崎が大金をもって行方知れずになったというし、美智子は坂崎の女だと実さんは言うし、美智子の本当の姿が見えてきた、昨夜までの幸せな気持ちが崩れていく。

登場人物
私 地方でスーパー太陽を営む 39歳
美智子 大岩の物流会社「マルキュウ」勤務、突然解雇される 21歳
大岩 「マルキュウ」の社長、博打好きで、とかくの噂がある 50歳
宮内 商店主 私の遊び仲間 38歳
秋野 商店主 私の遊び仲間 37歳
松金大吉 成金の市会議員 55歳
星元太郎 県会議員   58歳
絵理 美智子の友達 22歳
友美 マルキュウの事務員 35歳
坂崎竜馬 マルキュウの事務長 経理部長 大岩の甥 41歳
実さん 私の母の従弟、50歳

散歩をしたら

2025年04月23日 07時02分51秒 | yottin日記
 昨日は一日良い天気だったのですが、病院に行く日だったので朝方少し畑をかまってから病院の外科に行きました。
検査ではなくて、新しく使い始めた食道炎の薬(胃酸を制御する)の経過を伝えに行ったのでした
おかげで胸やけも胃酸逆流も、この2週間は無くなり食後も普通に過ごせます
今までは胃酸があがってきたり、胸焼けしたり、酒を飲んだり、食べすぎたりすると喉からみぞおちまでヒリヒリしたものでしたが、すべておさまっています。

 医師との話は5分ほどで終わり、支払いに行くと昔の同僚に会いました
待合所では女房殿の友達にも会って、挨拶しました
家に帰って昼食をとってから、調剤薬局へ薬をとりにいきました
車なら5分ですが、天気が良いので散歩がてら歩いていくことに、少し歩いて行ったら同級生のT子さんに会いました、少し話したら地域のグランドゴルフの大会に行くとのこと、一昨日に散歩途中で会った同級生のS君はゴルフと畑仕事、つーくんは畑仕事と散歩、このように同級生はそれぞれに趣味をもって楽しんでいます。

 薬局の帰り道、自転車屋の前を通ったら店主が新品の自転車を組み立てていたので、ここでも立ち話
彼は7歳年下ですが、40年前までは一緒に草野球をした仲間です
あの頃は早朝4時半に起きての朝野球のリーグ戦をしていたものです
あの時のメンバーも半数は亡くなりました、エースの美容師Yさん、助っ人エースのクリーニング屋のIさん、不動の四番バッターの土建業Aさん、最年長で監督だった建具屋のKさんは戦後シベリア抑留された人、市会議員のYさん、鉄工所の社長Sさん、ペンキ屋のNさん、電気工事店のYさん、野球部出身のNさん、菓子屋のMさん、皆さん天国へ行ってしまいました。

今も存命のメンバー最高齢は90歳の床屋さん、あとは土建業のKさんが80歳くらいで次が私になるのかな、当時の若手もみな60代半ば過ぎに
いやあ懐かしい顔を思い出しました、私もここで魚屋と宴会場をやっていたのでこの界隈を歩くと昔のお客さんに時々で会います
もう8割は亡くなったでしょう、たまに会うお客だったお母さんたちも若くて80代半ば、90代もいます、彼女たちのご亭主はほぼ全滅したようです
たまには長年過ごした地域を歩くのも良いものですね。


君といつまでも/加山雄三

美智子の失業 22

2025年04月22日 19時14分54秒 | 美智子の失業
 繁華街を目指したものの、静かな方がいいなと足は通いなれたる秋野の居酒屋へ向かう
時間は7時、飲みに来ているものもいれば、夕飯代わりに来ている者もいる
店の入りは7分と言ったところか、まあまあ活気がある
私は空いている席を探した、すると一人で4人席に座って酒と肴をつまんでいる客に目が行った、それは実さんだった。

 実さんは、私の父の従妹の亭主である、「実さん、実さんだろ」
「うん? 」顔をあげてじっと見る、久しぶりだからピンとこないのか
「おー わかった、太陽じゃないか、ひさしぶりだなあどうだ景気はいいか」
「いやあ、相変わらずですよ」
「そうか、まあこんな時代に商売を続けているだけいいってもんか
お前が大きな商売をやっているから、おれも鼻が高いよ」

 実さんは短気でいくつもの会社に入っては喧嘩をして辞めるの繰り返しだった
今は50歳くらいになって少しは大人しくなった、今の会社にはもう十年ほどになるから彼としては最長記録ではないだろうか
ようやく奥さんもホッとしたことだろう
「おお、そうだ、美智子がおまえんとこに世話になっているらしいな」
「えっ? 美智子をどうして知っているんですか」
まさか実さんの口から美智子の名前が出るなんて思わなかった、こりゃあ油断大敵だ。

「何言ってるんだよ、とぼけちゃ困るぜ」
「とぼけるって?何がです」
「何がって、本当に知らないのか?」
「ええ」
「美智子はおれの姪だよ、兄貴の娘だ、お前のところに勤めたと聞いて喜んでいたんだ、そんなこと当然知ってると思っていたよ」
これは思いがけない展開になった、まさか美智子が実さんの兄夫婦の娘だったなんて
実さんの実家になるわけだが、私は実さんの兄夫婦についてはまったく何も知らない、親類でもないから当然だ
ちょっとややこしいが「親戚の親戚」ってやつだな、美智子とは血はつながっていないから安心だが、どうりで引き合うはずだと思った

「そうだったんですか、美智子は今日は休みですがね」
「ああ、そうなのか、元気でやっているんだろ」
「ええ、本人は元気ですよ、でも母親の姉さんが危篤だって桑名に行ってますけどね」
「桑名だと?、母の姉さんだと、あの野郎また・・」
実さんの口調が荒くなって、怒りの表情になった、いったいこれはどうした

「何か知ってます?」
「美智子の母親に姉なんかいないし、桑名に親戚なんかない、おまえまさか金なんか渡してないだろうな」実さんは乗り出してきて私を見た
嫌な予感がして
「いや、お金なんて渡してませんがね」と咄嗟に嘘をついた
「そうか、それは良かった、おまえにも迷惑かけたんじゃないかと思ってな」
実さんからの予想もしない言葉に驚いた
「美智子は大人しくて真面目な娘ですよ、仕事も真面目にやってますしね」
「そうなのか、おまえんとこでは真面目にやっているのか、それはお前がいい社長だからだな、マルキュウの時は酷くてなあ」
 姪だというのに、酷い言われようだ。
「美智子って、そんなんですか」
「おまえ本当に知らないのか?」
「何がです」
「美智子には兄貴も困っているんだ、こんなことは言いたくないが、高校時代から不良娘で、おまえが面倒見てくれたので、良いところに収まったって喜んでいたが、どうやらまた悪い虫が起きたようだな」
そういえばドライブの時、美智子は高校時代の初体験の話を軽い口調で話したのを思い出した
「それでも実さんの姪でしょ、美智子のことを他人のおれに話していいんですか」ちょっとムカついた
実さんは、落ち着いた口調で「おれが言わなくても知ってる者は多い、それに俺は兄貴を好きじゃない、おれが美智子の親なら殴りつけてでも根性を叩き直すが、兄貴は知らん顔だ、それで、あんな不良娘になったんだ
ろくでもない奴とばかり仲間になっている」


登場人物
私 地方でスーパー太陽を営む 39歳
美智子 大岩の物流会社「マルキュウ」勤務、突然解雇される 21歳
大岩 「マルキュウ」の社長、博打好きで、とかくの噂がある 50歳
宮内 商店主 私の遊び仲間 38歳
秋野 商店主 私の遊び仲間 37歳
松金大吉 成金の市会議員 55歳
星元太郎 県会議員   58歳
絵理 美智子の友達 22歳
友美 マルキュウの事務員 35歳
坂崎竜馬 マルキュウの事務長 経理部長 大岩の甥 41歳
実さん 父の従妹の夫 50歳