白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

DeepZenGo、幽玄の間に降臨!

2017年06月24日 23時37分25秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
タイトル戦続きで、当ブログではなかなか触れられませんでしたが、皆様はこのニュースをご覧になりましたか?

2017年6月21日(水)~2017年12月31日(日)まで、棋士とDeepZenGoが幽玄の間にて、公開で練習対局します!

AlphaGoが李世ドル九段を破ってから、いつかはこんな時代が来ると言われていましたが・・・。
思ったより早かったですね。

最初はナショナルチームメンバーのみ対局しますが、一定期間後に一般の棋士も対局できるようになる予定です。
私も1局ぐらいは打っておきたいですね。

始まってからまだ4日目ですが、既に20局以上打たれています。
一般棋士が参加するようになったら、ほとんど常時対局している状態になるのではないでしょうか?
この機会に、ぜひ幽玄の間へのご入会をご検討ください!

ちなみに、対局の方針は内容は各棋士によって様々です。
人間相手と同じような打ち方をする棋士もいれば、
Master(AlphaGo)の手をひたすら試してみる棋士もいます。
また、DeepZenGoの弱点を探るというか、バグ探しに精を出す棋士もいます。

貴重な機会ですから、とにかく色々試してみるのは良いことです。
もっとも、アマの皆さんに公開している以上、棋士として恥ずかしくない対局をすることは心がけたいですね。

今の所、DeepZenGoに勝った棋士は広瀬優一初段大竹優初段の2名です。
ワールド碁チャンピオンシップなどで、DeepZenGoはヨセが弱点であることが知られていますが・・・。
どうやら、まだ克服はできていないようですね。
途中まで無茶苦茶強いのですが、ヨセで突如自滅してしまうのです。
そんな弱点を抱えながら勝率9割以上というのも、恐ろしい話ですが・・・。
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立葵杯結果

2017年06月23日 23時31分27秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は第4回会津中央病院女流立葵杯、決勝第3局が行われました。



1図(実戦)
謝依旻女流3冠の黒番です。
黒△までは双方堂々の布石で、お手本のようです。
この後白Aと消しに行ったのも自然な打ち方ですね。





2図(実戦)
手順が進み、白△と浅く侵入した場面です。
ここで大半の棋士が考えるのは、いかにして白の侵入を食い止めるか、ということでしょう。
ところが、謝女流3冠の発想は違いました。





3図(実戦)
何と、黒1から白の退路を断っての殲滅作戦!
世界広しと言えど、この白を取りに行けるのは謝女流3冠だけ!     ちょっと言い過ぎました(笑)。

この後は、生きるか死ぬかのスリリングな攻防が繰り広げられました。
囲碁ファンは大喜びの展開でしょうね。

結果は見事に凌ぎ切った藤沢里菜女流2冠が勝ち、2勝1敗でタイトルを獲得しました。
これで女流3冠となり、とうとう女流棋士の頂点に立ちました。


私が負けても仕方ないことがご理解頂けたと思います。
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碁聖戦、開幕!

2017年06月22日 22時22分00秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日の手合は幸運にも勝つことができました。
これで10勝目となり、年間20勝ペースですが、後半戦失速するのが例年のパターンです。
体調に気を付けて頑張りたいと思います。

近々引っ越しなどの予定があり、スケジュール管理が難しいですね。
ブログはしばらく省エネになる予定です。

さて、本日は第42期碁聖戦が開幕しました。
井山裕太碁聖に挑戦するのは、山下敬吾九段・・・。
これはもう、毎局激闘必死ですね(笑)。
第1局も凄いねじり合いになりました。





1図(実戦)
井山碁聖、白1、3と黒を強硬に分断!
以前からある手ではありますが、やはり力自慢の井山碁聖が打つと「らしい」と感じますね。





2図(実戦)
山下挑戦者の黒1、3にはビックリ!
黒3と△の形は、空き三角を2つも内包している珍形です。
ちょっと思い付かない打ち方ですね。





3図(実戦)
しかし、黒Aによる根拠確保の余地を残しておけば、黒△と強気に戦えるという意味でしょう。
一回我慢しておいて、上下の白への逆襲を狙った訳です。
このような打ち方も、山下挑戦者の一面でしょうか?





4図(実戦)
何だかやたら並びが多い進行ですね。
まるで初級者同士の碁のような・・・(笑)。

もちろん、実際には両者が深く読んだ結果、最善と思って打っているのです。
凄い力比べです。

最後は井山碁聖の中押し勝ちとなりました。
第2局以降も見所の勝負になるでしょう。
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夢百合杯・2回戦

2017年06月21日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は夢百合杯の2回戦が行われましたが・・・。
高尾九段、河野九段共に敗れました。

そして、何とDeepZenZenも敗退!
相手の王昊洋六段は相当な打ち手ですが、DeepZenGoの1回戦の内容からして、簡単には負けないと思っていました。
しかし、結果は半目差になったものの、あまり接戦という感じも受けない碁でしたね。

ワールド碁チャンピオンシップでも見られたように、まだまだ課題があるようです。
本日から始まった幽玄の間での日本棋士とのスパーリングは、その課題の克服も兼ねているのでしょうね。
その件については、また改めてお話ししましょう。

さて、本日はDeepZenGoが見せた、見慣れない打ち方をご紹介しましょう。



1図(実戦)
DeepZenGoの黒番です。
三々に対して、黒1の肩ツキ一本から黒3のカカリ!
支離滅裂のようですが、これには様子見の意味があります。





2図(変化図)
例えば左辺で戦いが起こった時に、黒△を打っておいたことが働き、左辺に拠点を作ることができます。
別の言い方をすれば、左下の肩ツキを打っておいたことで、左上のカカリの価値が高まったということになります。





3図(変化図)
黒1に対して白2の方を這えば、今度は下辺に展開するのでしょう。
白の対応によって、後の打ち方を決めようというのです。
もっとも、こういう発想自体は昔からありまして・・・。





4図(変化図)
こんな感じの布石も稀に見かけます。
白2のツケに対して手抜きで黒3空き隅を占めたのは、もし白が右下の空き隅を占めれば黒Aから、左辺を大きく構える作戦です。

また、白が気合で白4と連打すれば、黒5と打って空き隅を3つ占められるという訳ですね。
黒1はかなり酷い手になっていますが、まだ活用の余地があるため、黒がスピードで勝ることを考えればほぼ互角の進行と考えられます。



5図(実戦)
実戦も似たようなことになりました。
左上は手順を変えて、黒の目外しに対して白が小目にカカッた形と考えれば、やはり黒が3隅に先行したことになります。

ただ、白4と連打された形は前図より悪そうな印象を受けますね。
ですから打つ人がいなかったのですが、DeepZenGoはその判断は間違っているという訳です。
まあ、仮にどちらかが良いにしろ、その差はごく僅かでしょうね。

本局はDeepZenGoが攻め合いや死活が読めていない印象を受けましたが、実際のところはどうだったのでしょうね?
敗退は残念なような安心したような、複雑な気持ちです。
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先日の対局

2017年06月20日 23時59分59秒 | 対局
皆様こんばんは。
本日は田原靖史七段との対局を振り返ります。



1図(実戦)
私の白番です。
白1の目外しは、黒Aのカカリに白Bとカケる作戦です。
黒△の揚げ足を取り、下辺に黒石を偏らせようとしています。

もちろん相手はプロなので、決して注文通りには打ってくれません。
しかし、目指したい構想を盤上に表すことは、精神衛生上良いことなのです。





2図(実戦)
黒△と打たれた場面です。
白Aと隅を確保すれば黒Bと開き、下辺で安定した形ができます。
左下白の勢力が働かなくなりそうで、気分の良い進行ではありません。





3図(実戦)
そこで実戦は、白1のメイエン流(?)を採用しました。
黒2で黒3に打てば白2で攻めを狙えますし、実戦の進行なら左右をつなげて大模様で勝負できます。





4図(実戦)
この後色々あって、白1と三々に入る展開に・・・。
Masterの真似という訳でもありませんが、しかし例の60番碁が無ければ思い付かなかった発想かもしれません。

現局面は左辺には黒Aの出があり、上辺には黒Bの進出があります。
白としてはどちらを盛り上げても大きな地になりそうにないので、三々入りで黒の攻めを狙ったというところですね。
後から考えると、やっぱり良くなかったかなとも思いますが、自分の意思でやったことなので仕方ないですね。





5図(実戦)
隅の地を取るのではなく、Master風に黒全体の攻めを狙ってみました。
結果的には、あまり上手く行った感じもありませんでしたが・・・。

所々で自分の弱さを感じた碁でしたが、辛抱強く打てたのは良かったですね。
投了させられては、幸運が訪れることもありませんから・・・。
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