白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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夢百合杯・2回戦

2017年06月21日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は夢百合杯の2回戦が行われましたが・・・。
高尾九段、河野九段共に敗れました。

そして、何とDeepZenZenも敗退!
相手の王昊洋六段は相当な打ち手ですが、DeepZenGoの1回戦の内容からして、簡単には負けないと思っていました。
しかし、結果は半目差になったものの、あまり接戦という感じも受けない碁でしたね。

ワールド碁チャンピオンシップでも見られたように、まだまだ課題があるようです。
本日から始まった幽玄の間での日本棋士とのスパーリングは、その課題の克服も兼ねているのでしょうね。
その件については、また改めてお話ししましょう。

さて、本日はDeepZenGoが見せた、見慣れない打ち方をご紹介しましょう。



1図(実戦)
DeepZenGoの黒番です。
三々に対して、黒1の肩ツキ一本から黒3のカカリ!
支離滅裂のようですが、これには様子見の意味があります。





2図(変化図)
例えば左辺で戦いが起こった時に、黒△を打っておいたことが働き、左辺に拠点を作ることができます。
別の言い方をすれば、左下の肩ツキを打っておいたことで、左上のカカリの価値が高まったということになります。





3図(変化図)
黒1に対して白2の方を這えば、今度は下辺に展開するのでしょう。
白の対応によって、後の打ち方を決めようというのです。
もっとも、こういう発想自体は昔からありまして・・・。





4図(変化図)
こんな感じの布石も稀に見かけます。
白2のツケに対して手抜きで黒3空き隅を占めたのは、もし白が右下の空き隅を占めれば黒Aから、左辺を大きく構える作戦です。

また、白が気合で白4と連打すれば、黒5と打って空き隅を3つ占められるという訳ですね。
黒1はかなり酷い手になっていますが、まだ活用の余地があるため、黒がスピードで勝ることを考えればほぼ互角の進行と考えられます。



5図(実戦)
実戦も似たようなことになりました。
左上は手順を変えて、黒の目外しに対して白が小目にカカッた形と考えれば、やはり黒が3隅に先行したことになります。

ただ、白4と連打された形は前図より悪そうな印象を受けますね。
ですから打つ人がいなかったのですが、DeepZenGoはその判断は間違っているという訳です。
まあ、仮にどちらかが良いにしろ、その差はごく僅かでしょうね。

本局はDeepZenGoが攻め合いや死活が読めていない印象を受けましたが、実際のところはどうだったのでしょうね?
敗退は残念なような安心したような、複雑な気持ちです。
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