白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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先日の対局

2017年06月25日 23時29分43秒 | 対局
皆様こんばんは。
DeepZenGo、なかなか負けませんね。
しかし、ダメになるパターンは大体見えて来ましたから、対策も立てられていくでしょう。
次は誰が勝つでしょうか?

さて、本日は先日の対局を振り返ります。
相手は姚智騰四段です。



1図(実戦)
私の白番です。
黒1と構えられて右辺が大きくなりそうなので、割って行きたい場面です。
その着点としては、白Aならごく普通です。
基本的に割り打ちは3線が良いとされているからです。
この事情については、著書「やさしく語る 布石の原則」でも解説しています。

ですが、実戦は白1と4線に割り打ちしてみました。
安定感に乏しい割り打ちですが、中央を意識した趣向です。





2図(実戦)
白6と開いたものの黒7と詰められ、黒Aのスベリが残って根拠が心配です。
攻められる可能性があるので、アマの皆さんにおすすめはしていません。
ただ、これには具体的な構想がありました。





3図(実戦)
白1を利かし、左辺白3と打ち込みました。
黒16までは容易に想定できるので、続けて白17とMaster風に肩ツキ!
右辺で治まるのではなく、白△を中央での勢力圏争いに活用する構想でした。





4図(実戦)
黒1~5と応じられ、黒地ばかり増えて行くようですが、将来性で勝負するつもりです。
赤で囲った地域は地になる可能性が高いですが、黒の全体の地に比べれば大したことはありません。
しかし、白AやBに回れば、青のラインがつながり、巨大な勢力圏ができるかもしれません。

勢力圏に対する意識の重要性は、「やさしく語る 布石の原則」での肝ですが、本の執筆の間に私自身の碁も少し変わったかもしれませんね。
これが結果に結び付くと良いのですが・・・。

そう簡単には勝たせてくれないのがプロの世界ですから、難しいかもしれません。