天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画2024】「エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命」@23作目

2024年05月01日 | 映画感想
「エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命」

19世紀イタリアで実際に起こった誘拐事件を題材にした人間ドラマ。制作がイタリア×ドイツ×フランスなのでスタッフ&演者にほぼ見覚えなし。
本作は2023年(第76回)カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されたんだそーです。

あらすじ
1858年、イタリア・ボローニャのユダヤ人街。家族と共に暮らしていた7歳の男児エドガルド・モルターラ(エネア・サラ)は、「何者かに洗礼を受けた」という情報により、教皇の命を受けた兵士たちに連れ去られてしまう。彼の両親は息子を取り戻そうと奔走し、世論や国際的なユダヤ人社会の支えも得て、事態は政治的な様相を呈していく。しかし、教会とローマ教皇は揺らぎつつある権力を強化するため、エドガルドを両親のもとに返そうとはしなかった。(Yahoo!検索情報から丸パク)

先ずね、キリスト教×ユダヤ教の事をサラッと勉強しておいた方が本作の背景が分かり易いと思う&19世紀イタリアの歴史もサラッと知っておいた方がー…てね、要するに日本生まれの日本育ちな上に高校時代に日本史選択(あ、自分の通ってた高校、歴史が日本史か世界史の選択科目だったん)、実家は浄土真宗(まあ、ザックリ言うとほぼ無宗教)な自分のような割と平均的な日本人には非常~に取っかかり難い題材の作品、と言えるでしょう💦

だから、映画が始まってしばらくは何が起こっているのか?どういう状況なのか?がサッパリ要領得なくてクチぽかーん(゚Д゚)
まあ、もしもザックリでも本作について予習した上で鑑賞していたとしても「ちょっと何言ってるのかワカリマセン(サンド富澤風)」的な展開ではあります。

話は誘拐されてローマ教皇の元でコツコツとキリスト教の教義を叩き込まれて洗脳されていくエドガルド少年の様子と、我が子を何とかして取り戻したいとマスコミ煽動したり法廷で争ったりと八方手を尽くして頑張るユダヤ人ファミリーの様子を平行して見せているんですが、法廷での証言シーンで赤ん坊のエドガルドに勝手に洗礼を受けさせたのが当時モルターラ家で働いてた下女で、しかもその洗礼というのが水を赤ん坊のおでこにペペッと引っ掛けて一言定型句を言うだけで誰がやっても1秒で洗礼として成立する、というのが驚愕でしたね。
しかも洗礼を受けたかどうかの証拠が「下女が自分がやったと言った」という「言ったもん勝ち」みたいな超いい加減な…こんなもんイタリア国内、いや世界中でキリスト教徒が同じ事やったら地球上ほぼキリスト教徒で埋め尽くされますぜwみたいな、ネタかよ!って言いたくなるような展開w

当時はまだイタリアが現在のイタリアとは違って、小さな都市国家の集合体のような混沌とした状態で、宗教で治めようとするローマ教皇(バチカン)と新たに台頭してきた自由主義運動がバッチバチになっている中、力を失いつつあるキリスト教が何とか復権を狙ってユダヤ教徒の取り崩しと取り込みを図ろうと誘拐を繰り返していた(のであろう)背景が観ている内になんとなーく分かってきます。
まーそれにしたってちょっと有り得ない話だと思いますよ。コレが史実だったというのが本当に驚きです。この映画観て「キリスト教って素敵✨(トゥンク…)」って思う人、多分何処か病んでると思うわ。いや…と言うよりも本作明らかにキリスト教に対して悪意を感じる表現だった、と考えるべきかもね。自分は上にも書いたけどバッキバキの無神論者日本人なので、キリスト教×ユダヤ教辺りの宗教戦争?宗教論争?について不勉強だし…まあ本作を観た印象が「キリスト教による宗教弾圧の悲劇」という風に見て取れた、という事で。

そんなこんなで…幼くして無理矢理家族から引き離され母の面影を追い求めて泣いていたエドガルド少年が、年齢を経てすっかりキリスト教の教義に洗脳され、母と約束したユダヤ教のお祈りを忘れ、そして今際の際の母親にある施しをしようと意図して実家に戻って来る。市井に溢れるB級ホラーよりも100倍背筋の寒くなるようなお話でした💦


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