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ぽかぽか春庭「学生発表会夏」

2022-07-14 00:00:01 | エッセイ、コラム
20220712
ぽかぽか春庭にっぽにあニッポン語教師日誌>2022日本語学校夏(6)学生発表会夏

 不定期に行っている「校内日本語発表会」は、学んだ日本語を使って発信していく練習としてパワーポイントを使って他クラスの学生の前で日本語プレゼンテーションを披露するものです。

 2020年12月に入学した学生は、日本語学習半年目のころ「我が国の食べ物・衣服・建物」というテーマで、自国の伝統食伝統衣服などを発表しましたし、1年目には「市民にインタビュー」という活動で、近隣の材木会社社長や市役所職員などに質問を出して答えてもらうという活動をしました。

 日本語活動1年半の今、だいぶなめらかな日本語発表ができるようになってきました。
 2022年6月までの1年半の間に、それぞれが努力を重ね、Aクラス学生は、日本語能力試験1級合格者と2級合格者。3人が7月3日実施の日本語能力試験1級に挑戦しました。

 当校の中では一番上のクラスなので、少々高度な内容を課題としました。教科書のトピックとして取り上げられた「自国の文化のなかで、他国とのかかわりによって変容を受けた歴史的事実の紹介」というテーマです。

 各人のテーマは。
 学生1「ケータイ電話普及によって、中国社会はどのように変容してきたか」PPTなしの口頭発表。
 一般家庭電話の普及が全土に及ばない前に、個人用ケータイ&スマホが普及したため、中国全土、特に田舎の情報獲得には、大きな変容が起きたことについて、  発表したのですが、口頭発表だけだったので、Aクラス(N1レベル)に比べて日本語力がまだ弱いBクラス(N2レベル)の学生には、わかりにくいところもある発表になってしまいました。
 中国ではスマートフォンアプリによって、買い物はほとんどがアリペイなどによって決済されており、日本に来て久しぶりに現金支払いを経験する学生もいます。
 中国の人々の生活は、この10年間で激変しました。

 学生2 中国で近年盛んになった行事がどこから入ったものなのか、を調べて発表しました。PPTの画像が多彩で、日本語力が弱いBクラス学生にも画像の力で興味が持てる発表になっていましたが、画像がにぎやかな分、内容はやや浅く、もう少し掘り下げてあれば申し分なし。

 pptをたくさん準備して、わかりやすい発表になっていました。

 PPTのタイトルページ


 学生3 清朝康熙帝が、中国史上はじめて外国と対等に条約を結んだ「ネルチンスク条約」について発表。
 私も、中国と露西亜の間に結ばれたこのネルチンスク条約について、まったく知りませんでしたので、とても興味深く聞きましたが、日本語力不足のBクラス学生には難しすぎ。
 翌日行われた質疑応答で、日本語での質問「どうしてこの条約について発表しようと思ったのですか」という当然の質問に対して、本人もいきあたりばったりで選んだものだから「私に質問するな」という中国語での回答だったとか。(HALセンセが立ち合っていないときの質疑応答)

 学生4 中国の子供に、日本のアニメがどのように浸透していったか、一休さん、ドラゴンボール、ジブリ作品などの画像を示しながら、初期には日本製アニメが海賊版中国語吹替でテレビに登場し、中国の子供たちは、これが日本製だとはまったく知らずに日本文化の影響下に育った、という解説をしていました。ドラゴンボールなど、だれもが中国製だと信じて疑わなかったのだとか。主人公は孫悟空ですからね。

 現在では著作権問題も解決したうえでのアニメ放映がほとんどですが、現在でも、日本で放映された翌週には不確実な中国語字幕つきで日本の新作テレビドラマがネット放映され、日本のテレビ局などが気づいて「著作権うんぬん」と言い出す前にネット放映終了。

 中国に導入されたアニメについての発表


 学生の発表によって、私自身もいろいろな学びがあります。
 最初は「私は日本語が上手じゃありません」などと、いやがっていた学生も、発表の回数を重ねると日本語による表現の力がどんどんついてきたように思います。
 PPTの文字表現に誤りもあるし、日本語発音の不確実なところもあるのですが、「習うより慣れろ」の面も多々あります。
 これからも日本語の発表を続けることによって、日本語の発信力が増すことを願っています。

<つづく>
コメント (2)
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