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ぽかぽか春庭「小石川後楽園のひつぢ田と紅葉」

2017-12-02 00:00:01 | エッセイ、コラム


20171202
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2017年十七音日記東京紅葉(1)小石川後楽園のひつぢ田と紅葉

 飯田橋に映画を見にいき、ついでに小石川後楽園で紅葉を見ようと11月25日に立ち寄りました。後楽園はよく散歩するところですが、紅葉を見るのは久しぶりです。

 後楽園の門に着いてびっくり仰天。門外に長い列ができていたからです。門の外に100mくらい人がならんでいました。門に入って券売所へ辿り着くまで、また長い列。



 夫の事務所が富士見町だったときはそうでもなかったですが、神楽坂へ次に飯田橋駅前に移って、後楽園まで近くなりましたから、おりにふれて散歩するようになりました。それ以来、四半世紀はたっているのだけれど、入場するまでにこれほど長い列に並んだのははじめてでした。列の整理をしている係の人に聞いたら、「ええ、私もこんなの長い列は初めてです」と言っていました。

 聞くところによると、いくつかのテレビで「後楽園の紅葉は今が見頃です」と言うニュースがながれたのだそうです。ニュースで知って、お天気の良い土曜日に出かけてきたくなるのも当然です。私は週末じゃなければ来られない、というのではないのだから、何もこんなに混んでいる日にこなくてもよかったな、と思いましたが、列に並んでしまったからには、と入園しました。

 とてもよいお天気。紅葉狩り日和でした。
 入場列に並んでいるとき見上げた空です。


 列は長かったけれど、園内は広いし、上を見上げているから、人の頭はそれほど気にならずに、ゆっくり紅葉を眺めることができました。



 小石川後楽園では、秋口のちょうどいい時期に訪れると、稲田に穂が垂れているのを見ることができます。園内の一畝(1アール)ほどもないくらいの広さですが、稲穂を見ると豊かな気分が沸き起こるのは、稲作農民の子孫だからでしょう。

2016年9月26日に後楽園散歩をしたときの稲田


 ブログ友達すみともさんが「穭田ひつぢだ」そしてひつぢ田に集まるサギについて書いておられました。(20171101「すみとも」)

 11月25日の後楽園稲田は穭田になっていました。


 私が「ひつぢだ」という語を知ったのは、農民作家山下惣一の著作による、と思っていたのですが、今検索してみたら、山下惣一の本のタイトルは「ひこばえの歌」(1981)でした。あれま。
 そして、蘖(ひこばえ・孫生)と穭(ひつぢ・稲孫)は同じものを指すと思っていたのですが、またまた違った。ひこばえは、倒木や切り倒した木から出てくる新芽、また実ったものを刈り取ったあとに出てくる芽など再生する芽全体を呼びますが、「ひつぢ」は稲の再生芽だけ。そうすると。私が「もったいながり」でよくやる「豆苗の根をプラスチックパックに入れたまま水につけてベランダに出しておくと、2度目の豆苗が育って食べることができる」というのも、「豆苗のひこばえ」なんですね。

 うろ覚えのままのことばを適当に使っている脳内辞書を正すことができました。ついでに。「ひつじだ」と入力すると「筆痔だ」になり、「ひつじ」と「た」を分けて入力しても「羊田」になってしまう。かなの間違いに気づいて、「ひつぢ」と入力しても「筆痔(じの間違い)」と出ました。現代社会、稲作関係の語にうといワープロになってしまったのも、仕方なし。それとも、このワープロ開発者は「痔」を患う人だったか。
 季語としてはかろうじて残っているけれど、実生活でひつぢ田に関わる人口は希少。絶滅危惧人口ですから。
 ちなみに、発音は「室町時代まではヒツチ、江戸以後はヒツヂ」だそうです。

 ひつぢ田に降り立つというサギは、隣の菖蒲田にいました。


 それでは、小石川後楽園の紅葉を存分に。






園内に残る「神田上水遺構」


休憩所前で


 11月末、東京の紅葉見頃に、小石川後楽園、上野公園、東京国立博物館庭園、旧古河庭園と、黄葉紅葉を楽しみましたので、順次写真UPしていきます。

<つづく>
コメント (6)
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