ID物語

書きなぐりSF小説

第33話。夏立つ頃。9. レース計画

2010-11-25 | Weblog
 (第二機動隊本部にて。亜有が永田らに、空中バイク計画について説明している。誤解の無いようにとの配慮だ。)

永田。空中バイク?。そんなもの存在するのか。

清水。ホバークラフトよ。超小型の。

関。また、進行波ジェットを使う。

清水。ターボシャフト型を開発するらしい。そちらは本部航空部門が作製。

関。機体はどこが作るのよ。

清水。E国ID社。

永田。どんな形だ。

清水。検討中だけど、少なくとも、一人の被災者を運べるのが条件。

永田。とすると、ローターのないオートジャイロみたいな形だな。

清水。さすが。どうして分かったの?。

関。他の形を想像するのが困難だからよ。感じは分かった。地を這うブレードなしヘリコプターだ。

永田。水陸両用にはできそうだ。障害物は超えられない。

関。蒸気ロケットがある。

永田。一瞬、飛び上がるのか。

関。激しい音はするけど。

清水。秘密も何もない。そうするらしい。バイク並みに軽いから可能。

永田。とんでもない移動装置だ。

関。各国の軍が腰を抜かすわ。いつできるのよ。

清水。一カ月後に、最初の2機をよこすらしい。

関。最初の、って何よ。

清水。使ってみないと、役立つかどうか分からないって。

永田。危険な乗り物のような気がする。

関。よほどロボット化しないと、人間では操縦できない。

永田。自動人形専用装置か。見てからだな。

関。ええ。今までいろいろ見てきたけど、結局、軍事的脅威には程遠いものばかり。

志摩。入るよ。いいかい?。

清水。どうぞ。

関。志摩さん。珍しい。

志摩。空中バイクの件だ。

関。今、話してたのよ。何か起こったの?。

志摩。F国ID社が横やりを入れてきたらしい。

清水。まあた?。ID社って、結構内部で鞘当てやってる。

志摩。伊勢さんが切れそうになった。

関。まあ、大変。

志摩。奈良さんが執り成して、1台ずつ発注。

永田。デザインの異なる2機か。何だか、A国軍のやり方だな。

志摩。でもって、F国がどっちが優れているのか確かめるので、レースをしろと言ってきた。

関。勝手にやってちょうだい。

志摩。それができる水準にまで自動人形を使っているのは、こことA国だけ。A国は独自開発するだろう。

関。つまり、日本国内でレースをすると。

志摩。うん。それで相談にきた。

関。なんで私たちが関与するのよ。

清水。つまり、知りたい性能を確かめるコースを作る。

関。そんなの、普通にレース場借りれば、…ん、オフロード性能か。

永田。その通りだ。水上や障害物超え。

関。林の中を突っ切るとか。雪上とか。

永田。ビルの中とか、炭鉱内部とか。

関。深い谷を越える。あるいは、崖から飛び降りる。

清水。じゃあ、北海道。残雪が残っているかも。支社に連絡する。

 (好きな技術者がいるらしい。山も海も川も含む、壮大なコースを送ってきたのである。本部とE国とF国のID社にコースを送り、対応した機体を開発してもらう。)