ID物語

書きなぐりSF小説

第32話。アクロニム。12. 報復

2010-11-04 | Weblog
 (ところが異変が起きた。だれかが、5人の所に走って行き、何か話している。ちょっと話したと思ったら、いきなりスーツの一人が拳銃で来た男を撃った。とどめを刺そうとしたのか、さらに拳銃を向けた途端、今度はライフルの音がして、拳銃を持った男が倒れる。)

秘書。何があったの。

清水。大変。イチ、救出に行って。(通信機)マグネ、直行しなさい。

 (残りのスーツ1人と3人は、コンテナを放り出して回廊に向かう。一人の男が倒れた2人に駆け寄ってきた。永田だ。マグネは最新式重機で、イチはサーフボードで到着。2人とも重傷だが、何とか助かりそうだ。永田が警察と救急車を要請している。)

関。永田から連絡。社長が危ないって。

秘書。どういうことよ。

関。あの男、社内の密通者らしい。何も考えずに接近したから、消されかけたみたい。

秘書。怪我してても口は利ける程度だったのか。ライフルを撃ったのはマグネ。

関。いいえ、永田よ。別の角度から監視していたらしい。

秘書。なんで社長が危ないのよ。

関。分かるでしょうが。報復よ。

秘書。んな、滅茶苦茶な。

清水。ヘリコプターが接近しているって。ここを攻撃するんでしょう。

秘書。何で分かるのよ!。

清水。他の目的がない。

秘書。社長、部長、こっちに隠れて。

 (海の方向の暗幕とブラインドを退ける。ヘッドライトが見える。次いで爆音が聞こえてきた。)

関。ミサイル攻撃かな。

清水。それなら、とっくに着弾している。機関砲をぶち込んで、何人か侵入するのよ。

秘書。平気で恐ろしいこと言うなー。

清水。悪いけど、対応して。

秘書。相手によるわよ。

関。来た。

 (亜有の言うとおり、ヘリは機関砲を乱射する。全員伏せざるを得ない。3人の男が自動小銃を持って入ってきた。ヘリコプターからロープでベランダに侵入したらしい。
 モグ内で。)

志摩。ヘリは六郎と五郎でアタックしよう。イチに自動小銃を運ばせる。

芦屋。おれが行く。

 (ヘリは上空で待機。パイロットは1人だ。六郎と虎之介を抱えた五郎が突っ込む。まず、六郎が突入。ドアをぶち破る。次いで五郎と虎之介。虎之介がパイロットを引っぺがして殴って気絶させる。ヘリは五郎が操縦。六郎が鎮静剤を打ってパイロットを介抱。とりあえず、モグの脇に着陸させる。
 少し時間が戻って、侵入された展望台。)

男1。全員出てこい。

関。撃つな。出て行く。

 (関と亜有が対峙する。)

男1。けっ、女か。社長はどこだ。

関。おまえたち、さっさと降伏しろ。財務省の臨検だ。

 (この期に及んで、関は身分証を提示する。)

男2。バカかこいつは。

男3。さっさと社長を出すんだ。

関。あら、あんたたちのヘリがどっか行くわよ。

男1。いー加減なことを…。

男2。本当だ、おれたちを見捨てていったのか。

 (一瞬の隙。窓からイチ、階段からマグネ、正面から亜有のLS砲が炸裂する。イチとマグネと亜有がひるんだ3人から自動小銃を取り上げる。永田が自動小銃を持って入る。関は亜有から自動小銃を受け取って、構える。)

永田。そこまでだ。おとなくしろ。警察を呼んだ。

男1。うう、何が起こった。

関。おとなしくしろと言ってる。自動小銃はあずかった。手間をかけるな。

秘書。何か光った。照明弾か何か。まだ目がおかしい。

 (しばらくして、秘書や社長の視力が戻ってきた。)

秘書。何が起こった。スタングレネードか。

関。そんな感じのものよ。

秘書。隠してたのか。そこにいるのは、たしか永田。投げ込んだのか。

永田。そんなことはどうでもいい。おまえ、どっちに付くんだ。

秘書。社長側。

永田。それでいい。警察が来るまで待ってろ。

秘書。こいつら、機関銃ぶち込んだ上に、侵入しやがって。尋問してやる。

清水。無駄よ、こんな下っ端。ろくな情報持ってない。こっちが疲れるだけ。

秘書。ヘリは?。そうだ、ヘリが去っていったんだ。こいつらを見捨てて。何が起こった。

清水。さあ。

秘書。さあじゃない。しらばっくれて。何かやったな。

 (10分もしたら、警察が来た。永田が事情を説明して、3人を引き渡す。モグの所でも同様に、パイロットを引き渡す。
 展望台は警察の現場検証が始まったので、永田らは階下の会議室に場を移す。さすがに、御影も恐くなってきたようだ。)

秘書。おまえたち、軍関係者。うかつだった。最初から気付くべきだった。

清水。まだ終わってないわよ。コンテナを放棄した連中。半潜水艇で沖に向かっている。

秘書。そうだった。まてよ、そっちも変だけど、こっちも変だ。内部通報者がいる。展望台に我々が集まっていたことを知らせたやつが。

関。あのまま事が進んでいたら、社長といっしょに殺されていたやつよ。

秘書。どちらかか、どちらもか。

清水。少なくともあなたでないことは、よーく分かりました。

永田。相手がどんなのか分かったことだし、反省しているはずだ。

 (社長以下、全員うつむいている。イチとマグネがとりなしている。救護ロボットの身に付いた動作だ。)