五郎。よろしいでしょうか。お取り込み中の所。
奈良。うわわわっ。なんだ、五郎か。用件を言え。
モグ。超低空を飛行する航空機を発見。怪しい。
イチ。追尾する。
レイ。行く。
(言うが早いか2機が飛び立った。鈴鹿と伊勢はあわててモニターに直行する。山の輪郭の切れ目から一瞬モグに見えたらしい。)
鈴鹿。どんなやつよ。
モグ。これだ。
(観光用のヘリコプターに見える。)
鈴鹿。飛行コースが異様なだけか。
モグ。断定するのは早い。
鈴鹿。生意気なやつ。
(モグは生意気な反応に調整しているのだ。イチたちはあっと言う間に尾根を越える。ヘリの音が聞こえるが、姿がない。音を探しながら、2機は谷を飛ぶ。)
イチ。ここだ。木に着陸する。
(一帯が巨大なテントになっていて、上空からは森に見えるように迷彩している。入り口が見える位置にレイを差し向ける。テントの下がヘリポートになっている。
永田に知らせたら、しばらく動きを観察せよとのこと。少なくとも、政府系の施設ではないようだ。)
伊勢。山城みたいになっている。
奈良。道路はあるのか。
イチ。人が歩ける程度の細い道しかない。
(さらに観察しようとしたら、永田から連絡が入った。直ちに避難せよ、速やかに半径5km外にと。モグと施設は3kmほどの距離だ。取る物も取り合えず、モグを発進させる。イチとレイも回収。)
イチ。何が起こったの?。
鈴鹿。永田さんからの避難命令。
レイ。攻撃よ。
イチ。何者の?。
レイ。すぐに分かる。
(モグの移動速度は伝わっていたらしい。十分に離れたら、尾根の向こうの谷が光った。そして、大変な量の煙。続いて、すさまじい轟音。対地攻撃機がわずかに見え、消え去った。)
鈴鹿。A国軍の兵器だ。いきなりあんな攻撃を。
イチ。ヘリコプターと乗員はどうなったの?。
奈良。無事で済むわけない。
イチ。行こうよ。すぐに行ける。
(永田に連絡したが、待機しろと。そして、すぐに追加連絡。許可するまで半径5km以内に近づくなと。その許可が得られるのは、ずっと後のことだった。)
モグ。友軍のヘリコプターが飛来している。こちらも観察された。
鈴鹿。普通に考えて、掃討するんだ。
レイ。どこかの軍事拠点か何か。
鈴鹿。少なくとも、それに類したものでしょう。
イチ。研究が継続できない。
鈴鹿。もうここでは無理よ。あからさまに軍事作戦に巻き込まれた。逃げるしかない。
伊勢。いったん帰りましょう。あれこれ余計なことを考えそうだから。
奈良。明後日には大阪入りする必要がある。
伊勢。そうだった。大阪支社に連絡する。
(ホテルを紹介してくれた。会場の近くだ。広めの2室があてがわれた。
途中からは高速道だ。夕方早くに着いた。出かけるのも面倒なので、男部屋に集まって、ルームサービスで食事にする。)
鈴鹿。ルームサービスで食事なんて、贅沢。
伊勢。レストランと変わんないわよ。
奈良。いただこう。
(丸テーブルを囲んで食事。)
鈴鹿。さんざんなことになった。いいアイデアだと思ったのに。ごめんなさい。
伊勢。楽しかった。うれしかったわよ。
奈良。たまにはああいった頭脳の使い方をしなければな。
伊勢。主要データは取ってあるから、報告はできる。
奈良。近くに広い公園がある。都会のダニでも観察するか。
伊勢。やっておこう。あそこで確立した観察法がここでも通用するかどうか。
鈴鹿。転んでも、ただでは起きないわね。
伊勢。はいつくばってでも、納得できる成果を出すのよ。
(夕食後、近くの公園に3人と4機で行く。六郎も付いてきた。並木は低いので、イチとレイは、それぞれエレキとマグネの肩に器用に乗って、木に近づく。LS砲とアナライザで分析。もちろん、普通に生物群はいる。私も伊勢も、自分の目やアナライザーで観察。鈴鹿も真似てみる。伊勢が要点を教えている。)
鈴鹿。やっぱり興味が続かないことには、何ともかとも。
伊勢。そのわりには、しっかり見ているじゃない。
鈴鹿。何かに役立ちそうだもの。ちょっと不純な動機。
伊勢。それでいいわよ。
鈴鹿。もっと遠くでも分かるかな。
(さすがに若者は向こう見ずだ。どんどん距離を伸ばして行く。伊勢の計算なんか、関係ない。)
伊勢。何か分かるの?。
鈴鹿。樹木では役立たず。建物の壁面だったら、ある程度分かりそう。
伊勢。生物がまばらだもの。なるほど。
鈴鹿。密度さえ問わなければ、どこにでもいる。あんな高いところにも。猫の背中にも。
伊勢。猫って…。うわ、いっぱいいる。
レイ。猫の集会場だ。かわいい。
イチ。不気味だよ。
奈良。彼らの会話が聞ければな。
鈴鹿。ほとんど無言。
奈良。でも、寄ってきているって事は、何かコミュニケーションしている。
鈴鹿。おしゃべりじゃないだけだ。
イチ。ボクには分かる。安心しているんだ。それを確かめに来ている。
鈴鹿。仲間の状態を確かめているの?。
イチ。うん。今日も来ている、あの個体。元気そうだ。安心。なんて。
レイ。誰でも分かる。
奈良。それが大切なんだ。誰でも分かる。そんな単純な動機が学問になる。
伊勢。自動人形に学問は分からないわ。
イチ。お手伝いはできる。
レイ。使ってください。
伊勢。いとおしい子。うん、活躍して。
イチ。全力を上げて…。
レイ。期待にお応えします。
(ホテルに戻る。伊勢は女性部屋でせっせとデータを解析しているようだ。こちらの男性部屋、―といっても、人間の男は私だけ、には自動人形が集まっている。六郎までいる。レイは気を利かせてくれたのか何なのか、男になっている。)
レイ。街が見える。ごちゃごちゃしているけど、活気がありそう。
イチ。うん。明るい。
(永田からは追加の連絡はない。IFFは何か動いたようだが、虎之介はそのまま来るらしい。普通に風呂に入って資料を整理し、眠る。)
奈良。うわわわっ。なんだ、五郎か。用件を言え。
モグ。超低空を飛行する航空機を発見。怪しい。
イチ。追尾する。
レイ。行く。
(言うが早いか2機が飛び立った。鈴鹿と伊勢はあわててモニターに直行する。山の輪郭の切れ目から一瞬モグに見えたらしい。)
鈴鹿。どんなやつよ。
モグ。これだ。
(観光用のヘリコプターに見える。)
鈴鹿。飛行コースが異様なだけか。
モグ。断定するのは早い。
鈴鹿。生意気なやつ。
(モグは生意気な反応に調整しているのだ。イチたちはあっと言う間に尾根を越える。ヘリの音が聞こえるが、姿がない。音を探しながら、2機は谷を飛ぶ。)
イチ。ここだ。木に着陸する。
(一帯が巨大なテントになっていて、上空からは森に見えるように迷彩している。入り口が見える位置にレイを差し向ける。テントの下がヘリポートになっている。
永田に知らせたら、しばらく動きを観察せよとのこと。少なくとも、政府系の施設ではないようだ。)
伊勢。山城みたいになっている。
奈良。道路はあるのか。
イチ。人が歩ける程度の細い道しかない。
(さらに観察しようとしたら、永田から連絡が入った。直ちに避難せよ、速やかに半径5km外にと。モグと施設は3kmほどの距離だ。取る物も取り合えず、モグを発進させる。イチとレイも回収。)
イチ。何が起こったの?。
鈴鹿。永田さんからの避難命令。
レイ。攻撃よ。
イチ。何者の?。
レイ。すぐに分かる。
(モグの移動速度は伝わっていたらしい。十分に離れたら、尾根の向こうの谷が光った。そして、大変な量の煙。続いて、すさまじい轟音。対地攻撃機がわずかに見え、消え去った。)
鈴鹿。A国軍の兵器だ。いきなりあんな攻撃を。
イチ。ヘリコプターと乗員はどうなったの?。
奈良。無事で済むわけない。
イチ。行こうよ。すぐに行ける。
(永田に連絡したが、待機しろと。そして、すぐに追加連絡。許可するまで半径5km以内に近づくなと。その許可が得られるのは、ずっと後のことだった。)
モグ。友軍のヘリコプターが飛来している。こちらも観察された。
鈴鹿。普通に考えて、掃討するんだ。
レイ。どこかの軍事拠点か何か。
鈴鹿。少なくとも、それに類したものでしょう。
イチ。研究が継続できない。
鈴鹿。もうここでは無理よ。あからさまに軍事作戦に巻き込まれた。逃げるしかない。
伊勢。いったん帰りましょう。あれこれ余計なことを考えそうだから。
奈良。明後日には大阪入りする必要がある。
伊勢。そうだった。大阪支社に連絡する。
(ホテルを紹介してくれた。会場の近くだ。広めの2室があてがわれた。
途中からは高速道だ。夕方早くに着いた。出かけるのも面倒なので、男部屋に集まって、ルームサービスで食事にする。)
鈴鹿。ルームサービスで食事なんて、贅沢。
伊勢。レストランと変わんないわよ。
奈良。いただこう。
(丸テーブルを囲んで食事。)
鈴鹿。さんざんなことになった。いいアイデアだと思ったのに。ごめんなさい。
伊勢。楽しかった。うれしかったわよ。
奈良。たまにはああいった頭脳の使い方をしなければな。
伊勢。主要データは取ってあるから、報告はできる。
奈良。近くに広い公園がある。都会のダニでも観察するか。
伊勢。やっておこう。あそこで確立した観察法がここでも通用するかどうか。
鈴鹿。転んでも、ただでは起きないわね。
伊勢。はいつくばってでも、納得できる成果を出すのよ。
(夕食後、近くの公園に3人と4機で行く。六郎も付いてきた。並木は低いので、イチとレイは、それぞれエレキとマグネの肩に器用に乗って、木に近づく。LS砲とアナライザで分析。もちろん、普通に生物群はいる。私も伊勢も、自分の目やアナライザーで観察。鈴鹿も真似てみる。伊勢が要点を教えている。)
鈴鹿。やっぱり興味が続かないことには、何ともかとも。
伊勢。そのわりには、しっかり見ているじゃない。
鈴鹿。何かに役立ちそうだもの。ちょっと不純な動機。
伊勢。それでいいわよ。
鈴鹿。もっと遠くでも分かるかな。
(さすがに若者は向こう見ずだ。どんどん距離を伸ばして行く。伊勢の計算なんか、関係ない。)
伊勢。何か分かるの?。
鈴鹿。樹木では役立たず。建物の壁面だったら、ある程度分かりそう。
伊勢。生物がまばらだもの。なるほど。
鈴鹿。密度さえ問わなければ、どこにでもいる。あんな高いところにも。猫の背中にも。
伊勢。猫って…。うわ、いっぱいいる。
レイ。猫の集会場だ。かわいい。
イチ。不気味だよ。
奈良。彼らの会話が聞ければな。
鈴鹿。ほとんど無言。
奈良。でも、寄ってきているって事は、何かコミュニケーションしている。
鈴鹿。おしゃべりじゃないだけだ。
イチ。ボクには分かる。安心しているんだ。それを確かめに来ている。
鈴鹿。仲間の状態を確かめているの?。
イチ。うん。今日も来ている、あの個体。元気そうだ。安心。なんて。
レイ。誰でも分かる。
奈良。それが大切なんだ。誰でも分かる。そんな単純な動機が学問になる。
伊勢。自動人形に学問は分からないわ。
イチ。お手伝いはできる。
レイ。使ってください。
伊勢。いとおしい子。うん、活躍して。
イチ。全力を上げて…。
レイ。期待にお応えします。
(ホテルに戻る。伊勢は女性部屋でせっせとデータを解析しているようだ。こちらの男性部屋、―といっても、人間の男は私だけ、には自動人形が集まっている。六郎までいる。レイは気を利かせてくれたのか何なのか、男になっている。)
レイ。街が見える。ごちゃごちゃしているけど、活気がありそう。
イチ。うん。明るい。
(永田からは追加の連絡はない。IFFは何か動いたようだが、虎之介はそのまま来るらしい。普通に風呂に入って資料を整理し、眠る。)