(翌日、リハーサル前日。伊勢と鈴鹿は市内観光に出かけた。私はエレキとマグネを連れて街を歩く。東京と同じ。平日の昼間だというのに、大変な人出だ。
エレキとマグネは背が高い上に、ハンサム。救護服は派手な上に凛々しくできていて、いやが上にも目立ってしまう。さっきから若いのやらおばさんやらに捕まっては、いっしょに記念撮影している。なので、商店街はあきらめ、一本脇の大通りに出る。こちらはサラリーマンの通行が多い。)
エレキ。大阪の人は積極的だ。
マグネ。東京ではめったに呼び止められないのに。
奈良。じろじろ見られる点では変わらないが。
(目の前に人だかりが見えてきた。)
エレキ。けんかかな、大道芸かな。
マグネ。近づくのか。
エレキ。ああ。
(人が倒れていた。中年女性。慌ててエレキとマグネが近づく。)
エレキ。AEDを。
マグネ。救急車を呼べ!。
(エレキが心臓マッサージを開始。私はAEDの表示のある店に飛び込んで、装置を持って行く。エレキが素早く取りつけて、蘇生する。さすがにAED、心肺蘇生には成功した。救急車は10分もせずに到着。引き渡して終わり。警察がやってきたけど、事件性はないので簡単に話を聞いて去っていった。集まっていた人々も解散。こちらも去ろうとしたら、若い男が声をかけてきた。)
記者。もしもし、派手な格好をして。あなた、レスキューですか?。
マグネ。救護ロボットだ。
記者。ん?、ロボットって冗談…。うわわー、人間じゃない!。
奈良。驚かせてすみません。私が操縦するロボットです。アンドロイド。訓練中です。
記者。救護も訓練。
奈良。いや、たまたま遭遇しただけ。
記者。あの女性、知ってますか?。
奈良。さあ。買い物にしては何も持ってなかったな。
記者。おそらく、有名な喜劇役者ですよ。ここでは多くの人が知っている。
奈良。そうなんですか。
記者。こりゃ特ダネだ。有名喜劇役者を、たまたま遭遇した救護ロボットが生き返らせた。
奈良。それだけ。ありきたりの救命動作。
記者。あなた方、英雄ですよ。私、こういうものです。
(若い男は名刺を差し出した。テレビ局の記者らしい。)
記者。さあさ、そこに並んで。写真を撮ります。
奈良。どうぞ。こんなの、記事になるんですか?。
記者。もちろん。放映されるかどうかは分かりませんが。
(とにかく、街を背景に、エレキとマグネといっしょに写真を撮られる。記者は礼を言うと、タクシーに乗り込んで去っていった。)
マグネ。何なんだあれは。
奈良。あわてものだな。
エレキ。何か起こるんですか?。
奈良。さあ、とても放送できるようなネタとは思えんが。
(予想通り、この件に関しては放映されなかった。しかし、リアクションはあった。その日の夕方。男部屋にて。伊勢と鈴鹿が訪問中。)
伊勢。ああ、よかった。ここには見どころがたくさんある。
鈴鹿。うん。奈良さんも来たらよかったのに。
奈良。ああ、今度な。
伊勢。あら、電話よ。…、はい、2602号室。フロント?、何の用でしょうか。面会。奈良さんに。エレキとマグネを連れて?。面会者は?。高橋子鹿。なにそれ、芸名?。有名な喜劇役者。
奈良。思い当たりがある。行ってみる。
伊勢。(電話に)行きます。
鈴鹿。何なの?。
(昼間あったことを簡単に説明する。)
伊勢。お礼の挨拶よ。
鈴鹿。いっしょに行く。
(お笑いに詳しい志摩に聞いたら、こちらではVIP級の人物らしい。あわてて正装に近い格好に整え、ロビーに行く。
待っていたのは、小綺麗に着飾った中年女性とお付きの男性2人。例の記者もいる。話をつけたのは、記者らしい。)
高橋。はじめまして。高橋子鹿と言います。
奈良。はじめまして。奈良治です。大変有名な方。お呼び立てしたような格好になり、申し訳ありません。
高橋。いえいえ、こちらがお礼を言わなくちゃ。そちらがロボット。私を助けてくれた。
奈良。こちらがエレキ、こちらがマグネ。救護ロボットです。
高橋。自動人形。評判らしい。新型のようですけど。
奈良。よくご存じで。日本に来たばかりです。挨拶しなさい。
エレキ、マグネ。はじめまして。
高橋。よくできていること。それに、ハンサム。そちらの女性は。
奈良。私の部下。伊勢陽子と鈴鹿恵。
高橋。よろしく。それじゃあ、2人分追加しないと。
奈良。何か。
高橋。お礼ですわ。夕食に招待します。
(とても断れない雰囲気。承諾する。まだ他にいるのかと尋ねられたので、ロボットのことを言う。全員来なさいと。モグに乗って、クルマについて行く。私は小鹿氏の相手。)
高橋。キャンピングカーだわ。楽しい。
奈良。お体はいいんですか?。
高橋。一時的な発作らしい。もう大丈夫。
奈良。心肺蘇生した。ただ事ではない。入院が必要なのでは。
高橋。あなたも心配性な方。医者といっしょの物言い。
鈴鹿。奈良さんは獣医よ。
高橋。じゃあ安心。救護ロボットに、獣医。万全ですわ。
(こじつけもいいところ。かなりの精力家とみた。しばらくして目的地に着く。市内の住宅地にある邸宅だ。)
エレキとマグネは背が高い上に、ハンサム。救護服は派手な上に凛々しくできていて、いやが上にも目立ってしまう。さっきから若いのやらおばさんやらに捕まっては、いっしょに記念撮影している。なので、商店街はあきらめ、一本脇の大通りに出る。こちらはサラリーマンの通行が多い。)
エレキ。大阪の人は積極的だ。
マグネ。東京ではめったに呼び止められないのに。
奈良。じろじろ見られる点では変わらないが。
(目の前に人だかりが見えてきた。)
エレキ。けんかかな、大道芸かな。
マグネ。近づくのか。
エレキ。ああ。
(人が倒れていた。中年女性。慌ててエレキとマグネが近づく。)
エレキ。AEDを。
マグネ。救急車を呼べ!。
(エレキが心臓マッサージを開始。私はAEDの表示のある店に飛び込んで、装置を持って行く。エレキが素早く取りつけて、蘇生する。さすがにAED、心肺蘇生には成功した。救急車は10分もせずに到着。引き渡して終わり。警察がやってきたけど、事件性はないので簡単に話を聞いて去っていった。集まっていた人々も解散。こちらも去ろうとしたら、若い男が声をかけてきた。)
記者。もしもし、派手な格好をして。あなた、レスキューですか?。
マグネ。救護ロボットだ。
記者。ん?、ロボットって冗談…。うわわー、人間じゃない!。
奈良。驚かせてすみません。私が操縦するロボットです。アンドロイド。訓練中です。
記者。救護も訓練。
奈良。いや、たまたま遭遇しただけ。
記者。あの女性、知ってますか?。
奈良。さあ。買い物にしては何も持ってなかったな。
記者。おそらく、有名な喜劇役者ですよ。ここでは多くの人が知っている。
奈良。そうなんですか。
記者。こりゃ特ダネだ。有名喜劇役者を、たまたま遭遇した救護ロボットが生き返らせた。
奈良。それだけ。ありきたりの救命動作。
記者。あなた方、英雄ですよ。私、こういうものです。
(若い男は名刺を差し出した。テレビ局の記者らしい。)
記者。さあさ、そこに並んで。写真を撮ります。
奈良。どうぞ。こんなの、記事になるんですか?。
記者。もちろん。放映されるかどうかは分かりませんが。
(とにかく、街を背景に、エレキとマグネといっしょに写真を撮られる。記者は礼を言うと、タクシーに乗り込んで去っていった。)
マグネ。何なんだあれは。
奈良。あわてものだな。
エレキ。何か起こるんですか?。
奈良。さあ、とても放送できるようなネタとは思えんが。
(予想通り、この件に関しては放映されなかった。しかし、リアクションはあった。その日の夕方。男部屋にて。伊勢と鈴鹿が訪問中。)
伊勢。ああ、よかった。ここには見どころがたくさんある。
鈴鹿。うん。奈良さんも来たらよかったのに。
奈良。ああ、今度な。
伊勢。あら、電話よ。…、はい、2602号室。フロント?、何の用でしょうか。面会。奈良さんに。エレキとマグネを連れて?。面会者は?。高橋子鹿。なにそれ、芸名?。有名な喜劇役者。
奈良。思い当たりがある。行ってみる。
伊勢。(電話に)行きます。
鈴鹿。何なの?。
(昼間あったことを簡単に説明する。)
伊勢。お礼の挨拶よ。
鈴鹿。いっしょに行く。
(お笑いに詳しい志摩に聞いたら、こちらではVIP級の人物らしい。あわてて正装に近い格好に整え、ロビーに行く。
待っていたのは、小綺麗に着飾った中年女性とお付きの男性2人。例の記者もいる。話をつけたのは、記者らしい。)
高橋。はじめまして。高橋子鹿と言います。
奈良。はじめまして。奈良治です。大変有名な方。お呼び立てしたような格好になり、申し訳ありません。
高橋。いえいえ、こちらがお礼を言わなくちゃ。そちらがロボット。私を助けてくれた。
奈良。こちらがエレキ、こちらがマグネ。救護ロボットです。
高橋。自動人形。評判らしい。新型のようですけど。
奈良。よくご存じで。日本に来たばかりです。挨拶しなさい。
エレキ、マグネ。はじめまして。
高橋。よくできていること。それに、ハンサム。そちらの女性は。
奈良。私の部下。伊勢陽子と鈴鹿恵。
高橋。よろしく。それじゃあ、2人分追加しないと。
奈良。何か。
高橋。お礼ですわ。夕食に招待します。
(とても断れない雰囲気。承諾する。まだ他にいるのかと尋ねられたので、ロボットのことを言う。全員来なさいと。モグに乗って、クルマについて行く。私は小鹿氏の相手。)
高橋。キャンピングカーだわ。楽しい。
奈良。お体はいいんですか?。
高橋。一時的な発作らしい。もう大丈夫。
奈良。心肺蘇生した。ただ事ではない。入院が必要なのでは。
高橋。あなたも心配性な方。医者といっしょの物言い。
鈴鹿。奈良さんは獣医よ。
高橋。じゃあ安心。救護ロボットに、獣医。万全ですわ。
(こじつけもいいところ。かなりの精力家とみた。しばらくして目的地に着く。市内の住宅地にある邸宅だ。)