五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ 『ワンピース』58巻 クロコダイルのこと①

2010年06月12日 | ◆マンガ 感想

最近、感想書きたいのに書けていない『ONE PIECE(ワンピース)』

その58巻は頂上決戦で盛り上がりまくっております。

なので、いくつか書きたい事を、とりとめもなくつれづれ・・・思いつきで書いてます。

 

 

そいえば、『海賊キャプテン・ドレーク』(杉浦昭典 先生)を、こないだ読了しました。

中公新書で絶版だったものが、講談社学術文庫で刊行されたものです。

 

ドレークは、マゼランにつづいて2番目に世界一周を果たした人物であり、

かのスペイン“無敵艦隊”との戦いでも活躍した、イギリスの私掠船船長。

その生涯が当時の情勢とともにわかりやすく語られていて、とても楽しめます。

ヘタな小説よりも、かなり面白い読み物になっていると思いますね。

 

『ワンピース』にもドレークという海賊が登場しますけど、私が彼に注目している理由は、

このフランシス・ドレークと同じ名をもっているという点も大きいです。

 

 

以下、58巻のネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 

 

 

【クロコダイルの言動】

 『ワンピース』58巻の話。

 以前も語りましたが、私にとってクロコダイルは好きキャラクターなのです。

 その「魅力」についてあれこれ語りつくしたいところですけども、

 とりあえず今回は、58巻での彼の言動についていろいろ書いてみたいと思います。

 

 58巻での彼は、3つほど「らしくない」行動をとっています。

 

 1.“白ひげ”の危機に対して「そんな“弱ェ男”に敗けたつもりはねェぞ!!!」と叫んだ。

 2.エース処刑を邪魔した。

 3.Mr.1 ことダズ・ボーネスの危機を救った。

 

 

【クロコダイルの“白ひげ”に対する信頼感】

●発言の意外性

 まず「1」の発言については、Mr.1 をはじめ、イワさんやジンベエが驚いていることからも

 わかるように、「クロコダイルらしくない」というか、意外な叫びだったことが察せられます。

 “白ひげ”に旧怨があり、彼を倒そうとしていたクロコダイルにしては、“白ひげ”寄りというか、

 “白ひげ”という男を認め、つよい敬意すら抱いているような雰囲気でしたから。

 

 ここで私が感じたのは、クロコダイルがもつ「かつて自分を敗まかした男への信頼感」。

 この発言は、クロコダイルのそうした感覚から発せられたものではないか?

 ゆえに、クロコダイルを知る者たちにとって、それは意外だったのではないだろうか?

 

 

●クロコダイルという人間

 アラバスタでルフィたちと戦ったころのクロコは、「信頼なんて不要」みたいな言動で、

 残酷に他人をつきはなした“一匹狼”的姿勢を見せていました。

 

 実際、部下も何もかも「使い捨て」のような扱いでしたし、ちょっと冷めた熟年夫婦のごとき

 パートナーだったニコ・ロビンに対しても、あっさりと切り捨てにかかっています。

 現在の彼も、「おれは誰とも組みはしねェよ・・・」とドフラミンゴに語っていることから、

 その基本姿勢に変わりはないようです。

 

 このあたりからわかるのは、クロコダイルは他人を信頼しない人間であるということ。

 かつては、「誰ひとり、信用しちゃいねェ・・・」とも語っていましたね。

 ここらへん、元からなのか何かつらい過去でもあったのか、それはわからないけれど、

 とにかく彼はそうした人間であったわけです。

 (当時、野望に邁進していたため、必要以上にドライだったのかもしれませんが)

 

 

●クロコダイルが“白ひげ”に寄せる感情

 そんな彼が、“白ひげ”に叫んだ言葉

 「そんな“弱ェ男”に敗けたつもりはねェぞ!!!」は、私には

 「“白ひげ”ってのは強ェ男のはずだろう!強くなきゃいけねェんだよッ!!!」

 といったニュアンスで響いてきたのです。

 ・・・これって、“白ひげ”のことを、ものすごく信頼していなきゃ出てこない言葉だと思う。

 

 もちろんこの信頼は、たとえば“白ひげ”海賊団のメンバーが船長に寄せる親愛の情とは

 まったく異なるもの。 いわば、かつて自分を敗かした“白ひげ”の圧倒的な「強さ」に対して

 向けられたものではあるのですが、「強さ」意外にも何かしらの要素はある気がします。

 

 クロコダイルは“白ひげ”に旧怨がある、とセンゴク元帥は言っています。

 インペルダウンでの言動を聞いても、クロコダイルは“白ひげ”にかつて敗れたであろうとこと

 は推察できていましたし、そのためか彼は、今回の戦いで“白ひげ”打倒をめざしています。

 

 が、クロコダイルの“白ひげ”に対する感情は、憎悪や怨恨というよりは「越えるべき壁」を

 にらみつけるような感覚。

 「あんな瀕死のジジイ 後で消すさ」なんて言って、“白ひげ”のピンチに便乗していないところ

 を見ても、単純に抹殺したいという感覚とは別の感情を抱いている印象です。

 敵意と同時に、どこか敬意を抱いている。

 

 言ってみれば「子の親に対するそれ」に似ている部分があるんじゃないかな~

 ・・・なんて考えてしまいます。

 古臭い父子観かもしれませんが、「父は越えるべき壁」みたいな感じで。

 

 そしてその他に、自分とは違った内面的な「強さ」に向けたものもありそう。

 ここらへんは、「クロコダイルのルフィに対する信頼感」のところで語りたいです。

 

 

②へつづきます。