指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

堀川弘通と吉村公三郎

2023年01月15日 | 映画

先日、堀川監督の作品を見て、思ったのは、吉村公三郎とのことだ。

どちらも、東宝、松竹の看板監督だったが、最後は必ずしも良くはなかったように思える。

             

吉村の場合は、新藤兼人と共に、松竹を自ら辞めた性だが、堀川監督の場合は、東宝で次第に活躍する場所がなくなり、最後は東京映画での『アラスカ物語』の失敗で、東宝系から出て、独立プロで作品を作るようになる。

どちらの監督も、その作風が、時代と合わなくなったからだと思う。

               

吉村は、「風俗映画」の監督で、女性映画に秀作を作っていた。だが、1960年代中頃からピンク映画、さらに日活ロマンポルノになると、次第に時代とのズレが目立つようになる。

ポルノ映画が、次第に過激な表現になるのに対し、吉村は、やや微温的で、その性的表現は、「お笑い的」になってしまう。セックス・シーンで、水槽の中で、墨汁が広がるなんてカットには大笑いしたものだ。

ただ、最後に独立プロで田中正造を描いた映画『襤褸の旗』は良い作品に思えた。

一方、堀川監督は、『アラスカ物語』以後は、主に左翼独立プロで監督することになるが、悪い作品ではないが、特に面白くもないという映画になってしまった。

いずれにしても、木下恵介のように映画を諦めて、テレビドラマに移行しないと、かつての映画監督は生きる道がなくなっていたのだなあと、あらためて思った。

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