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指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『山椒太夫』は「共産主義映画」だが、実に素晴らしい

2006年08月30日 | 映画
溝口健二の『山椒太夫』は、名作でとても好きな作品だが、全体を流れる「共産主義思想」が今見ると大変滑稽である。

まず、タイトル前に、「この映画は、まだ人が人として目覚めのない時代の話」との字幕が出る。

丹後国の国司となった平正通(厨子王)が、山椒太夫の奴隷を解放するシーンの演説もすごい共産主義思想宣伝。

そして、解放された奴隷たちは屋敷で、飲めや歌えの大騒ぎ。
自由になった庶民というものは、こうしたものなのか。

セシル・B・デミルの『十戒』でも、解放されたユダヤ人は酒池肉林の大騒ぎを演じる。
無知蒙昧な庶民はそうしたものだという偏見は、洋の東西を問わず同じらしい。

思想は間違っているが、映画としては素晴らしい、というのはありえるのだ。

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