指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

自爆テロ ソ連崩壊 ドローンの始り 『レバノン戦争』

2016年05月22日 | 政治

放送大学の高橋和夫先生の『パレスチナ問題』の7回目は、1982年から始まったレバノン戦争だった。

これは、ヨルダンを追われ、レバノン領内に逃げたパレスチナゲリラたちをせん滅するため、イスラエル軍がレバノンに攻め込み、その結果PLOなどの武装組織は、チュニジアに亡命することなった戦争である。

この間には、レバノン内の親イスラエルのキリスト教右派によるパレスチナ人虐殺などもあり、またシリア軍とイスラエル軍との空戦もあった。

そこで起きたことに一つが、パレスチナ人ゲリラによる米海兵隊宿舎への自爆テロが起きたことで、実は自爆テロが行われたのは、この時が最初だったのだそうだ。

また、シリアとイスラエルの空戦ではソ連製の戦闘機がまったくアメリカのF15の敵ではなかったことで、これは後に来るソ連崩壊の引き金の一つになったとのこと。

さらに、イスラエルはソ連製ミサイル基地を撃滅するために、無人偵察機を開発し、基地攻撃に成功したが、これが現在の民生用にもなるドローンの基になったのだそうだ。

 

今、私がやっているインターネットも元は軍事技術であるように、皮肉にも軍事技術は、いずれは民間用に転用されて革命的な技術の進歩につながるものなのである。

ますます、高橋先生のお話が面白くなってきた。

下は、レバノン出身で、アラブ最高の歌手フェイルーツで、彼女にはレバノンの遺跡バールベックで行われる音楽祭での音楽劇のLPもある。

 

       

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『風』

2016年05月22日 | 映画

サイレント映画の有名作で、主演のリリアン・ギッシュの代表作でもある。

話は、テキサスに来た若くて無垢な女性のリリアンがこうむる数奇な物語で、ところどころはホラー映画ではないかと見えるところもある。

監督はスエーデンのヴィクトル・シェストレムで、相手の男もスエーデンの俳優とのこと。

           

 

今回は、特別に柳下美恵さんのピアノ演奏が付く、大変に素晴らしいもので、やはりサイレント映画は音楽なり、日本的な活弁が付かないと本当の鑑賞はできないとあらためて思う。

活弁は、日本、韓国、タイにしかなかったもので、世界的には音楽の演奏付きで、アメリカの大劇場では大オーケストラによるものだったそうだ。

アメリカでの映画の上映は、映画だけではなく音楽ショーやバラエティーなどがあるショーの一部として行われたが、日本でも、日劇や浅草国際劇場では、映画とショーがセットになって興業が行われていたものである。

リリアン・ギッシュは言うまでもなく美しくてかわいいが、演技も相当なものである。

映画の終了後、シネマベティの下の横浜パラダイス会館で、柳下さんを交えてのお茶会があり、ここではリリアンの研究家、コレクターの宮下啓子さんのトークに圧倒された。

彼女は、リリアンと直接に文通された方で、日本のサイレント時代の資料からアメリカの様々なパンフ、写真など、まことにすごい。

私は知らなかったが、彼女は映画の後、舞台に出て活躍されたのだそうだ。

結局、一生結婚せずに99歳の天寿を全うされたとのこと。

まさにリリアン・ギッシュの一日だった。

 

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