最近、寝坊で更新が遅れ気味の筆者です・・・おかげさまで睡眠時間だけは十分です(笑)。
まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。「。「2007年度の中間決算ではサブプライム問題などを受けて、新生銀行は単体で、イーバンク銀行は連結でも赤字になりましたが、銀行の赤字決算は気になる?気にならない?」では・・・
1位:気になるが注意しておく程度 48%
2位:気になるので取引を見合わせる 20%
3位:赤字の程度による 10%
4位:気になるので少しは協力する 8%
〃:全く気にならない 8%
6位:そんなに気にならない 4%
となりました。1位は「注意しておく程度」ということですから、あまり影響はないですね。多くの方の実感はやはりこれに近いとは思います。そもそも円預金であれば1,000万円までは保護されますし、投資信託等を利用していれば、銀行の経営状態はほとんど全く関係ないですから、本当に注意しないといけない人というのは、1,000万円以上円預金を預けている人とか、外貨預金を預けている人、という風になるでしょうか。
とは言いつつ「気になる」派と「気にならない」派を比較すると、「気になる」派は86%、「気にならない」派は14%ということで圧倒的に「気になる」派の方が多いです。赤字額が大きかったためか、それとも新生銀行にせよイーバンク銀行にせよ「無いと困る銀行」になったのか、ですが・・・やはりどちらかと言うと後者でしょうかね。当サイトの各種ランキングでも1位・2位を独占している両社ですから、みなさんしっかり活用して「無いと困る銀行」になったということでしょう。
しかしながら、では「少しは協力するか」と言うとそうではありませんね(笑)。取引を見合わせる、というドライな人が20%なのに対して「協力する」という人は8%です。ランキングでは上位でも、熱烈なファンができるには、まだまだ時間がかかるということでしょうか?まぁ、赤字が気になるから協力してあげる、というのは相当、熱烈ですけれどね。筆者もそこまで思いいれのある企業があるかと言うと、それほどありません。牛丼販売を休止していたころの吉野家くらいですかね(笑)。
新生銀行の赤字も気になりますが、正念場となるのはやはりイーバンク銀行ですね。今まで自社投資で赤字を補ってきましたが、経営基盤が弱いため自社投資がうまく行かないとすぐに赤字になってしまいます。また主力のスポンサーもいないため、まだまだ経営の体力はひ弱に見えます。顧客基盤自体は大きく拡大していますので、何とか持ちこたえてほしいものです。イーバンク銀行で投資信託でも買いますかいね?とは言ってもノーロードファンド買ってもダメなんでしょうね。
では、投票がまだの方はぜひ投票をお願いします。12月15日まで。
〔投票〕http://www.ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=319
〔前回のコラム〕http://www.ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=217
さて今回は、住友信託銀行とあおぞら銀行の包括提携について。
--- Ginkou ---
住信・あおぞら銀が包括業務提携、不動産などで共同事業
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt32/20071119AS2Y1900519112007.html
住友信託銀行とあおぞら銀行は19日、包括的な業務提携を進める方向で最終調整に入った。まず不動産関連や信託、資産運用の3分野で年内にも共同事業に乗り出すとともに、幅広い業務分野で提携策を探る。将来的な経営統合も視野に入れて関係強化を検討していく。国内大手行同士の大規模な提携は2004年の旧三菱東京・旧UFJ両グループ以来で、金融界で業界再々編の機運が高まるきっかけになる可能性がある。
20日に両行首脳が提携の基本合意契約を交わし、発表する見通し。両行の役員をトップにした「提携推進会議」を設置、来年3月末をめどに具体的な提携策を詰め、順次実施していく。
両行の提携関係は当面、業務面だけにとどめ、資本提携には踏み切らない。ただ提携効果を引き出す方策を幅広く探っていく構えで、持ち株会社に両行をぶら下げる方式など経営統合も検討する見通しだ。住友信託の総資産は21兆円、あおぞらは6兆5000億円で、経営統合に発展した場合、総資産は単純合算で約27兆円。りそなホールディングスに次ぐ第5位の順位は変わらないものの、不動産関連や富裕層ビジネスなど特定分野に強みを持つ金融グループが誕生することになる。
〔 出典:日経ネット 〕
--- Ginkou ---
銀行業界の業績の回復に伴い、最近は途絶えていた金融業界の再編機運ですが、新しい動きですね。住友信託銀行+あおぞら銀行の動き、です。もちろん合併までいくかどうかは分かりませんが、たとえば同じ持ち株会社の下にぶら下がるというのは、恐らく従業員の抵抗感も比較的少なそうですし、あり得る手なのではないでしょうか。
しかし、住友信託銀行は積極的ですね。SBIと提携して「住信SBIネット銀行」を設立し、自社の弱い、「若年層×ネットバンキング」のカテゴリーを埋めに行きました。そして今度はあおぞら銀行と提携して、自社の強い、「高年層×リアル店舗」のカテゴリーを強めにきました。うまくいくのかどうかは知りませんし、パートナーが最適なのかはおいておいて、傍から見る分には大変面白いですし、その結果、ユニークなサービスが出てくれば、ユーザーとしてはなおうれしいです。
ただ、住友信託銀行は自前のネットバンキングサービスも、振込手数料を一定回数無料にしてみたり、外貨預金の手数料を最低水準にしてみたりと極めて積極的にサービスを拡充してきましたが、イマイチ存在感は薄いです。筆者の評価は高いんですけれどね(笑)。がんばっているけれど空回り・・・という感があります。やはりマーケティング戦略がへたくそなんでしょうかね。「思い切っていいものを出せば人気がでるはず」と考えているのかもしれませんが、成熟しきっている銀行業界ですから、そんなに甘くはありません。
もうユーザーはこれ以上、銀行の名前を覚えたくないんですね。筆者みたいにこんなマイナーなサイトを運営していれば別ですが(笑)、普通の人なら、新しく出てくる芸人のネタだったり、ジャニーズの新しいユニットのメンバーの名前だったり、新しいクルマの名前だったり、今流行りの映画の名前だったり、はたまたミシュランで推奨されたお店の名前だったりと、覚えないといけないものがいっぱいあるわけで、新しい銀行の名前を覚えてもらう余地は限りなく少ないです。
そんな状況の中で存在感を発揮しようと思えば、グッとユニークなマーケティング戦略が必要です。どうでしょう、普通の人が覚えてくれるのは業界で3位くらいまでですかね。トヨタ、日産、ホンダ。イオン、イトーヨーカ堂、ダイエー。セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート。三井住友、三菱東京UFJ、みずほ。そこに分け入るのであれば、もっと目立たないといけません。業界4位のりそなはどうしているかというと、「女性」&「ダジャレ」ですね。最近もATM手数料0円という広告を出していましたが、0はドーナッツを利用して表現していました。あれも、「女性」を意識したものでしょう。筆者は少なくとも1年以上、ドーナッツを食べていません(笑)。
一方で住友信託銀行がどういうマーケティング戦略をとったかと言うと、長塚京三を使って「信託世代」ですね。ターゲットを絞っていて、どこにターゲットがあるやら分からないメガバンクのマーケティング戦略に比べればユニークで面白いですが、とは言え、やはり「古臭い」し「派手さはない」ですよね。いい意味でも悪い意味でも。少なくとも、これによって新しい客層が獲得できるとは思えません。あと、少し貧乏くさいのも気になります。
50代を固めるのもよし、20~30代の若年層を取りに行くのよしですが、経営戦略だけでなくマーケティング戦略ももう少し思い切ったものにしないと、「がんばっているんだけれど、イマイチ、パっとしないね」ということになってしまうんじゃないですかね?せっかくいいサービスを提供しているので勿体無い話だと思います。大きなお世話かもしれませんがね。
しかし面白いのは、金融業界のしかも大手銀行だけがずっと再編を繰り返していますね。素人目から見ても明らかに会社の数が多い家電業界やクルマ業界がほとんど再編を起こらないのと比較すると大違いです。また金融業界でも、地方銀行や信用金庫のような中小金融機関はほとんど動きがないのとも好対照です。経営者や従業員からすると、経営が傾かない限りは、合併や統合は願い下げ、というのが本音ではないでしょうか。それなのに大手銀行だけが再編されていくというのは・・・世界の大手銀行と比較して焦りを感じているのでしょうか?はたまた資産規模を競う意識が芽生えてきたのでしょうか?あるいは大手銀行の経営が傾きはじめているのでしょうか?それとも金融庁の陰謀でしょうか?
ただ一つ言えるのは、違う会社同士を融合するというのはそう簡単ではありませんし、顧客不在の論理のみで再編したところでうまく行きません。当たり前のことではありますが、今回で言えば「住友信託銀行+あおぞら銀行」で、どういうベネフィットを顧客に提供できるのか、ということが成功するかどうかのカギになるでしょう。顧客からすると、資産規模には一切興味がございませんので(笑)。
さて今日の読者アンケートは、「住友信託銀行+あおぞら銀行の提携に期待する?期待しない?」でいきましょうか。12月23日まで。
■どちらも富裕層に強みを持つ、住友信託銀行+あおぞら銀行の提携。期待する?期待しない?(12月23日まで)■
http://www.ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=322
総合ランキング、口座サービスランキング、住宅ローンランキング1位
新生銀行
円預金、投資信託、セキュリティランキング1位
イーバンク銀行
ジャパンネット銀行
証券会社ランキング1位
イー・トレード証券
証券会社ランキング2位
マネックス証券
35年固定住宅ローン 業界1位の低金利
SBIモーゲージ
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