劇場と映画、ときどき音楽と本

オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

国立小劇場の「彦山権現誓助剣」

2018-05-15 10:36:42 | 演劇
5月13日の夜に国立小劇場で「彦山権現誓剣」を観る。午後4時に開演、終演は8時40分。昼間は襲名披露で満席だったが、夜は空席が目立った。7割程度の入りか。有名な人形遣いや太夫は襲名披露に出ているために、夜は若手と中堅が中心。この演目は歌舞伎でよく出るが、「毛谷村六助住家」しかやらない。文楽はその前からやってくれるので、話がよくわかる。今月の文楽は昼が「本朝廿四孝」で、夜がこの「彦山権現誓剣」なので、両方とも親孝行の話が出てくる。偶然の一致か。

この演目はかなり昔に国立劇場で復活の通し公演が行われたようだが、今回の上演は全11段のところの6段目から9段目までということで、まあ、半通しの公演。それでも話はよくわかる。

最初の須磨浦の段は、三輪太夫、始太夫、小住太夫、咲寿太夫で、全体的に低調だが、小住太夫の成長が著しい。師匠の住太夫が亡くなったが、その分まで頑張っているようだった。

次の、瓢箪棚の段は、語りよりも人形のアクションを見せる場面か。瓢箪棚の上から人形が飛び降りる場面があり、人形だけでなく三人の人形遣いも一緒に飛び降りたのには驚いた。杉坂墓所の段を経て、最後が毛谷村六助住家の段となる。

六助住家の段は千歳太夫の語りで、今回も熱演。現在の太夫の中では、最も安定していて、安心して聴ける。今回も面白く聞いた。

日曜日の夜だったので、いつも行く店が休みで、雨も降っていたため、国立劇場近くの中華料理屋で食事。点心と炒め物で紹興酒を飲む。料理よりも紹興酒の方がおいしく感じられる程度の水準。まあ、ほかに選択肢がないので仕方がないとあきらめる。