活字日記

毎日読んだ活字系(雑誌、本、新聞、冊子)を可能な限りレポートします。

宇宙戦争

2005-07-22 | 文庫
 火星人といえばタコのお化けのような姿が定番ですがその元になったのがこの宇宙戦争でのH・G・ウェルズの描写。地球よりも文明が進んだ火星は天文学的な理由で火星人の居住に適さなくなったことから地球移住を開始しようとします。数個のロケットが火星から地球に到着し活動を開始します。しかし重力が違うので「タコ」は脚で踏ん張れません。しかし戦闘マシンに乗ってレーザー光線とも思われる熱線砲で周囲を焼き焦がし、毒ガスで人類を殺戮していきます。食料は人間の血液で、捕らえられた人間はドラキュラのごとく血を吸い取られミイラのようになってしまいます。ウェルズはこのような非道を、しかし白人は帝国主義的搾取で他の大陸の民族を搾取しているのだから怒れないと当時の西洋文明を批判しています。そういう意味では単なるエイリアンの地球乗っ取り物語という切り口ではありません。ウェルズは歴史関係の本も多く出しています。岩波新書では「世界史概観 上下」がまだ現行品です。また、「タイムマシン」という名作も残していますがこれも文明批判的要素が多分にあります。
 実はスピルバーグの映画を観たくて先ず原作をと思って読みました。週末に見に行きます。

「宇宙戦争」H・G・ウェルズ 斎藤伯好訳 早川文庫SF
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