活字日記

毎日読んだ活字系(雑誌、本、新聞、冊子)を可能な限りレポートします。

【6月30日】

2006-06-30 | 新書
 今年もはや半年が終わってしまいましたが、今日読み終えたのは日本史の一級資料。歴史は事実の積み重ねを解析するだけにしても、解析者の主観によって描き方がいかようにも変わってしまいます。我々が通常触れるのは歴史小説であったり、歴史解説書だったりする歴史書なのですが、それぞれに著者の史観が混ざっていてそのまま鵜呑みをすることは危険なのです。著者は歴史学者として歴史は史料からしか作られないというスタンスをハッキリさせています。その史料も玉石混合であり、史料を見る目を育てるところから始めなくてはならないのですが、そういう苦労を経て自分ならではの史観をつくることが大切だといいます。
 歴史小説は娯楽であり歴史そのものではありません。司馬史観という言葉が流行ったりもしましたが、司馬遼太郎はそれなりに史料、資料を当たって自分の歴史観を作ったのであり、それは尊重し楽しむものとしても鵜呑みにはできない。坂本竜馬がさもそう語ったかのように記述されているけれどそれは司馬の言葉です。
 ということで歴史を楽しむ人に山本教授は史料にあたることと、心構えを教えてくれます。

「日本史の一級史料」山本博文 光文社新書
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【6月29日】

2006-06-29 | 新書
 人には色々な興味があると思いますが、鉄道が好きだというのはオタク系と思われかねないところがあります。自動車はそれ自体をいじる楽しみ、運転する楽しみなどがあるのに、鉄道ときたら乗る楽しみこそ理解はされるものの、車両形式に凝ってしまうところは理解されがたいところがあるのではと思います。まぁ自分などは鉄道は好きではあるものの、追っかけをするほどではなく、メカニック、システムとしての興味で楽しんでいるわけです。ということでブルーバックス最新刊の図解・鉄道の科学を読みましたが、最新の鉄道事情を解説してはいるものの、ちょっと本としては薄い感じ。もう3割から5割ほどページがあってもいいのではという気がしました。
 次に読み始めたのは山本博文教授の日本史の一級史料。

「図解・鉄道の科学」宮本昌幸 講談社ブルーバックス
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【6月28日】

2006-06-28 | 雑誌
 小学館の広報誌本の窓を読みました。佳多山大地が講師をしている大学で講義、八〇年代生まれとミステリーを読むの連載が面白いです。単にミステリーを解説しているだけではなく、二十歳前後の世代がミステリの名作といわれているものをどう読んで感想を述べているのかをピックアップしていてなかなか面白いのです。
 また最近小学館が山本周五郎中短編秀作選集を出してこれを深田祐介が快挙だと評価しています。周五郎の小説はあまり読んでいないのですが、なんか読んでみたくなりました。
 隠れ鉄ちゃんとしてブルーバックスの新刊、鉄道の科学を読み始めました。

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【6月27日】

2006-06-27 | 文庫
 宮部みゆきのパーフェクトブルーを読了。作者最初の長編ミステリで、ストーリーには作者は一人の不祥事でチーム丸ごと甲子園出場を辞退してしまう(甲子園に限らずですが)という連帯責任がウリのアマチュア野球界に対していささかの不満をこの作品で言っています。そして人体実験を秘密裏に行い薬害を起こした製薬会社もかつてのサリドマイドや薬害エイズに対する批判を込めています。そういった背景をもったミステリで、この作品の次に魔術はささやくを発表したわけで、のっけから作者の実力が出てますよ。
 今日は新幹線での出張だったので5時間の読書時間があって、パーフェクトブルーを読み終えた後は日経サイエンスを読みました。今月はどれも面白い特集でしたが、計算尺の話題も面白かったです。今では計算尺を知っている人は40歳過ぎくらいの人だと思いますが、それを使ったことがある人は50歳過ぎの技術者くらいしかいないでしょう。かのケプラーも計算尺があったおかげで惑星の三法則を発見できたわけで、人類の進歩の担い手であったわけです。

「パーフェクトブルー」宮部みゆき 創元推理文庫
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【6月26日】

2006-06-26 | 文庫
 宮部みゆきのデビュー作たる「パーフェクトブルー」を読み始めました。警察犬あがりの犬を語り手にして話が展開していきます。半分まで読んだところですが、後に宮部ワールドが開かれていく片鱗が、というよりももう宮部ワールドが開かれているという感じです。
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【6月25日】

2006-06-25 | その他
 今日は新聞もまともに読まなかった日です(ランニングレースに出てへばっておりました)。活字はネットニュースだけ。うーむ、こういう日もありますね。
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【6月24日】

2006-06-24 | 文庫
 ちょびちょびと読みかけていた椎名誠の新宿熱風どかどか団を読み終えました。もともと朝日文庫に収められていたのを新潮文庫で再文庫化されたものです。朝日文庫でも読んだのですが、あとがき著者自身が書いていますが再校正が入っているから読者の方はご注意をとのことだった。
 本の雑誌社を始めて3年4年たった頃の若き(30代)の椎名誠の話が続いています。今は還暦を超えてしまいましたがまだこの頃の雰囲気を十分に残したままいてくれているのは嬉しいです。
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【6月23日】

2006-06-23 | 選書
 謎解きカラマーゾフの兄弟を読了。この本を読むとドストエフスキーが19世紀ロシアの縮図、キリスト教の問題をカラマーゾフを通して語ったという小説だということがわかります。そもそもカラマーゾフという言葉の意味、3兄弟のキリスト教的な存在意義、スメルジャコフのユダとしての役回り、全編を通して福音書をベースとしたキリスト世界を背景としていることなどはこの本を読むとより確認できます。
 読む前に読むか読んだ後に読むかという感じですが、一回無心に本編を読んでからこれを読んでもう一回読むといいのでしょう(訳を変えて読んでもいいかもしれない)。とにかくカラマーゾフは奥が深いといえます。
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【6月22日】

2006-06-22 | 選書
 謎解きカラマーゾフの兄弟を読んでいると、この小説はこんなにも深読みできるものなのかと感心してしまいます。作者の江川卓氏は中学時代に初めてカラマーゾフを読んだ時はそれこそ筋をなぞったような読み方だったといいますが、その後ロシア文学者としてここまで内容を深く読みこむに至ったのです。自分が読んだ時も1回目ということもあってそれに近い読み方だったのですが、こうしてこの本を読んでいると、ドストエフスキーの書いた一字一句には実は裏と背景があって、この本を読んだ後にもう一度読むとすれば、まさにそれがわかり謎解きとなるのです。世界最高の小説と小林秀雄が言ったその意味がわかります。
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【6月21日】

2006-06-21 | 選書
 今週の日経ビジネスを読みまして、今週は東芝の特集でしたが、サムスンとの半導体競争、原発企業としてのこれからなど一時は倒産も視野に入った東芝がこれからどうなっていくのかというのはなかなか面白かったです。
 この前カラマーゾフの兄弟を読んだのですが、記憶が消えないうちに「謎解きカラマーゾフの兄弟」という本を読み始めました。ドストエフスキーの訳者で知られる江川卓氏のもので、自分が読んだ新潮文庫は原卓也訳でしたが一種、解説本のようなものです。
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