コロナ禍が一段落すると、世の中は一層格差が広まると著者(特に佐藤優)は予想しています。そうなると現在の欧米のように社会主義への関心が持ち上がって来るそうです。資本主義、自由主義の対になるのは社会主義ですからね。かつて日本には民社党、社会党、共産党と左翼政党がありましたが、現在では共産党だけです。その時が来た時に共産党が旗を振って左翼を引っ張ることが予想され、それは恐ろしいことだと佐藤はいいます。何しろ共産党は革命を目指しているからです。革命とは体制の変革です。支配階級が入れ替わることを革命といいますが、労働者階級が社会を作るという世の中です。天皇などは廃位され、場合によっては暴力革命もあり得るのが共産党の本質です。このことを理解してもらうために左翼の歴史としてこの本を書いたと言っています。なかなか鋭い視点です。学生時代に社会党の青年部組織、社青同にいたことを公言している佐藤だからこそ、迫力があります。続刊、激動日本左翼史も読まねばなりません。
「真説 日本左翼史」池上彰 佐藤優 講談社現代新書