元文・享保の漂流記と天明・寛政の漂流記を中心にして鳥島で起きた難破の話でしたが、この後天保の頃にはあのジョン万次郎も漂着しています。万次郎は4カ月でアメリカの捕鯨船に助けられて、明治維新に活躍しました。天明・寛政の漂流記と同じとき、伊勢からアリューシャンに流された人がいて、大黒屋光太夫としてロシアを漂流しエカテリーナ二世に謁見しました。これは井上靖の歴史小説になっていますね。また、天明・寛政の漂流で最初の漂着者長平を主人公とした漂流という作品が吉村昭が書いています(北大路欣也主演で映画化もされました)。ロビンソン・クルーソー、十五少年漂流記に代表される漂流記は何を読んでも面白いです。この本は物語と題されていますが、ノンフィクションに近いものです。
「新編 鳥島漂着物語 18世紀庶民の無人島体験電子版」小林郁 天夢人