陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

陋巷の鶴橋駅一景 その参

2017年07月13日 | slow value

鶴橋駅西口を降りて、焼肉屋が所狭しと並ぶ
細い路地を抜けて私は病院へ向かっている。

ランチ時にはまだ早いから、あのそそるような
焼肉の匂いは漂ってはいない。もう少ししたら
肉の焼ける匂いがこの路地に溢れ出すだろう。

そう言えばもう長いこと焼肉屋には行ってない。
鶴橋で最後に焼肉を食べたのは、確か母が生きていた頃
母を連れてあの一番有名な店に行ったきりであった。
歳を重ねて焼肉を食べに行きたいとは思わなくなった。
熟年のうらぶれた男と女が、煤けたホルモン屋で
焼いて喰っている姿というのも、何だかペーソスが
漂ってそれもいいかなんて思ったりもするのだが…。

逢魔が時…。やがてこの路地に人が次々とやって来る。
そしてビールをあおり、焼肉を貪るのだろうな。
羨ましい。私はそう思いながら病院へ向かう。
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