蔵王堂から𠮷水神社へ。
吉水神社は現存する南朝唯一の行宮。
後醍醐天皇、楠正成、源義経、静御前、弁慶
そして太閤秀吉などの所縁の神社である。
歴史上の人物に思いを馳せながらお参りを済ませ
この神社から温泉谷へと続いているらしい
細い九十九折の径を下っていった。
あまりにも径が細いので心細かったが
着いた所が吉野温泉元湯の宿であった。
玄関から「たのもう!」よろしく声を掛けるも
応答なし。しかし何回かして宿の人が出て来られた。
「あの~、汀子先生の句碑を拝見したいのですが
どこにございますのでしょうか?」と尋ねると
宿の庭にありますという。そして「靴を持って
ここから庭に行ってください。」とのこと。
庭へ出ると、そんなに大き句碑ではないけれど
古りたいい感じの句碑が建っていました。
“一山の花の散りこむ谷と聞く”
句碑の裏書には「汀子先生が門下生とともに
観桜の句会を開かれて十数年になり、ここに
汀子先生の浅からぬ縁を記念し、親しく
ご染筆を得て、ささやかな碑を建立致しました」と
元湯の主人の言葉が刻まれていた。
庭の木戸を出て左に行けば、そのまま
吉野駅まで行けるようであった。
初秋の声を聞くかに汀子句碑