陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

路地の記憶Ⅱ

2022年09月30日 | slow value

仙台は壱弐参(いろは)横丁に井戸があった。
昔懐かしい手押しポンプ式の井戸である。

壱弐参横丁のホームページによると
“壱弐参(いろは)横丁の歴史は終戦後に始まりました。
以来70年—仙台の街並が変わりゆく一方で、今でも
昭和の香りを色濃く残しています。”とある。
仙台中心部は昭和20年7月10日の「仙台空襲」で
焦土と化し、焼け野原となった街中で、いち早く
仙台駅前や一番町などで露店が立ち上がり
やがてそれが市場創設に繋がったのだという。
そして現在の壱弐参横丁の前身となる「中央公設市場」
が誕生とあった。まさに戦後昭和の歴史そのものなのだ。

神戸にも高架下という戦後の面影を残した商店街がある。
モトコ―といって親しまれたきたが、モトコーは今は
立ち退きでシャッターの降りている所がほとんどだ。
大阪の丸ビル周辺や広島駅南の一画も再開発で今や
昔の面影は見る影もなくなってしまった。

残って欲しいとは思うのだが、そんなノスタルジーでは
経済も発展してゆかない。ブルートレインにしても
なくなると聞けばどっと人が押し寄せて惜しむけれど
いつしかそれも忘れてしまうのが日本人の特性。
いつの世も取り残されてゆくのは高齢者や
変化に対応できない頑固者だけかもしれない。
私も十分その範疇に入っているのだが…。
路地はどんどん記憶の中だけになってゆく。

光陰を纏(まと)ふ古井戸秋日濃し

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路地の記憶

2022年09月29日 | slow value

“歩いても歩いても出口がなく
歩いても歩いても退屈しない
そんな人の匂いのする路地を
あみだくじのように歩いた”
(路地の記憶“あみだくじ”より)

私の書架に「路地の記憶」という一冊がある。
佐藤秀明さんの写真とエッセイ、そして
阿久悠さんの詞という共著である。いろんな
日本各地の路地の風景がカラーで紹介されている。
なかでも尾道が一番多いように思う。
私もやはり尾道の路地の風景が一番好きだ。

どうして路地に惹かれるのだろうか?
やはり自分が約半分の年月を過した昭和への
ノスタルジーだろうか。何より路地には
人びとの暮らしが見える。今の時代のような
分断化された社会ではなく、皆等しく貧しかった。
それ故の人情があった。そこに今の時代にどこか
疲れている自分がいて、そしてどこかあの時代に
回帰したい心がきっと無意識化で叫んでいるのだろう。
それが懐かしさの源泉かもしれない。

(写真)仙台・いろは横丁にて

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街の面白看板 肉の自販機

2022年09月28日 | slow culture

昨今は色んな自動販売機が登場している。
価格が数千円もする商品の自販機もあって
もう自販機と言えばドリンクなどコインで
買うものという概念もなくなりつつある。
ちなみに日本は自販機天国という。

さて、とある肉料理店の前にあった自販機。
和牛の自動販売機だ。和牛のハラミとタン。
この自販機を見た方へという解説があった。
それによると店で食べたら70gで2000円から
3000円はする品質の肉なのだと。それが
150g1500円。ギリギリの価格なのだとか。
本当に自信ありとも。
騙されたつもりで試しに買ってみようと
思ったのであるが、ここは大阪。
冷凍にしても冷蔵にしても(たぶん冷凍でしょう)
買っても移動時間を考えると、保冷バック無しでは
やはり持たないので諦めることに。

自販機もこういうカスタムメイドなものでも
導入できるようになったということなのかな?
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人間ドックの日

2022年09月27日 | slow life

今年も人間ドックの日がやって来ました。
一年のうちでやや憂鬱になる日です。

理由はふたつ。まず第一にあの胃カメラ。
胃の内視鏡検査です。胃カメラはもうかれこれ
二十年近く前から経験があります。今は当時ほど
太い管ではなくなりました。今思えばあの当時
あんなに太いものを辛抱してよく呑みこんだなと…。
今は技術の進歩で管がかなり細くなったとは言え
やはり最初はまだえづきます。
今利用しているクリニックは病院ではないためなのか
鎮静剤を打ってはくれません。以前は大病院のドック
だったので鎮静剤は打ってくれました。だから
ほぼ朦朧とした中で苦痛なく検査は終わったのですが
意識がしっかり覚醒している中での検査には、やはり
何回やって決して慣れぬ辛さがありますね。

第二はやはり検査結果を思うと憂鬱になります。
もうこの歳になると、いつ要再検査を告げられても
不思議ではないからです。とはいえ所詮自分事。
だからと逃げずに先延ばししないで向き合うこと。
そう言い聞かせて自分を鼓舞してますです。

今回一番不思議だったのが血圧でした。
絶対に高血圧領域になると思っていたのですが
看護師さんに計ってもらった血圧は、なんと我が
人間ドック史上での最低血圧。どうなっているのか
不思議でした。まあ血圧は日々、時間、環境によって
かなり変動するものですから。それでも検査日の記録は
髙いより低い方がいいですね。

難所の胃カメラを終えてすべての検査は無事終了。
あとは何週間後かに届く検査結果を待つだけ。
それからのことはそれからのこと。これから先
体のケアはとてお大切です。一病息災でもいい。
健康寿命をできるだけ長くしたいですね。
ねえ、ご同輩!

身に入むや胃カメラ喉を通るとき
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夢洲の遠花火

2022年09月26日 | slow life

俳句では花火は秋・八月の季題である。
とは言えど世間ではやはり夏の風物詩である。

もう花火の季節も過ぎ去ったと思っていたが
凌ぎやすくなって、開けていた窓から
ど~ん!という音が聞こえてきた。「ん?」
空耳か?と思ったがまた聞こえてくる。
ふと窓辺から湾岸方面を探すとやはり花火が
上がっていた。遠花火である。すぐに終わるかな
と思っていたが、結構長い時間上がっていた。

調べてみると大阪は夢洲の花火大会であった。
万博の会場となるところである。
何と四万五千発の花火が打ち上がるという。
どうりでなかなか終わらなかった訳だ。

窓から見える遠花火。輪っかは小さいけれど
よく見えました。歳を取ると遠花火がいいね。
もう間近の花火の轟きに興奮するという年齢
ではないものね。

振り返る余裕も少し遠花火
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季題 曼珠沙華

2022年09月25日 | nonoka

台風十五号は東海地方に大きな被害をもたらして
温帯低気圧になりました。亡くなった方も。
被害に遭われた皆さまにはお悔やみとお見舞いを
申し上げます。

さて関西も警報が出るのかと天気予報を注視して
おりましたが、予想に反して晴れておりました。
句会も中止にならず予定通り行えました。

この時期、あちこちで曼珠沙華が咲いていますね。
正に彼岸花というにふさわしい旬の花です。
吟行でもこの曼珠沙華を見つけました。ぜひとも
この季題を詠んで下さいと言ったら、何人かの
俳人がしっかりと素直に詠んでくれました。

この花は世代によって抱くイメージが全然違います。
最近は鑑賞用の品種も現れて、もう紅色だけでは
なくなりました。街中では白いものもよく見かけます。
私はやはり世代的には「死人花(しびとばな)」の
イメージが強く残ってます。この花は実に異名が多く
幽霊花とも捨子花、そして狐花、狐の嫁子など、もう
散々たるものです。しかも有毒と来ている。

悪いことなどしていないのに、何でここまでそう
呼ばれなくてはならないのか?これは人間界が
仕組んだ冤罪だと言っているかもしれません。
ここまで言われたらさすがに同情したくなります。
でもやはり部屋に活けることは逡巡してしまいます。
曼珠沙華ちゃん、ここはひとつこらえてつかあさい。
まあそれも人気の証ということですから。知らんけど笑。

緋の色は不条理のいろ曼珠沙華
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季題 鰯雲

2022年09月22日 | slow haiku

颱風が去ってぐっと気温が下がった二日目。
ウォーキングの空に鰯雲を見つけました。

完全なる鰯雲とは言えないかもしれませんが。
鰯雲は秋九月の季題。鱗雲とも鯖雲とも呼びます。
写真の雲はひょっとしたら羊雲かもしれませんね。

気象学的に鰯雲は巻積雲だそうです。そして
羊雲は高積雲の一種とのこと。鰯雲よりは
やや低い位置にできる雲です。まあ専門的な
ことはさておき、俳人は心で感じるもの。だから
これを鰯雲とみたなら鰯雲で詠めばいいのです。

鰯雲が現れると天気は下り坂になると言われます。
実際、この週末は雨の予報です。この週末には
おふたりの俳人が旅行をすると言ってました。
お天気が心配ですが良い秋旅をして欲しいです。
旅は心を豊かにしてくれます。非日常の刺激。
たくさん感動をインプットして来てください。

鰯雲追ひかけてゆく旅路かな
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私の酒呑録 賀茂鶴

2022年09月21日 | eau de vie

いやあ、こう気温が低くなるとどうしても
日本酒が恋しくなってきますね。そういう方
多いのではないでしょうか?私も最近は
歳の所為か、日本酒が多くなってきました。

日本酒は飲み過ぎなければとても滋味な酒
であると思います。何しろこれから秋の旬の
食材が出回る頃でもあります。海山の幸には
やはり何といっても日本酒が一番合うのでは
ないでしょうか?

今回は広島は西条の酒、賀茂鶴を買いました。
吟醸でなければお値段も手ごろです。
広島に居た頃は賀茂鶴さんにときどき訪問
させていただきました。カモツルと読みます。
けっしてカモヅルと言ってはいけません。
これは広島に赴任したときに地元の先輩社員から
とくと教えられました。濁っちゃいけんのです。
なるほど。うまいこと言うなあと思いました。
この西条地区には美酒鍋という名物鍋があります。
またいつか機会があったら食べたいですね。

ついでににごり酒も買いました。にごり酒は
広島では可部にある久保田酒造の菱正宗の
にごり酒が私は好きだったのですが、ネットで
確認してみたら、この酒蔵さんは2020年に
廃業したようです。残念!

賀茂鶴さんは以前は灘と双肩を為すほど
知名度のある全国区の酒蔵さんでした。
でしたと過去形で言ってはいけないのですが。
しかし日本酒のメーカーは今はどこも昔ほどの
勢いはありません。全国区でばんばんテレビCMを
打っていた時代とは雲泥の差であります。
賀茂鶴さんは吟醸酒の草分けで、このヒット商品で
東京市場を開拓されたと聞いてます。
東京市場を開拓できていること。そして贈答需要を
取り込んでいること。この二つが揃わないと、中々
全国区の酒造メーカーになるのは難しいようです。
江戸時代は灘の酒蔵も江戸という市場を開拓したから
全国区になったのですし、最近では獺祭なんかも
東京市場を開拓したのが成長の源となってますね。
要は東京で売れないと全国区にはならないというのは
今も昔も変らないのですが、変ったのは今の時代
特に消費力のある若者たちはあまり日本酒を飲まない
ということ。今の若者は新聞を読まない。つまり
新聞業界と日本酒業界には共通する課題が難題として
存在しているのです。そして両業界ともその課題を
解決する方法としてネット対応が挙げられます。
ネットがあれば地酒メーカーも全国区になることは
可能なのですから。

なんか小難しいことを書いてしまいましたが
要は広島・西条を代表する酒蔵として、これからも
賀茂鶴さんを応援していきたいということです。

■賀茂鶴酒造株式会社
広島県東広島市西条本町4番31号
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台風一過の朝

2022年09月20日 | slow life

台風14号は列島の東で温帯低気圧になったようです。

私の住んでいる所では夜の11時位から雨が酷くなり
2時位から風がきつくなりましたが、物が飛んだり
するようなことはありませんでした。皆さんは
如何だったのでしょうか?九州では一面湖のように
浸水したところもあって被害が気になりますね。
被害に遭われた方にはお見舞いを申し上げます。

さて、台風一過。晴天とはなっていませんが
気温がぐっと下がってやっとしのぎやすいです。
窓を南北開けたら風がすごくて、紙類などが
散乱してしまいました。これで一気に秋になって
くれればいいのですが。さてどうでしょう。

新涼の朝(あした)となりし嵐あと
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颱風来

2022年09月19日 | slow life

台風14号は九州に上陸し、どうやら
そのまま本州の北部を東へ進むようである。

19日の6時の時点で960hPaとやや衰えたが
それでも大型で強い台風という。
最大風速は35メートル、最大瞬間風速は
50メートルという。

台風が近づくとき雲の動きというか変幻を
見ているととても興味深い。
私の小さい頃は雨戸に板を打ち付けたり
目貼りなんかしたものである。今はそんな
木造の平屋建ての民家も本当に少なくなったので
そんな光景は見られなくなったが。特に神戸は
震災でそんな家がほとんど潰れてしまった。

一度子どもの頃、台風の目に入ったことがあった。
その時の青空を今でもはっきりと覚えている。
台風は子ども心に何となくそわそわもわくわくと
したものであった。

今は被害が大きくならないことを祈るばかりだ。
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