【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「ステキな金縛り」

2011-11-20 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)

三谷幸喜って、日本映画界にとって貴重な存在だよな。
これほど肩の力を抜いて楽しく観れる映画をつくる監督って、あまりいないもんね。
こういう映画を撮ってくれる監督がもっといたら映画界も賑やかなんだけど。
観ていると、映画というよりはやっぱり演劇に近いんだけど、三谷幸喜だからそういう感覚になってしまうのは仕方ない。
声の張り方とか立ち居振る舞いとか、どうしても大げさになってしまう。
主役の深津絵里とか、ぴったりこの役にははまってるけど、これに味をしめて、今後全部この路線で行くんじゃないよね、とちょっと心配。
悪人」の路線も忘れないでね。
西田敏行も、相変わらず達者だけど、本領発揮とまではいかない。
憑神」なんていう笑えない喜劇の中で唯一爆笑を取った超絶演技に比べるとまだまだ爆発力が足りない。
一番肝腎な場面でいなくなっちゃうっていうのもねえ。
お父さんのエピソードも無理やり感動に持っていこうとして破たんしてない?
ああいうほろり狙いのエンディングにしないと、三谷監督自身が居心地悪いんでしょうね。
彼にはああいうエンディングしかできないと?
というか、おそらく、彼は、外国映画でいえば、昔のビリー・ワイルダー監督みたいなしゃれたコメディの線を狙いたいんだろうけど、それにはもう少し映画的なリアリティが必要な気がするなあ。
つくりすぎなところはちょっと抑えて、登場人物にもう少し陰翳を持たせてほしいってところかな。
・・・とか何とか言いたい放題だけど、日本映画界にとっては貴重な存在だから期待しちゃうのよ。