【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「ロッキー・ザ・ファイナル」:船の科学館駅前バス停付近の会話

2007-04-21 | ★虹01系統(浜松町駅~ビッグサイト)

船の科学館て、青函連絡船も保存されているのね。
1965年に就航し、1988年青函トンネルの完成とともに役目を終えた2代目羊蹄丸だ。
長い間、ご苦労様。
ご苦労様といえば、ロッキーこそご苦労様だよな。
1976年に第1作が公開されて30年かけてやっと完結篇だもんね。
完結篇というより、完結して引退してたのにまた出てきちゃったっていう感じだ。
そうね。ひとことで言うと、ボクシングの世界から身を引いて60歳になったロッキーが、やっぱりボクシングに未練があったんでまた始めちゃいましたっていう映画だもんね。
60歳のボクサーなんて、いくら映画の世界だってコメディにしかならないだろうと思って観に行ったら、これが結構心を揺さぶられる映画になっていたから驚いた。
60歳の男の心情が丁寧に描かれていたから、浮いた映画にならなかったんでしょうね。妻をなくして、息子には疎んじられ、経営するレストランで過去の栄光を語るだけの毎日の中で、何か心の中にまだくすぶっているものがある、って男のあなたなら十分にわかる気持ちでしょ。
待て、待て。俺はまだまだ60なんてはるか先だ。
でもそういう、うつうつした日常の描写があるから、60歳なんていう、サラリーマンなら定年になるような歳でまたボクシングをやるなんていう無謀な設定もバカにみえないのよね。
それにしても、しわが目立つとはいえ、あの年齢にしてあの体格は立派なもんだ。
体格だけは、あなたのほうがはるかに年上に見えるわ。
悪かったな。
ほんとはもう少し60歳らしく、どこかに故障をかかえていたり、練習で息が切れたりする描写があれば、もっと親近感が持てたんだしょうけどね。
そうそう。もう少し危なっかしい感じでリングに上がれば、最終ラウンドまで戦っただけで、ロッキーにとっては勝ちなんだっていう気分がもう少し盛り上がるんだけどな。
それって、第1作と一緒じゃない。格が上の相手と対戦するんだから負けてあたりまえっていうところを強調して、最後は勝負よりエイドリアンとの愛に焦点を持っていって感動の幕を閉じるっていう。
まあ、引退した60歳の男が現役のボクサーと戦うんだから、あそこまでがんばったっていうだけで、十分だけどな。
それが、実際のスタローンの役者人生と重なるから、よけい胸に沁みるのよね。
第1作でのしあがり、ここのところはほとんど引退状態だったのに、またあの歳でボクサー役をやるなんてな。
映画が始まる前上映していた予告篇がまた「ダイ・ハード4.0」。こちらも、ロッキーほどではないけど、いい年したブルース・ウィリスがいまだにやってるマクレーン。もしかして、海の向こうにも団塊世代とかあるのかしら。
とにかく、ロッキーはあの音楽が聴こえてくるだけで気持ちが高揚するからずるい。
たしかに、あの音楽の偉大さも再認識したわ。
でも、さすがにロッキーシリーズも、これで終わりだろうな。
いえいえ、わからないわよ。10年くらいしたら「帰ってきたロッキー」とか言って、老人ホームを舞台にしたボクシング映画ができるかもしれないわよ。
いやいや、10年後なら、ロッキーの息子が親の影響で立派なボクサーになっていて、一攫千金を狙う興行師がロッキー親子を対戦させ、息子にKOされたロッキーが「お前もようやく俺を超えたな」とか言いながらリング上で息絶える。きっとそんな感動的な映画になると思うな。
うーん、感動的かなあ。
やっぱり、ありえないかな。
青函連絡船がまた津軽海峡を走るのと同じくらい、ありえないと思うけど。
そうだな。いい夢見させてもらったよ。


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ふたりが乗ったのは、都バス<虹01系統>
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