【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「ツォツィ」:台場駅前バス停付近の会話

2007-04-18 | ★虹01系統(浜松町駅~ビッグサイト)

あら、ゆりかもめって、無人運転じゃなかったっけ?
ああ、運転手がいるなんて珍しい光景だな。
安全対策か何か?
さあ、わからないけど、南アフリカの地下鉄に比べりゃ、ずっと安全なんじゃないのか。
って、どうしていきなり遠い南アフリカに話が飛ぶの?
いや、「ツォツィ」ていう南アフリカ映画に地下鉄が出てくるんだけど、その運転席の窓に金網が張ってあるような気がしたんだ。そういうものを張らなきゃいけないほど、南アフリカって物騒なのかと思ってな。
あら、そうだったかしら。全然覚えてないけど。
一瞬だから自信はないけど、しかし、あの主人公の少年が育ったスラム街はどうみても危険がいっぱいって感じだろう。
南アフリカの映画っていうから、アフリカを舞台にした最近の一連の映画のように、欧米の植民地政策が原因で現地の人々に災難が訪れるっていう映画かと思ったら、そういう映画とは毛色が違ったわね。
アパルトヘイトもなくなったいまの南アフリカを舞台にした映画だから、政治的な色合いより貧しい庶民の息遣いをすくい上げた、下から目線の映画と言ったほうが正しい。
スラム街で育ち、現地の言葉でツォツィ=不良と呼ばれる少年が悪事を働いているうちに偶然赤ちゃんを育てることになって良心に目覚めていくという物語・・・。
なんか、そう要約すると道徳映画みたいだけど、同じような貧民街の少年を主人公にしているからか、肌触りはブラジル映画の「シティ・オブ・ゴッド」に近い。ヒリヒリした緊張感が画面全体を覆っている。
でも、あっちは殺伐を絵に描いたような殺し合いの連続で救いがなかったけど、こっちはまだ希望がほの見える話よね。
何語かわからないけど、英語じゃなくて現地の言葉で喋ってるのがいいよな。ほんとうのリアリティを感じさせる。
だけど、一番驚きだったのは、お金持ちの黒人の登場。少年が偶然奪った赤ちゃんは、上流階級の黒人の子どもだったんだけど、その黒人がいたって良識的な黒人なのよね。別に驚くことじゃないのかもしれないけど、アパルトヘイトがなくなっても、人種差別とは別のところで、結局こういう形で貧富の差は残るのかと思うと、心が痛いわ。
でも、富豪vs貧民という図式じゃない。金持ちの黒人も少年を理解しようとするし、少年も金持ちを理解しようとする。そういう展開になっていた。
たしかにそうだわね。手を上げた少年を包んでいたのは、未来に対する希望の光だったわ。
南アフリカといえば、2010年ワールドカップの開催国だ。それまでには、いまよりもっといい国になっていることを祈りたいな。
ゆりかもめみたいな無人の電車が走っても安全な国にね。
おいおい、都バスに敬意を払うブログなのに、バスの話じゃなくて電車の話でまとめちゃっていいのか。
電車って言っても、ゆりかもめは線路もないし、正確には新交通システムということで、いいんじゃない?
そっか。


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ふたりが乗ったのは、都バス<虹01系統>
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