Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

“木“と”森“のどちらが重要か

2015年04月12日 | ひとりごと
”木を見て森を見ず”と書いて、さらに思い出した。
集中治療999の謎”という本の1章を担当したのだが、その中でこんなことを書いた。
これって出版社に著作権が移ってしまっているから、勝手にコピペしていいのかどうかよく分からないが、まあ宣伝もしているのだから許してもらえるに違いない。

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ご存知の通り、"木を見て森を見ず"とは、物事の一部分や細部に気を取られて、全体を見失うことを意味することわざである。集中治療において、"木"とは一つの検査値や症状や薬剤など、"森"とは患者の全体像を意味する(ことにする)。

患者が全体として改善傾向にあるのに、一部の検査異常を問題視して余計な事をする必要は無い。例えば、具合は良さそうなのに何故か乳酸値が高い。多くの場合、何もしなくてもしばらくすると乳酸は正常化する。
逆に、患者が全体として改善傾向にあっても、見落としてはいけないことは多い。例えば、肺炎による呼吸不全で入室した患者に対し、培養を採取して抗菌薬を投与し、気道確保して人工呼吸管理を行い、バイタルなどの状態が落ち着いたからそれで良し、ではない。DVT予防、ストレス潰瘍予防、鎮痛鎮静、栄養などなど、たくさんの要素を考慮する必要がある。

集中治療では、“木”も“森”も重要である。

Franklin C. 100 thoughts for the critical care practitioner in the new millennium. Crit Care Med 2000; 28: 3050-2. PMID: 10966294.
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