図書館で一年前の「文藝春秋三月号」を見つけた。
三月号と言えば芥川賞発表だ。
そういえば、昨年2月の芥川賞は読んでなかった……。
ということで、
「この世の喜びよ」 井戸川射子
高校の国語教員。1987年生まれ。
ショッピングセンター・喪服売り場で働く女性の身辺雑記。
自分に二人称で呼びかけ、母として店員としての過去と現在が溶け合う。
「荒地の家族」 佐藤厚志
丸善仙台アエル店の店員。1982年生まれ。
造園業を営む主人公は家を出ていった元妻に執着し続け、友人の明夫は密漁に手を染め、自殺する。
東日本大震災の復興から零れ落ちそうななか、どうには日常にしがみついている人々……。
震災ではなく「災厄」、
津波ではなく「海の膨張」、
生々しい。