ま、いいか

日々の徒然を思いつくままに。

「姥玉みっつ」

2024-09-21 23:08:40 | 

 

「姥玉みっつ」 西條奈加 潮出版社 2024.3.20

 

名主の書役として暮らすお麓の閑居へ、能天気なお菅と、派手好きなお修が転がり込んできた。

二人とも五十年前の幼友達だ。

お麓は歌を詠みながら安穏の余生を送ろうとしていたのだがーー。

ある日、お菅が空き地で倒れた女と声が出せない少女を見つけてきた。

厄介だ。お麓にとって悪夢のような日々が始まったーー。

 

泣いて、笑って、喧嘩して、

なんだかんだあっても婆たち三人ーー

人生これから!

 

P152

女が仕事を持つことは、江戸では決してめずらしい話ではない。というのも、庶民に「結婚」が強いられるようになったのは、明治以降であるからだ。

「結婚」とは、婿養子を除けば、妻が夫の家に嫁することだ。妻は財産をもつことが許されず、家父長制のもと家に縛りつけられることとなった。

しかし江戸期までは、「結婚」という約束事を交わすのは、貴族や武家といった身分のある家や富裕な者に限られ、庶民のあいだの夫婦とは、もっと緩い間柄である。夫婦はまさに一緒になるもので、法的には未婚も多く、夫婦別姓、夫婦別財があたりまえであった。

 

 

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「魔女と過ごした七日間」

2024-09-18 23:22:56 | 

 

「魔女と過ごした七日間」 東野圭吾 KADOKAWA 2023.3.17

 

AIによる監視システムが強化された日本。

指名手配犯捜しのスペシャリストだった元刑事が殺された。

不思議な女性・円華に導かれ、父を亡くした少年・陸真の冒険が始まる。

 

「あたしなりに推理する。その気があるなら、ついてきて」

 

陸真は大切なことに気づけた。きっと彼女のいう通りに違いない。

国家が作るのは、国民をコントロールするのに都合のいい法律だけだ。DNAもIDナンバーカードも、国民を管理するツールにすぎない。だからこそ大事なのは、そんなものに振り回されたりせず、困難にぶち当たった時には、自分で考え、道を切り拓かねばならないということだ。頼るのはAIなんかじゃない。自分の頭だ。

 

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「捨てたい人 捨てたくない人」

2024-09-03 07:49:13 | 

 

「捨てたい人  捨てたくない人」 群ようこ 幻冬舎 2024.3.5

 

溢れかえる洋服、本、フィギュア、溜め込んだ非常食、密かに隠した写真や手紙、

そして、人間関係……

身の回りを"断捨離"しようとする人たちの右往左往。

 

「捨てられない姉  捨てさせたい妹」

「息子の嫁の後始末」

「本好きとフィギュア好きの新居問題」

 

 

「溜め込みすぎる母」

「夫の部屋」

 

う~ん、断捨離しなくては💦

 

 

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「花散る里の病棟」

2024-08-31 08:07:15 | 

 

「花散る里の病棟」 帚木蓬生 新潮社 2022.4.25

 

九州で四代百年続く「医者の家」を描く。

大正の寄生虫、昭和の戦場、平成の高齢化、令和のコロナ禍……

 

2015年、二年間アメリカに留学中、デイブが言った。

「隣の国のキューバは貧乏だとみんな軽蔑しているけど、医療費は全国民が無料だよ。そしてあの国の最大の輸出産業は医療だ。(略)国民はひとり残らず、医療の恩恵を受けられる。貧乏だけどそんな国と、この国を比べて、どちらが本来の国だと思う?」

「(この国では)金持ちの患者しか、手術は受けられない」

ーー医療を諦めた夫妻を見ながらーー

「歩く死者(デッド・マン・ウォーキング)と、その妻だ」

 

太平洋戦争のルソン島でーー

歩行困難な患者は、適当に処置せよという命令が下った。

適当な処置とは、いわば安楽死である。

 

2020年、大阪府知事が大阪万博でカジノを誘致しようとした。

その二年ほど前の、ある精神科医の推測によると、首相がカジノ解禁を思いついたのは、トランプ大統領の要求に応じたから。

大統領の財政的な後ろ楯は、かつて米国東海岸で同様にカジノホテルを経営していた盟友のシェルドン・アデルソン氏であり、いまやラスベガスやマカオ、シンガポールでカジノを経営するカジノ王。この盟友が熱望していたのが、日本への進出で、特に大阪を狙っていた。

アデルソン氏が東海岸でのカジノホテルが不人気になり、破産寸前だったとき、資金提供をしたのがソフトバンクの孫会長だという。

 

1990年までは、日本はワクチン先進国で、水痘や日本脳炎、百日咳などの予防ワクチンを米国や中国に技術供与していた。しかしその後、ワクチンの副反応を巡って各地で集団訴訟が起きる。1992年、東京高裁が、予防接種による事故の発生を予防しなかったとして、国と厚生省の過失責任を認める。これによって、国も企業も、ワクチン開発には消極的になった。ワクチン製造には、基礎研究から臨床試験まで数年、長ければ十年かかる。日本は完全にワクチン後進国になりさがっていた。

 

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「幾世の鈴」

2024-08-28 08:52:47 | 

 

「幾世の鈴」 髙田郁 角川春樹事務所 2024.3.8

 

あきない世傳 金と銀 特別巻下。

 

明和九年(1772年)、「行人坂の大火」の後の五鈴屋ゆかりの人々の物語。

八代目店主周助の暖簾を巡る迷いと決断を描く「暖簾」。

江戸に留まり、小間物商「菊栄」店主として新たな流行りを生み出すべく精進を重ねる菊栄の「菊日和」。

姉への嫉妬や憎しみに囚われ続ける結が、苦悩の果てに漸く辿り着く「行合の空」。

還暦を迎えた幸が、九代目店主で夫の賢輔とともに、五鈴屋の暖簾をどう守り、その商道を後世にどう残すのかを熟考し、決意する「幾世の」。

初代徳兵衛の創業から百年を越え、次の百年へーー。

 

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