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スペイン語のタイトルのジャズの曲:Soy Califa (4)

2015-07-19 10:21:30 | スペイン語タイトルのジャズの曲
 キリスト教世界でカリフは全然なじみがないのではないかと、前回述べたが、そうでもなさそうである。「アラビアン・ナイト」はディズニーのアニメでも取り上げられたように、アメリカの庶民にも親しまれているのではないか。
 「アラビアン・ナイト」によく出てくるカリフがハールーン・アッ=ラシード(Hārūn al-Rashīd)で、西暦800年ごろのアッバース朝第5代カリフで実在の人物である。「ドラえもん のび太のドラビアンナイト」にも登場している人気者である(ウィキペディア)。
  【写真はウィキペディアより拝借】
 “Soy Califa”のカリフがハールーン・アッ=ラシードかどうかはともかく、ラテン・リズムを使って、アラビアン・ナイト風のエキゾチックな味付けをしたということだろうか。
 ところで、カトリック国であり、イスラムは敵だったスペインの言葉で、“Soy Califa”(私はカリフ)というのも考えてみれば、おかしな話ではある。
 
 手元の辞書の califa の項に、イスラム支配下の「スペインでは929年に Abderramán 3世がカリフを名乗り、コルドバ・カリフ国を創設した」とあるから、このカリフなら、スペイン語で“Soy Califa”と言ってもおかしくはないだろうが(ただ、この時期、ラテン語から変化して、現代のスペイン語の母体になる言語が成立していたかどうか、調べなくてはならない)。

 それはともかく、カトリックであるはずのラテンと、敵であるはずのイスラムをくっつけてしまった強引さには感心してしまうが、これまた、堅いことは言いっこなしということか。
 
 さて、カリフは正式には1924年に廃止されたが、「2014年には、イラク、シリア両国にまたがる地域を掌握した過激派組織ISILが、支配地域における国家としての独立と、指導者のアブー・バクル・アル=バグダーディーのカリフ即位を宣言した」(ウィキペディア)とある。ただ、「この即位について、現時点ではイスラム社会を含め国際社会で承認する動きはない」とのこと(同上)。

 “Soy Califa”を含むアルバム、“ Swingin' Affair” が発表されたのは1962年のことだから、「私はカリフ」といっても、人畜無害だったが、今「私はカリフ」というと、危険人物扱いされそうである。
【追記 スペイン語のタイトルのジャズの曲:Soy Califa (2)の末尾に一句詠みました】


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