スペイン語とギリシャ語の気音化について述べたが、ここで、目を日本語に転じてみよう。京ことばの敬語に「はる」というのがある。「行かはる」とか「しはる」という言い方である。この「はる」はもともとは「なさる」で、それが「なはる」に変化し、さらに「な」が取れて、「はる」になったわけであるが、「さ」が 「は」に変わっているのが分かる。ローマ字で書けば nasaru ⇒ naharu で、ここでも気音化が起きている。
なぜ、気音化が起きるかというと、省エネということになるのではないか。[s]を発音するより[h]の方がエネルギーが少なくてすむらしい。[h]も発音しなくなったら、完全な省エネの完成である。いったいそれぞれ、何カロリーの差があるのか、非常に興味があるところである。
また、歯が抜けると、[s]の発音が難しくなる。[s]は無声歯茎摩擦音だが、歯があればこその歯茎である。歯がなくなってしまうと、どうも摩擦がうまくいかなくなるのではないか。まだ、経験がないので実感としてはよくわからないのだが。
そういえば、ハワイ語には「サ行」と「タ行」がないのだが、 「タ行」はともかく、「サ行」がないのは、ハワイ人に歯が抜けてしまう人が多かったからなのだろうか。
いろいろと考えてしまう今日この頃である。
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