現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

ルイーゼロッテ・エンダーレ「四つのステーション 付、病人のステーション(ルガーノ)」子どもと子どもの本のために所収

2019-09-21 08:06:50 | 参考文献
 ケストナーの簡単な伝記です。
 といっても、生前に発表されたもので、付録の「病人のステーション」のルガーノはケストナーが静養していたサナトリウムのあった場所ですが、この時は無事に回復しています。
 「四つのステーション」とは、ドイツのドレースデン、ライプチヒ、ベルリン、ミュンヘンのことです。
 ケストナーは、ドレースデンで生まれ、ライプチヒの大学で学んで作家としてデビューし、ベルリンでナチスに焚書(他の記事を参照してください)と執筆禁止(他の記事を参照してください)をされるまで活動(彼の代表作のほとんどはこの時期に書かれました)し、ミュンヘンで戦後の活動を再開します。
 ドレースデンの部分を読むと、「エーミールと探偵たち」のエーミール・ティッシュバインや「飛ぶ教室」のマルチン・ターラーの中にケストナー自身がいることがよくわかります。
 母親思いの優等生で、貧しいけれど明るく生きている少年像が、彼自身であり、また彼の理想なのでしょう。
 そのあたりは、彼自身が書いた「わたしが子どもだったころ」に、より詳細に描かれています。

子どもと子どもの本のために (同時代ライブラリー (305))
クリエーター情報なし
岩波書店
 

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