現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

ニック・オブ・タイム

2022-09-27 13:11:34 | 映画

 1995年のアメリカ映画です。
 突然、幼い娘を人質にとられ、州知事の暗殺を命令される男の話です。
 やらなければ娘が殺されると脅されて、だんだん追い詰められていく若い父親を、若き日のジョニー・デップが熱演しています。
 ストーリー自体はご都合主義の他愛のないものですが、映画の中の時間と、現実の時間とがほぼ同時進行するので、サスペンスを高めることに成功しています。


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友だちのうちはどこ?

2022-09-26 16:19:28 | 映画

 1987年公開のイラン映画です。

 主人公の男の子(小学校中学年ぐらい)は、まちがって友だちのノートを持ってきてしまいました。

 友だちのうちはかなり離れた地域にありますが、どうしても今日中にノートを返さなければなりません。 

 なぜなら、今日の授業中に、友だちは宿題をノート以外の紙に書いていて(ノートは同じ教室にいる彼のいとこが持っていました)、教師から激しく叱責されて、今度やったら退学させると脅されていたからです。

 しかし、主人公の母親はそれを許してくれません(主人公にいろいろな作業を命じたり、そんなことより早く自分の宿題をしろと言ったりするばかりで、主人公の言うことにまったく耳を貸しません)。

 母親の目を盗んで家を抜け出しますが、今度は道端で暇をつぶしていた祖父につかまります。

 祖父は話し相手にいかに子どものころ厳しくしつけられていたかを自慢して、主人公に無意味に家へ煙草を取りに行かせます(実は、自分で持っているのです)。

 こうして、主人公は、すっかり遅くなってから、友だちのうちの地域に着きます。

 しかし、友だちのうちがどこかわかりません。

 あちこち訪ね歩いた後で、親切なおじいさんが友だちのうちまで連れて行ってくれます。

 でも、おじいさんの歩くのが遅いのと寄り道をするために、あたりは真っ暗になってしまいました。

 そのため、主人公は、友だちにノートを渡せませんでした。

 最後は、主人公が機転を利かせて友だちの分まで宿題をやっていった(教師は名前をチェックするだけで筆跡までは気づきませんでした)ので、友だちは危うくピンチを逃れることができました。

 まっすぐな主人公の心と、周囲の大人の無理解が対比されていて、非常に印象に残ります。

 たしかに、この映画は80年代のイランの実情を反映しているのでしょう。

 しかし、現在の日本でも、多くの子どもたちが、無理解な大人たちのために、まっすぐな心を踏みにじられています。

 そういった意味では、この映画は今日的な価値を持っているといえるでしょう。

 

 

 

 

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ドリームプラン

2022-09-24 15:15:16 | 映画

 2021年公開のアメリカ映画です。

 ビーナスとセリーナのウィリアムス姉妹を、自ら世界一のテニス・プレーヤーに育て上げた父親と家族の記録です。

 父親役のウィル・スミスは、アカデミー賞の主演男優賞を受賞しました(その授賞式で妻をからかわれて腹を立てて、司会者を平手打ちして問題になりました)。

 ビーナスが12歳までは文字通り自ら教えて(母親も手伝いました)、そしてその後は強力な売り込み(ビーナスの才能を認めさせて、コーチ料を無料にさせたり、将来の彼女の賞金の一部を与える約束をして、一家全員(長女だけは学業があるので西海岸に残ります。彼女もまた非常に優秀です)でフロリダに移住(豪華な家を手に入れます)させ父親自身も仕事を得たりします)で優秀なコーチにつけて、彼女たちを超一流の選手に育て上げます(ビーナスはウィンブルドンで五回優勝しましたし、セリーナは史上最高の女子選手になりました)。

 父親の綿密な育成プラン(これがドリームプランです)と狂気じみた情熱が、二人を成功させたのは間違いないのですが、そうした成功の陰には、似たような親子(テニスとは限らずあらゆるスポーツや芸術分野で)が無数にいて、その大半は失敗に終わっていることでしょう。

 そう考えると、この一家の成功物語を手放しで賛美することはできません。

 

 

 

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廣嶋玲子「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」シリーズ

2022-09-16 09:04:28 | 評論

2013年5月から刊行されて、現在までに15巻(9月15日に16巻目が出ます)とガイドブックが発行されて、2021年7月時点の累計発行部数は350万部を突破しています。それまでもかなり売れていたようですが、2020年6月にアニメが始まってから爆発的に売れるようになりました。

本の構成
・一巻あたり6作のお話と、プロローグやエピローグやサブストーリーやおまけ情報など(巻によって異なります)が掲載されています。
・一つのお話は原稿用紙30枚以内の長さです。

お話におけるルール
・何か悩みや望みを持った主人公が、それまでなかった場所に「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」を発見します(あるいは、店主の紅子が現れます)。
・主人公は、紅子が望んでいたお宝(例えば、昭和四十年の十円玉)と、望みをかなえる不思議な駄菓子とを交換できます。
・それぞれのお話には、ハッピーエンドの物と、アンハッピーエンドの物があり、ハッピーエンドの場合はお宝の硬貨は金色の小さな招き猫に代わり(銭天堂の勝ち)、アンハッピーエンドの場合は真っ黒な不幸虫に代わります(銭天堂の負け)。

作品の魅力
・店主の紅子のキャラクター(白髪で真っ赤な口紅を塗った和服姿の巨大なおばさん。しゃべり方が独特で、特に語尾に「ござんす」を多用する)
・さまざまな魅力的で不思議な駄菓子。
・各お話の主人公の、どんな願いでもかなえてしまう。
・必ずトラブルが起こって、ハラハラドキドキできる。
・ハッピーエンドになるか、アンハッピーエンドになるかが、最後までわからない。
・アンハッピーエンドのお話の主人公は嫌な奴なので、読者はどちらにしても満足が得られる。
・起承転結がはっきりしていて、物語がダイナミックに展開される(分析図を参照)。
・文章が読みやすい(文章がうまいということではありません)。
・文章が短くて(40字以内)、読みやすい。
・漢字にはすべてルビがふってあるので読みやすい。
・短いお話のひとつひとつが完結している。
・一冊で6つのお話を楽しめる(一話あたり150円ぐらいなので、コスパのいい物語消費ツールなのです。そういった意味では、ライトノベル的なのかもしれません)。
・お話がパターン化しているので、分かりやすい。
・挿絵がマンガみたいで、状況が分かりやすい。
・お宝が、古い硬貨なのが面白い。

 

 

 

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児童文学において新しさとは何か

2022-09-11 16:07:38 | 考察

 児童文学における新しさを考える場合には、大きく分けて三つの階層があるように思えます。
 一番表層にあるのは、本(商品)としての新しさです。
 児童文学で生活しているプロの作家や、本を出版したいと願っているアマチュア作家には一番関心がある階層かもしれません。
 ここにおける新しさとは、題材の新しさ、キャラクターの新しさ、体裁(挿絵も含めて)の新しさなどが含まれます。
 それに加えて、作者自身の新しさも含まれるかもしれません(古くは黒柳徹子の「窓際のトットちゃん」があげられますし、ひところ話題になった水嶋ヒロの作品や又吉直樹の「火花」などもこれに入るでしょう)。
 次の階層は、文芸論的な新しさです。
 児童文学も文章芸術であるからには、どのように書かれるかの技術的な観点も重要でしょう。
 最近はずいぶん変わってしまいましたが、本来の芥川賞は文芸論的な新しさを評価する賞でした(最近の分かりやすい例は、黒田夏子の「abさんご」でしょう)。
 そういった意味では、又吉さんには芥川賞はあげるべきではなかったと今でも思っています(商品としての優劣を決める本屋大賞ならば、まったく文句はありません)。
 日本の児童文学でも、出版バブルで出版社に余裕があったころは、前衛的な作品(例えば、岩瀬成子の「あたしをさがして」など)も出版されていましたが、最近は低調なようです。
 最後の層は、文学としての新しさです。
 児童文学も「文学」であるならば、「文学」とは何かの根源的な問いかけが必要だと思っています。
 そのためには、「歴史認識」と「社会性」が必須なものだと考えています。
 「歴史認識」とは、児童文学史を眺めた場合に、どのような文学がどのような時代を背景に登場したかを正しく理解することです。
 わかりやすい例でいうと、「赤い鳥」と「プロレタリア児童文学」がどのような時代背景で生み出されたかを考えるといいでしょう。
 現在の児童文学に対する私の認識は、1950年代に始まった狭義の「現代児童文学」が、1990年代に終焉した(児童文学研究者の佐藤宗子や宮川健郎は2010年に終焉したとしていますが、実質的にはもっと前に終わったと思っています)後は、「児童文学」は広い年代の女性読者向けを中心としたエンターテインメントに変わっていて、新しい「文学」はまだ生み出されていません。
 そういった意味では、ポスト「現代児童文学」の「文学」を志向することが新しさなのかもしれません。
 「社会性」に関しては、現在の子どもたちが直面しているいろいろな問題とどのように切り結んでいくかと、その時代の典型的な子ども像(かつて砂田弘があげていた例でいうと、マーク・トウエンのトム・ソーヤー、エーリヒ・ケストナーのエーミール・ティッシュバイン、カニグズバーグのクローディア・キンケードなどですが、もっとわかりやすい例でいうとサリンジャーのホールデン・コールフィールドでしょう)を生み出すことです。
 私自身は、「児童読み物作家」でも「児童文芸家」でもなく、「児童文学者」でありたいと願っているので、「文学」としての新しさを追求していきたいと思っています。

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トップガン

2022-09-03 16:38:14 | 映画

 1986年に公開されたトム・クルーズの出世作です。
 ストーリー自体は、戦闘機パイロットのエリートたちの世界を描いた、アメリカ万歳的な他愛のない物なのですが、全編にトム・クルーズの若々しい魅力があふれています。
 アメリカ海軍の全面協力(完全に宣伝映画ですから)のもとに、空中戦などでは、実機をフルに生かして、CGではない特撮映像も手作り感満載で、今でも楽しめます。
 また、MTV全盛の時代ですので、全編にアメリカン・ヒットチャートをにぎわせたヒット曲が流れていて懐かしいです。
 それにしても、あれから30年以上たっているのに、以前としてアクション・スターを続けているトム・クルーズは、すごいというべきか、進歩がないというべきか判断に迷います。

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