ここしばらく、『ガリヴァ旅行記』と『嵐が丘』と『細雪』を平行して読んでいる。清水義範『独断流「読書」必勝法』(講談社文庫)で挙げてある本をなるべく読んでみようと思ったので。あらかた読んだことあるけど、だいぶ経って忘れているものも多い。ヨシノリンはガリバーとロビンソンのコラボを書いている。そして『若草物語』を『細雪』の文体で書いたダブルパロもやっている。モト本を読んだらいっそう笑えるだろうという楽しみもある。『細雪』だけは今回がまったく初めてだ。戦前の上方の旧家の4姉妹の贅沢な日々で、上記ガイド本では、腹が立ってくるのではなかろうかと評している。まぁそういう点もあるが私はむしろ苦労話よりも気楽だ。贅沢といえば、同じ本でも取り上げられている『魔の山』だって相当なものだ。サナトリウムの患者たちははっきり言って食っちゃ寝生活で、哲学的なやたら難しげな議論にいそしんでいる。おかげで決闘までやらかす。病気になっても医者にかかる金もない人々なら怒るぞ。主人公じたい、7年も療養していたあげく、出たら戦争で、たぶんそれで死ぬことになっている。
ヨシノリンと関係はないが、塩野さんの『海の都の物語』文庫化で読んだら、たびたび引用されている『イタリア紀行』がまた読みたくなった。これは夏向きの読書といえるだろうか。
ヨシノリンと関係はないが、塩野さんの『海の都の物語』文庫化で読んだら、たびたび引用されている『イタリア紀行』がまた読みたくなった。これは夏向きの読書といえるだろうか。
昔ほどではないと言いながら、春は桜を愛で、夏は川遊びといった感じの、美人四姉妹の優雅な暮らしっぷりに。
どうやって暮らしをたてていたのか、ちょっと不思議。
次女が流産した時、旦那さんが仕事を休んでつきそって、自分も残念に思うのに、一言も奥さんを責める言葉は口にせず、いたわっていた場面は今でも覚えています。
次女幸子の婿さんはいい人ですね。妻と仲良くするだけでなくその妹たちにまで心を配らなければならないのはたいへんな立場でしょうに。--ま、世の「嫁」はそれを当然とされてきたのですけど。
『若草物語』と両方ご存知でしたら、清水義範『パウダー・スノー』をのぞいてみて下さいね。
潤一郎文体で展開される「若草物語」!
終盤の「細雪」とのコラボともども、おもしろかったです。
短編で終わったのが残念。
いっそ「新訳」と銘打って、全編をこの「細雪」調で出版してくれればいいのに(笑)。
ああいうダブルパロはヨシノリンの十八番なので、ほかのもいつかよろしく。
ドイツ文学のゼミで、ある学生がブレヒトの『セチュアンの善人』を抄訳する際に、神様たちのセリフを大阪弁で訳していてそれがなかなかはまっていたことをいま思い出しました。